年金だけでは暮らせない現実を直視せよ―60歳で慌てないために
現役世代の多くが「年金でなんとかなる」と楽観視しているが、果たしてその認識で大丈夫だろうか？今から行動する重要性を考えたい。
年金だけで生活できる現役世代はほとんどいない
現在の日本で、年金だけで満足な生活を送れる現役世代はごくわずかである。高度経済成長期を経験した世代と異なり、少子高齢化による年金財政の悪化が避けられないからだ。厚生労働省が公表する年金の支給額データを見ても、老後に年金だけでやりくりするには相当の工夫が求められる。
年収が高い会社員以外は厳しい現実
年金だけで十分な生活ができるのは、定年まで高年収を維持できた人たちが主だ。それ以外の人々にとって、満足な年金額は期待できない。特に非正規雇用やフリーランス、退職後に長期の無職期間がある人は、年金受給額がさらに低くなる。多くの人が「将来どうにかなるだろう」と甘い見通しを抱いているが、それは非常に危険な考え方だ。
貯蓄も投資もしていない現実
新NISAの利用状況や日本人の平均貯蓄率を見ても、老後に向けた準備をしている人は一部に過ぎない。金融庁が「老後2000万円問題」を発表してから数年が経つが、その警告が行動に結びついている人は少ないようだ。「みんなやっていないから自分も大丈夫」という感覚が広がっているが、実際には貯蓄も投資も行わずに老後を迎えた人が苦境に立たされるケースは少なくない。
切り詰めればなんとかなるは事実だが
確かに、老後も働き続けることや生活費を切り詰めることで乗り越えられる人もいる。年金だけでは生活できなくても、働いたり支出を抑えたりすることで最低限の生活を維持している人が多いのも事実だ。しかし、これはあくまで「なんとかなる」レベルの話で、豊かな老後とはほど遠い。
今さら慌てても逆転は難しい
問題は、多くの人が60歳を過ぎてから年金額の現実に直面し、慌てることだ。ここまで何もしていなかった人が一発逆転を狙うのは極めて困難だ。老後資金の準備は時間が味方につくものであり、若い頃から少しずつ積み上げていく必要がある。私自身、お金に関する知識は豊富なつもりだが、60歳で資金が不足している人を救うプランは簡単には思いつかない。
情報はすでに手元にある
金融リテラシーを高めるための情報は、今や誰でも手に入る時代だ。インターネットや書籍、金融機関のセミナーなどを利用して、老後資金の準備を始めるべきである。それでも何もしないでいる人が、いざ老後に直面した際に社会や政府に不満をぶつけるのは筋違いだ。自分の未来は自分で作るしかないのだ。
今からでも遅くない行動を
年金だけで生活できない現実を受け入れ、今から老後に向けた準備を始めるべきだ。資産運用、貯蓄、働き方の見直しなど、できることはたくさんある。これを読んでいるあなたは、すでに情報を手にしている。重要なのは、その情報を活用して行動に移すことだ。今ならまだ間に合う。自分自身の未来を切り開く行動を始めてほしい。