40歳から死亡までの資産運用シミュレーション:定年後の安心設計を考える
ネットのシミュレーションでは積立額の計算が中心だが、実際に死亡までの取り崩し方法は?具体的に解説する。
ネットに溢れる「月〇万円シミュレーション」の盲点
資産運用の記事では「毎月いくら積み立てれば、将来これだけ貯まる」というシミュレーションがよく見られる。しかし、そこで終わる記事が多く、その後の「どう取り崩すのか」について具体的に示されることは少ない。定年後に年金と資産をどう活用して生活するか、ここがもっとも重要なポイントだ。この点を見過ごしていると、貯蓄額が不足したり、逆に使い切れなかったりといった問題に直面する可能性がある。
モデルケース:40歳からの積立投資と取り崩しの設計
今回は、40歳から新NISAを活用して毎月1万円の積立投資を行い、25年間の運用を経て65歳から資産を取り崩すシミュレーションを行った。定年は65歳とし、65歳までは給料で生活をする。運用利回りは年間7%を想定した。25年後の資産額は約810万円に達する。
この資産を65歳以降も年金と組み合わせて活用し、毎月7万円を取り崩していく計画である。この場合、資産は80歳で底をつく計算となる。
年金と資産を合わせた生活費
65歳以降の生活費は「年金+取り崩し金額」となる。月7万円の取り崩しを加えた収入で、生活費を賄う形だ。ここで注意すべきは、平均寿命や生活スタイルによって必要な金額が変わる点である。たとえば、男性の平均寿命である81歳まで生活する場合、月7万円では足りない可能性もある。こうした不足分をどのように補うかが、運用設計の課題となる。
足りない場合の対策
もし資金が不足すると感じる場合、以下の方法で調整が可能である:
1. 積立金額を上げる
毎月の積立額を2万円や3万円に増やすと、25年間の運用後の資産額が大きく変わる。
2. 投資年数を増やす
定年を延ばし、積立を継続することで資産額を増やすことができる。
3. 支出を減らす
老後の生活費を削減し、年金と取り崩しで賄える範囲に抑える。
4. 定年後も働く
パートやフリーランスで収入を得ることで、資産取り崩しを抑えることができる。
悲観する必要はない
今回のシミュレーションでは、平均的な利回りと取り崩し計画を基に設計したが、この程度の計画でも十分成り立つことが分かる。特に男性の場合、平均寿命の81歳前後までの資金計画は現実的である。老後の生活に対する過度な悲観は必要なく、堅実な積立と運用で安心した老後を迎えることができるだろう。ただし、厚生年金を65歳まで積み上げることが条件だ。つまり、正社員で相応の収入を65歳まで継続する必要がある。
資産運用の計画は早めに
資産運用の計画は、早めに立てるほど柔軟性が増し、目標を達成しやすくなる。今回のモデルケースはあくまで一例だが、自分自身の年齢や資産状況に合わせてシミュレーションを行い、将来の計画をしっかり立てることが大切だ。新NISAや年金制度を活用しながら、自分に合った資産運用を見つけよう。