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年の瀬に 慌てて掴む 空証文

老境自在(41)

 年の瀬も押し迫った先日、デジタル庁が新型コロナワクチン接種証明を取得するためのアプリをリリースした。ニュースによると、このアプリは、マイナンバーカードを用いて市町村のワクチン接種記録にアクセスする方式と説明されていた。

 やっとマイナンバーカードの出番が来たかとほくそ笑んだ。何故なら、今年の春コロナのワクチン接種に必要になるかもしれないと考えてマイナンバーカードを取得したが、その後コロナに関してカードが必要になることはなく、肩透かしを食ったような気分を味わっていたからだ。早速、アプリをダウンロードして、いざマイナンバーカードにスマホをかざそうとしたら、アプリの画面に「このディバイスは、このアプリに対応してません」と表示された。

 アプリ内の説明によると、3年前に中古品ショップで買った自分のスマホには、マイナンバーカードの読み取り機能が付いていないとのこと。スマホメーカーが毎年新機種を出しているのは、目先を変えて購買意欲を高めるためだろうと考えていたが、新たな機能の追加もしていたのだ。それにしても、多くの人が使うアプリが、5、6年前のスマホに適応しないなって、そんなことで良いのだろうか。

 不満が頭をもたげたが、レストランや美術館に入るのにワクチン接種証明の提示が求められるようになる前に、なんとかしなければ。意を決してスマホをアプリに対応した機種に買い換えることにした。3年前と同じ中古ショップで1番安い対応機種を買い求めたが、年末にとんだ出費となってしまった。

 こうして無事にワクチン接種証明書をスマホに落とし込むことができたが、なんだか嫌なニュースが聞こえてきた。新たな変異ウイルスは感染力が強く、ワクチン接種者でも感染する可能性が高いらしい。そうなると、2回接種の証明書は意味を持たなくなるのではないか。

 慌ててスマホを買い換えたのになんてことだ。皮肉にも、コロナに振り回された1年を締め括るにふさわしい出来事になってしまった。

<参考>
「ワクチン接種「デジタル証明書」が持つ重大な役割」東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/478847

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