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窓口で 列んで待つは 訪日客

大きなカバンを持った訪日客

 先週の「おじさん図鑑」(東京新聞)で私と同年代の作者は、JR東日本の「みどりの窓口」が減少し不自由していると嘆いていた。

 「おじさん」は、JRが合理化のために接客する人を減らそうと「みどりの窓口」を減らしている、と断じている。一方、JRは、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、切符の購入や予約がオンラインや自動券売機でできるようになり利用者が減ったので、「みどりの窓口」を削減したとしている。「おじさん」の断定は一方的すぎるが、窓口に長蛇の列ができていることからすると、JRの「みどりの窓口」削減計画にも問題があったのは確かだろう。

 先日、軽井沢で、帰りの新幹線を一本早めたくて、「みどりの窓口」に行ったら、7、8人の列ができていた。この程度なら20分待ちだろうと、穏やかな気持ちでいたが、なかなか列が進まない。
「なんでノロノロしてるんだ。」
イライラしてきて、JRのスタッフと客とのやり取りを注視した。

 「ビジー、ベリー・ビジー」とスタッフの声が聞こえてきた。自分が忙しいと言う訳がないので、列車が混んでいるので、席が取れないと言っているのだろう。お客の声は聞こえてこないが、後ろ姿からすると中年の中国人夫婦のようだ。その内、スタッフが客にタブレットのようなものを見せて、話し始めた。続いて、客がそのタブレットに向かって何か言っている。
「自動翻訳機か?そうに違いない。」
自動翻訳機を挟んだやりとりが数回続いた後、一件落着。切符を手にした客が立ち去り、列が1つ進んだ。

 改めて列んでいる人を眺めてみると、私の前に大きなキャリーバックを持った中国人と思しき人が3人いる。
「こりゃー、4、50分はかかるな。」
「それにしても、自動翻訳機は実用に耐えているんだな。俺も、今度使ってみよう。」
「みどりの窓口のスタッフも、色々と大変だな。」
結局、40分後に私の番がきた。

 応対に時間のかかる外国人客が想定より増えたために、JRの「みどりの窓口」削減計画に齟齬が生じたのではなかろうか。

(2024.09.20)

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