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コロナ禍を 越しても越せぬ 歳の波
昨年10月以降、沈静化していた新型コロナウイルスの感染が、年が改って再び猛威を奮い始めた。新型コロナウイルスの国内での感染が始まって間もなく3年目に突入する。過去2年間に感染の拡大、沈静の波が6回起こり、回を追うごとに波が高くなっている。日本全国の1日の感染者の数のピークは、1昨年春の第1波では720人であったのが、第6波である今回は50,000人を超えても増大が止まらない。
波と言えば、先週トンガの火山の噴火によって起きた津波が日本にも到達したことが思い浮かぶ。気象庁によると津波ではなく、噴火時に起きた空振による潮位変動だそうだ。気象庁の解釈は別にして、8,000キロ離れた日本でも1m以上の潮位の上昇があったのだから、津波のようなものだろう。津波は波が何度も押し寄せ、第1波より第2波、第3波の方が大きくなる。波が段々大きくなる点では、新型コロナの感染者数の波は津波に似ている。
日本は有史以来、何度となく巨大津波に襲われ、その度ごとに大きな被害に遭ってきた。そのため、海岸の堤防を高くする等の備えをしているし、海岸近くに住む人々は津波が襲来した時に取るべき行動について熟知している。それでも被害が起こるのは、備えを上回る大波がくるからだし、津波の前兆に対して人々が判断ミスを犯すからであろう。今回の新型コロナウイルスの蔓延によって、人々が大きな困難に見舞われている背景には、やはり「備えの不足」と「人々の判断ミス」があるように思う。この点でも津波とコロナには共通点が見える。
高齢者は、津波の際の避難が迅速に行えないし、コロナに感染した場合には重症化するリスクが高いので、いずれの波に対しても若者以上の備えが必要だ。更に、高齢者には「寄る歳波」と云うもう1つ越えなければならない波が押し寄せる。どれだけ健康管理に努めても、歳の波はヒタヒタと押し寄せてくる。高齢者としては、「寄る歳波」に呑み込まれる前にコロナが終息してくれることを願うばかりだ。