3K職場 担うは今や 外国人
猛暑もようやく収まり、散歩の距離が伸びてきた。久しぶりに歩く道の角で、家が解体されていた。横目で様子を見ながら歩いていると、浅黒く、彫りの深い顔つきの作業員が目に入る。イラン人かな。更に目をやると、同じ顔つきの作業員が4人、重機を使って壁を引き倒している。そこに、2トントラックがやってくる。運転しているのも、イラン人のようだ。
運転が上手い。狭い道から奥まった作業現場まで、バックで1度も切り返さずに入った。降りてきた運転手は、貫禄のある50歳がらみ。作業員に何やら指示を出している。現場監督らしき日本人は見当たらないので、彼が、現場を取り仕切っているのだろう。下請けか、孫請けか知らないが、今や外国人が解体を請け負うようになっているのか。驚くと同時になんだか心配になる。
家に帰ってネットで調べる。解体現場で働く外国人のほとんどは、トルコから来たクルド人。その多くが、難民申請中で、在留資格がない仮放免状態で、不法就労。クルド人が解体に従事し始めたのは30年前、今では解体現場で働く人の7割、2,000人に及ぶ。ネットには、クルド人解体業者が起こしたトラブルに関する情報が多数上がっている。知らぬは己ばかりなり。
20年前のシンガポール。労働者20〜30人を無蓋の荷台に乗せて、高速道路を走るトラック。交通規則の厳しいシンガポールなのに、こんなのありか、とビックリ。トラックで運ばれているのは、インド南部からの出稼ぎ労働者。パスポートを取り上げられ、粗末な宿舎で集団生活。主に土木現場で働いている。都市国家シンガポールの繁栄の裏に潜む闇、を見た気がした。今でも、あの光景が続いているのだろうか。
シンガポールも日本も、キツクて、キケンでキタナイ仕事を担うのは外国人。よその国のことなら「繁栄の裏に潜む闇を見た」で済まされるが、自分の国の「闇」となれば、「見ている」だけでは済まされない。さーどうする。ご老人。
(2024.10.19)