さとのば大学の学び〜気持ち編〜(西粟倉村編)
僕は、1年と3か月の間、岡山県西粟倉村をフィールドとして、はじめての一人暮らしや、マイプロジェクトとして「食」と「職」の「2つのしょく育」に取り組んできました。活動や暮らしを通して何を学んだのか整理していたときに、「人との関わり方」が一番に思い浮かびました。実家がある岐阜県恵那市から西粟倉村まで8往復くらいしたおかげで100kmは散歩だと思えるくらいの運転おばけにもなりました。村の暮らしでは、本当にたくさんの優しい人に恵まれました。ここまで成長できたことに感謝しています。
その関係をどのように築いていたのか、今から簡単に3つの側面から書いていきます。
イベント実施をとおして
自分が主体となって2つイベントを開催しました。また、料理人になりたい小学生と一緒に3つイベントを企画、実施しました。イベントを実施することで気づけたことは、大きく「チャレンジ精神」「人に甘えること」かと思います。
西粟倉村に来たのが、2021年の5月末でした。約一か月後の7月には、初めてイベントを実施しました。自分だけではできないことももちろんあり、本当にたくさんの人に助けてもらいながら地元のジビエ肉を使ったハンバーガーをつくる料理教室を開催しました。
企画当初、さとのば大学の方に紹介してもらったtelecook(遠隔で各家庭のキッチンをつなぎ、一緒に料理を行なう取り組み)の方にどんなことをしてみたいのかをプレゼンしたり、ジビエ肉を扱うエーゼロ株式会社さんのところにお願いをしに行ったりと、色々なことに恐る恐るチャレンジし始めました。
そのときは、真面目にプレゼンしたりと手に汗を握りながらやっていました。最初はどう受け取ってもらえるか緊張しながらお話をしていました。それでも、telecookの方には「いいじゃんやろうよ!」って言ってもらったり、エーゼロさんからお肉を無事購入できることになったり 、1回目のイベントを実施をし終えたときはとても達成感を味わうことができました。自分で企画したイベントを行い、人に来てもらって、満足してもらった経験を積んだことが自信になり、2回目以降はどうしたらうまくいくのか前回の反省点を生かしながらステップアップすることができました。
自信がついていくことも大切だと思いますが、自信がつきすぎるのもよくないなと感じた瞬間がありました。給食のお肉の調達ミスをしてしまったときです。
地元産のジビエ肉を使ったイベントを開催したことで、地産地消の取組を進めている学校給食でも「ジビエを使ったレシピ」を考案してほしい、という要望をいただきました 。1回目の「鹿肉のれんこんはさみ焼き」は好評をいただいたので、2品目の「猪肉のミートパスタ」というレシピをお送りしました。2度目も無事に採用が決まって、僕がジビエ肉を発注する手はずになりました。
色々な仕事が重なっており、todoリストで管理していましたので、そこに書いておいたのですが、ジビエ給食が出る前日に電話があり、実は調達できていないことを教えていただきました。リストに書き込んだときに調整済みと思い込んでしまったのです。
その時は非常に焦り、冷や汗をかきました。ここ数年で一番焦りました。その焦りを覚えたことにより、着々と積み上げていた信頼をすぐ失うことも学びました。その際サポートしてくださった、さとのば大学地域事務局の要さん・先述のエーゼロさん・学校給食の栄養教諭尾久土先生には感謝をしてもしきれません。失敗から学ぶこともあり、まずはチャレンジする/できる場所があることの大切さを感じました。
本当に迷惑をかけたと感じていますが、参加してくれた人たちが満足して帰ってくれたり、小学生と一緒に料理教室を開くことができたり、みなさんが温かく見守ってくれたからこそ、ここまでチャレンジすることができたと感じています。とても学びのあるイベント実施でした。
あわくら温泉 元湯での人とのつながり
村に来て1か月経った7月から翌年3月ごろまでアルバイトとしてゲストハウス・日帰り温泉をされている元湯でお世話になりました。この場所で働くことによって学んだことは「地域の人がくる、たまり場にいることの大事さ」です。この場所で働いていたからこそ仲良くなれた人たちがいました。
最初はなんでこんなにゆっくり・マイペースな場所なんだろうと思っていました。元々高校時代から忙しい飲食店で働いていたこともあり、比較をしながらみていました。この仕事でこの給料をもらっていいのか、色々とモヤモヤしたことがありました。
そんななか、働き始めて少し経った頃、元湯に来てくれていた地域の人が、お店以外の場所で会ったときにも向こうから声をかけてくれたことがありました。ひとの顔がわかるぐらいの狭い村だからこそのことだと思うのですが、その出来事が嬉しく、元湯で働き続けることができました。
「君、元湯で働いているよね??」と顔を覚えてくれている方がいたり、「今度ご飯食べようよ!」って誘っていただいたり、徐々に地域に溶け込むことができた場所でした。村の中で自分の居場所?コミュニティを作ることの大切さを学びました。
あわくら温泉 元湯
https://motoyu.asia/
BASE101%で事業を始めることを間近に
2021年12月から翌年6月までアルバイトでお世話になりました。2022年3月にフルオープンした地元産の食材を使ったレストラン・カフェの この場所で働くことによって学んだことは「スタートアップの時期の難しさ」です。新しい事業を立ち上げる時期に参加したことにより、上の人の考えていることと現場の人の考えの両方を学ぶことができました。
最初に入ったときは、みなさん飲食業に慣れていない人たちばかりでした。これで本当にスムーズにお店として営業できるのか?と思っていた時期がありました。僕がいないと回らない時期もあり、かなり疲弊した時期もありました。頼ってもらうことが嬉しくて続けていた部分がありましたが、夏にはゆくゆく自分が西粟倉村から離れることも決まっていたため、徐々にフェードアウトしようという考えやほかの仕事の兼ね合いもあり、BASE101%さんのシフトを減らしていました。
それでもお店が回るようになっていったときに、「あ、自分が全部しなくていいんだ。逆に人の仕事を奪っていた」と反省しました。できないって決めつけていたのは自分で、周りの「アルバイトの方」の成長の機会を奪ってしまっていたのではないかと気づいたのです。
もちろん、できる人がやれば良いという考えではあるものの、成長の機会を奪うのは違うと学びました。そこからは他の活動先でも、やりたいことを聞いて、その子にできることを渡す、などとマッチングをしています。全て自分でやろうとすると疲弊するため、自分らしさを楽しむためにも、学んだことを大切にしていきたいです。
BASE101%
https://morinogakko.jp/base101/
まとめ
色々書きましたが、今回西粟倉村に来てよかったと思わせてくれているポイントのなかから3つ取り上げました。村を離れて寂しさを感じていますが、別の地域を見ることにより気づけるところがあると思います。別の地域でも学びながら、西粟倉村の良さにもたくさん気づいていけたらと思っています。
非常に学びのある時間でした。またバイト先や地域の方にお会いした時に成長したなって思ってもらえるよう精進していきます!