先日、GoogleのAIであるGeminiが、人種の多様性に配慮した結果、画像を生成する際に、黒人やアジア人のナチスドイツ兵を描写したり、白人の描写を拒否したりといった事態が発生した。
このようなポリコレAI・Geminiを作ってしまったGoogleは、政治的にどんな職場なのか?
過去に話題になった元Google従業員の告白を2つ紹介する。
ポリコレはシリコンバレーの教義
ナビ機能を備えた地図アプリ「Waze」の開発企業でCEOを務めていたノーム・バーディン氏は、2013年にGoogleが同アプリを会社ごと買収したことで、Googleの従業員になった。
そんなバーディン氏は2021年にGoogleを退職した際、同社での体験についてブログを書いている。その中に、同社のポリティカル・コレクトネスに関する一節がある。
(なお、文章は分かりやすさを重視し一部意訳している。正確な文章を知りたい方はこちらからオリジナルの文章を確認していただきたい。)
バーディン氏は本人曰くかなり情熱的な人物だったが、Googleで過ごす中で、政治的に正しい"大人"になったという。
白人男性に人権はあるのか?"反多様性メモ"
2018年、Googleのエンジニアだったジェームズ・ダモア氏は、同社を始めとするIT企業のダイバーシティ実現に対する取り組みを批判した。
以下は、その中の男女共同参画に対する意見である。
こうした"反多様性"な主張を行った結果、ダモア氏はGoogleから解雇された。
ダモア氏の主張に対しては、賛同する者、否定する者、解雇というGoogleの手段を批判する者など様々だった。
内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者であるジュリアン・アサンジ氏は、「検閲は負け組がすることだ」とTwitter(現X)に投稿し、ダモア氏に職をオファーした。
ロサンゼルス・タイムズのキャサディ・ローゼンブラム氏は、ダモア氏を批判し、多様性実現のためのアファーマティブ・アクションを肯定しつつ、Googleの取り組みは目標や意義、結果の測定が明確ではなく、それ故にダモア氏のような"道を踏み外す人"が出てくるのも不思議ではないと述べた。
※ダモア氏の批判とその反応に関しては、英語版Wikipediaに出典付きで詳しくまとまっているので、興味がある方はぜひ。
Google's Ideological Echo Chamber - Wikipedia
ポリコレの行く先は?
Googleのこうした親リベラル・反保守的な傾向について、Twitter/Xの買収でお馴染みのイーロン・マスク氏は批判的だ。
マスク氏の友人であるテクノロジー系投資家のピーター・ティール氏も、シリコンバレーの"政治的不寛容"を批判している。
こうした批判はシリコンバレーのIT企業に限った話ではない。
近年の米国では、リベラル左派による差別的取り組みが是正されている。
例えば、大学の女性限定支援は、男性差別として批判されている(日本では逆に急増している)。
また、入学選考において、黒人やヒスパニック系の学生を優遇し、アジア系や白人を冷遇するアファーマティブ・アクションも、最高裁が違憲だと判断した。
入学選考において人種を考慮するアファーマティブ・アクションは、一般にリベラル左翼とされる民主党支持層でも55%が「容認されるべきではない」と世論調査で回答している。
こうした動きは、金融業界でも起こっている。
ゴールドマン・サックス・グループは、黒人大学生を対象とした「可能性サミット」を白人学生にも開放し、バンク・オブ・アメリカは、女性やマイノリティー向けだった自行内のプログラムの対象を全ての人に広げたとBloombergが報じている。
ジェームズ・ダモア氏の訴えから6年…米国は少しずつ男性や白人、アジア人にも人権がある事に気付き始めている。
ポリコレAI・Geminiの"失態"を見ても分かる通り、Googleは未だリベラル左派であるが、彼らもこれから変わっていくのかもしれない。