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IB(国際バカロレア)を教えて感じた、IBで学ぶ3つのメリット
皆様お世話になってます。小林です。
IBの基本的なシステムに関しては、文部科学省IB教育推進コンソーシアムや、IB認定校のHP、IB卒業生のブログやYouTubeなど、多く語られるようになってきたかと思います。
全体像を把握するには、文部科学省 IB教育推進コンソーシアムのHPが適していると思いますので、ご存じない方は以下のリンクをご確認ください。https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/
さて今回は、私自身がIBを教える中で見えてきた、IBで学ぶ3つのメリットをお伝えできればと思います。
メリット1:探求する力を養う
私はIBを一言で表すと、「(日常の)知への探求」だと考えています。
私が教えていたBiology/生物に限らず、IBでは各科目Individual investigation (個人探求)に取り組む必要があります。
いわば、「高校生版自由研究」と言ったところです。
以下の表は、生物(Standard Level)における最終評価の内訳です。
いわゆる筆記試験が80%を占め、残りの20%を個人探求が占めている事が分かります。
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個人探求は、生徒自身が生物に関する問いを立て、実験を通してデータを集め、解析し、6〜12ページの論文にまとめます。
この個人探求の時間は、10時間分しっかりとカリキュラムに組み込まれています。
IBでは、教師を"ファシリテータ/Facilitator"と捉えています。
つまり、生徒に一方的に教え込むのではなく、ヒントを出しながら、寄り添い導いいていく存在であるのだと、私は理解しています。
ですので、この個人探求においては、問いを立てるること、実験手法における安全上の注意点を伝えること、実験に同席し安全を確保すなどサポートはしますが、教員が実験を進め、論文を加筆していくなんてことは絶対にありません。あくまで、学習の主体者は生徒になります。
その他、TOK(知の理論)やEE(課題論文)など、探求する力を養う必須課題も設定されています。
↑「(日常の)知への探求」に関してはこちらに私の考えを記載していますので併せてご覧ください。
メリット2:英語力を養う
文部科学省は、国際バカロレア機構が協力して、DP(高校生対象プログラム)の一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラム(日本語DP)の開発を進めてきました。
これは、ものすごい日本政府の努力と意気込みがあったからこそではないかと、個人的に思っています。
IBによって、英語力が鍛えられるのは言うまでもありません。なぜなら、「日本語DPは、6科目中2科目(通常、グループ2(外国語)に加えて更に1科目)は、英語等で履修することが必要」だからです。
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この外国語以外の「1科目」は、IB校によってどの科目に設定しているか異なります。
つまり、英語で実施される「外国語」に加えて、
「音楽」や「美術」を英語で行ってもよいですし、
「数学」や「歴史」を英語で行ってもよいと言うことです。
IB校によっては、「英語」「化学」「数学」の3科目を英語で行っているところもあります。
IB校を選ぶ際には、どの科目を英語で行っているのか、事前に確認しておくことが重要です。
また、IB生物に関しては、そもそも日本語の教材がほぼありません。つまり、英語の教材を読みこなす力が求められます。(教師側にももちろんその力は求められますし、授業準備も大変です。ですが、私はそこに面白みを感じています。)
なお、教科書はOxford University Press等から数種類発行されています。
以下にリンクを貼っておきますので、ご興味ありましたらご確認ください。
メリット3:国際感覚を養う
私は、「英語が喋れること」と「国際感覚があること」は全くの別物だと思っています。
多様性には、ジェンダー、人種, 年齢、民族性, 身体能力などの観点があるとされていますが (Plessis & Bisschoff, 2007)、
その多様性を受け入れ、コミュニケーションを取り、共に協働できることが、国際社会で生きていく上で大切なのではないでしょうか。
そしてそれは、21世紀ますます必要になってくる能力なのではないでしょうか。
多様性を受け入れるには、自分以外の人の考え方を知り、尊重する必要があると思います。
IBの根幹とされているTOK(知の理論)は、他の人の考えを理解しようとする試みであると私は捉えています。
IBとは、生きてく上で触れ合う様々な多様性・考え方を、理解しようとを探求する試みなのではと感じています。
故に、IBの目指すものが「世界平和」なのだと、私は捉えています。
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参照:https://www.ibo.org/globalassets/new-structure/brochures-and-infographics/pdfs/ib-learner-profile-brochure-j.pdf
本日もお付き合い頂きありがとうございました。
次回は、「高校からIBで学ぶ前に知っておいた方が良い3点」についてシェアしたいと思います。
「こんなことを記事にして欲しい!」など、コメント・ご要望もお待ちしております。引き継ぎどうぞよろしくお願いいたします。
多様性に関する論文はこちら
du Plessis, P., & Bisschoff, T. (2007). Diversity and complexity in the classroom: Valuingracial and cultural diversity. Educational Research and Review, 2(9), 245-254. https://my.uopeople.edu/pluginfile.php/1772960/mod_book/chapter/457728/5710DiversityandComplexity.pdf
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