本:世界はシステムで動く-いま起きていることの本質をつかむ考え方
1.この本で知りたかったこと
・システム思考ってなに?
・システムはどうやって動くの?
自分が学んできた心理学のアプローチの中に、システムズ・アプローチという考え方があり、そのベースはシステム思考。で、そもそもシステム思考ってなんなの?ということを知りたくて、読みました。
2.興味を惹かれた内容
・共有地の悲劇。例えば誰でも使っていい牧草地。みんなが少しずつ家畜を連れてきて、牧草を食べさせる。利用者が増えるほど、牧草がのびるスピードより無くなるスピードが早くなるが、牧草地は広いので、牧草の変化は見えにくい。目に見えてわかるくらい減った時には、牧草は回復しない。なぜこうなるのか?は以下の説明で。
・システムはゆっくり変化する。良くも悪くも。一時的にバランスを崩しても、すぐに悪くはならないから、大丈夫。その代わり、今悪くなっていることに気づいたとしても、すぐに良くならない。
・システムには2つの動きがある。1つはバランス型、もう1つは自己強化型。バランス型は、現状を維持するためのフィードバック・ループ。自己強化型は、変化を強めるためのフィードバック・ループ。バランス型が強ければ安定する(変わらない)。自己強化型が強ければ何かが増えたり減ったりする(変わる)
3技能訓練との関連性
・技能五輪の本番で、「ありえないミス」とか「想定していないミス」が起こる。実はこれ、その直前に問題があるんじゃなくて、そのずっと前から蓄積された何かがある。そこに最後のひと押しになる何かが加わって起こるのでは?自己強化型ループの時間遅れ。
・例えば、「後半にいつも遅くなるんです」みたいな選手は、実は開始直後から少しずつ遅かったり。
・訓練は、今すぐ成果が出ない。時間の遅れがある。そうすると、努力をやめてしまいやすい。そうすると、自己強化ループが止まり、バランス型ループになる。強化を続けるには、「変化が見える」仕掛けが必要かな。
・共有地の悲劇は、商店街とか大きな公園でも起こるのかも。
この本の著者
ドネラ・H・メドウズ(1941〜2001)。「成長の限界」という本で有名になった。システム思考といえばこの人、的な人。