Hey, boring.

「なあ、お前って本当に面白くない奴だよな。」

「は?」

「お前もしかして自分のこと面白い奴だと思っていたのか?」

「やめろ。」

「その反応は図星ってことだろ。」

「はあ?」

「つまんねえと思ったけどお前反応は面白えんだな。」

「いや、なにも言ってないんだけど。」

「ほら、お前って感情的になると眉間を触るだろ?」

「うわほんとだ…お前気持ち悪いな。」

「お褒めに預かり光栄でーす。で、お前、さっきからなに書いてんの?飽きもせずにカタカタさあ、火曜日の二限の講義でもおまえ怒られてたよな。」

「いいだろなんでも。お前に読ませるものでもねえし。」

「あーあ、こうやって話しかけてやってんのにさ、そうやって突き放すんだ。」

「別に頼んだわけでもないだろ。」

「なんでお前はそうやって自分の行動だけが他人と自分の関係の間で起こる事の原因だと思っているんだ?だからコミュ障なんだろ。」

「…あ、その、急にテイスト変えてくるからびっくりした。」

「そういうとこだよ。お前はある意味で自己中心的なんだよ。」

「そうかもしれない。でも自己中心的で何か問題あるか?」

「いや、自己中心的っていうのは全く悪い事じゃない。むしろそうじゃなきゃ生きていけない。」

「そうだな。それで、何が言いたいんだ?」

「いやあ何も?お前と話してみたかったんだ。お前ってほんと変な奴だな。」

「そんなことない。」

「嘘だよ。お前は平凡だ。お前が思ってるよりお前って面白くないんだよ。」

「はあ?」

「だって事実だし?」

「じゃあ俺の何がわかるっていうんだ?」

「全部知ってる。例えば、お前って普段は物静かなフリしてっけど口を開けば屁理屈と詭弁を捲し立てるタイプだろ?あと隠れナルシスト。自分のこと大好きなくせにそれを悟られまいとしてる。そういうのが一番ダルいんだよな。Twitterのフォロー数は254人、フォロワー数は58人。あとあのインスタさあ、鍵垢のくせにハッシュタグつけてんの、お前わけわかんねえよ。」

「気持ちわる…もしかしなくても、お前俺のこと嫌いだろ?」

「まあな。お前の好きな水はいろはす、お茶は伊右衛門、炭酸は飲めない。そのくせ炭酸の抜けたコーラが好き。おにぎりはツナマヨ、絶対ファミリーマートのだろ?そのくせパンはローソンだ。俺は逆がいいと思うんだけどねぇ。それから…」

「じゃがりこのサラダ味。俺ん家の玄関にかかってんの。考えることが幼稚なんだよ。」

「違うよ。」

「あ、顎を右斜め前に傾けた。」

「は」

「瞬き2回、目を左に泳がせてさあ。」

「そうなの?」

「そうだよ。」

「…毎日気持ち悪い手紙よこしやがって。」

「なんのことだ。」

「へえ?」

「じゃがりこよりマシだ。」

「どうかなあ、もう棚足りないんだけど。」

「捨てればいいじゃん。ああ、そうだお前は毎晩読み返して1人で気持ち良くなってるんだったよなあ。お気に入りは148通目。悪趣味だね。」

「お前気持ち悪いな。」

「俺は普通だ。」

「ああ、そうかもしれない。」

「で、俺と話してみて楽しかったか?」

「まあまあかな。1人でいるときの方がかわいい。」

「は?何そういう感じ?こわーい。」

「ほんとに、俺たちは会わなくていいんだ。うん。」

「まあ俺はどうだっていいんだけどさ。」

「ふうん、あんなに俺のことさあ。」

「お前とは話したくもないわ。なんか腹立つ。」

「で?顔は見るんだろ?」

「顔も見ねえよ。」


「なあ、俺って平凡だよな。」

「ああ、お前も俺も、つまんないし平凡だ。さっきお前もそう言ってた。」

「だよな。」

「一生このまま?」

「一生なんてない。」

「恋人なんて作れないし。」

「当分いらねえわ。」

「できない、の間違いだろ?」

「…じゃあもう行くわ。」

「どこに?」

「どうせわかってるんだろ?」

「もちろん。」

「じゃあ、さようなら。」

「うん、バイバイ。」


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