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なぜ「これからは日本株」という主張は現実的でないのか?成長できない理由を掘り下げる

よく聞く「これからは日本株」という主張。だが、その根拠を疑うべきだ。日本が成長できない本質的な理由を考察する。


日本株を推奨する主張が増えている背景

近年、「これからは米国株より日本株だ」という記事をよく目にする。政府の政策やインバウンドの回復、また円安の恩恵を理由に挙げるケースが多い。確かに日本企業が一時的に恩恵を受ける場面はあるだろう。しかし、それが長期的な成長に繋がるかと言えば、話は別だ。表面的な要因だけで判断するのは危険である。

成長に必要な要素のひとつ「人材」

成長するためには、資本や技術などの要素が重要だが、何より「人」が大切だ。企業が利益を生み出すには、安定して働く労働力が必要不可欠である。日本ではこれまで、いわゆる「就職氷河期世代」が企業を支えてきた。企業はこの世代を安価に雇い、利益を生むことでなんとか成り立っていた。しかし、状況は変わりつつある。

人手不足と人件費高騰が企業を直撃

現在、多くの日本企業が人手不足に悩んでいる。若い労働力が減少し、企業間での取り合いが激化しているのだ。その結果、若者の賃金は上昇傾向にあり、もはや「安価な労働力」にはなり得ない。一方で、人数が多い就職氷河期世代は年齢的に50歳前後となり、肉体労働や低賃金では働けない状況にある。この構造的な問題が、企業の成長を妨げているのだ。

外国人労働力への期待は幻想

一部では、「日本が成長するには外国人労働者が必要だ」との意見もある。しかし、現実は厳しい。多くの外国人労働者にとって、日本は必ずしも「魅力的な働き先」ではない。日本よりも高賃金で働ける国が増えているため、わざわざ日本を選ぶ理由が薄れているのだ。加えて、日本は言語や文化の壁が高く、外国人にとって働きにくい環境でもある。このような背景から、日本が外国人労働力を安定的に確保することは難しい。

人材不足の影響がもたらす未来

人材不足が企業成長を阻害するこの状況は、今後10年から20年続くと予想される。さらに、出生率の低迷が続いており、若い労働力の減少に歯止めがかからない。この状況を劇的に改善するための政策や施策は見当たらず、日本が本質的に成長できる見込みは薄いと言わざるを得ない。

日本株への投資は慎重に

これらの状況を踏まえると、「これからは日本株」という主張には疑問を抱かざるを得ない。一時的な株価の上昇はあっても、それが長期的な成長を意味するわけではない。投資家は、企業の成長の持続可能性を冷静に見極める必要がある。

まとめ

日本が成長するためには、安価で安定した労働力が必要だ。しかし、現状ではそれを確保する術が見当たらない。このような中で「日本株が成長する」という楽観的な意見には、慎重になるべきである。現実を直視し、適切な判断を下すことが求められる。

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