新NISAの運用結果に潜む意外な事実
https://www.jsda.or.jp/houdou/2024/20241021_nisa10sya.pdf
新NISAの運用結果を分析すると、多くの人が陥る「意外な選択」が見えてくる。失敗する理由とその背景に迫る。
新NISAで人気とされる投資先の裏側
新NISAが始まって以降、ネット上では「オルカン」や「S&P500」といったインデックス型の投資信託が人気だとよく耳にする。積立投資枠での利用を前提とし、長期的な資産形成を狙う声も多い。しかし、実際に投資の傾向を調べてみると、意外な結果が浮かび上がってくる。
日本証券業協会の資料を確認すると、これらの人気ファンド以外に投資している人が大半であることがわかる。現実には、国内個別株への投資が思った以上に多いのだ。これは新NISAを活用する上で重要なポイントを見落としている可能性を示唆している。
成長投資枠で見える「国内株偏重」の傾向
新NISAの最大の魅力は、積立投資枠と成長投資枠を組み合わせて、個々の投資目標に合わせた柔軟なポートフォリオが組める点だ。しかし、実際の運用を見ると、成長投資枠の多くが国内個別株に集中している。この傾向は、「よく知っている銘柄に投資したい」という心理が働いていると考えられる。
特に日本株は、一部の成長株を狙った一発勝負のような運用が目立つ。この結果、多くの投資家が長期分散投資の基本原則から外れた行動を取っているのが実態だ。
失敗する投資行動とその結末
こうした「国内株偏重」の運用は、結果として失敗につながる可能性が高い。特定の銘柄に集中投資するリスクは、分散投資を推奨するNISA制度の趣旨とは正反対だ。たとえば、市場全体が下落した場合、国内株のみを保有するポートフォリオでは損失を回避できない。
これまで多くの情報メディアで「長期積立分散」が強調されてきたにもかかわらず、個別株で一発当てようとする心理は根強い。もし失敗して、「新NISAは政府の陰謀だ」と結論づけるのであれば、それは投資家自身がリスク管理を怠った結果といえるだろう。
国内個別株への投資がなぜ危険なのか
国内個別株への投資が特に危険なのは、長期的なリターンが不安定な点にある。世界市場全体に分散投資する「オルカン」や「S&P500」と比較すると、日本市場は低成長で停滞する可能性が高い。
また、個別株投資はタイミングを見極める必要があるため、初心者にはハードルが高い。仮に成功しているのであれば、筆者も同じ方法を選んでいるはずだ。しかし、そうならない理由は、個別株投資が極めてリスクの高いギャンブル的な要素を持つからだ。
正しい投資行動とは
新NISAを活用する上で重要なのは、制度の趣旨に沿った「長期積立分散」を徹底することだ。オルカンやS&P500といったインデックスファンドへの投資は、世界市場の成長を取り込む合理的な選択肢である。これにより、特定の市場や銘柄への依存を避け、安定した資産形成が期待できる。
一発逆転を狙った国内株集中投資ではなく、地道な積立投資を続けることで、新NISAのメリットを最大限に活かすことが可能だ。投資家として成功するには、基本に立ち返ることが何よりも重要である。