氏子減り 村の神社は 火の車
「このままでは神社の維持が難しいので、秋のお祭りに際して、奉納をお願いしたい」といった趣旨の貼り紙を、家から歩いて5分、氷川神社の境内の看板に見つけた。
いつ創建されたかは定かではないが、1849年には存在していたことが分かっており、練馬区の有形文化財に指定されている神社。2千平米の敷地に、神殿、神楽殿、社務所を備えている。春には桜、秋になると銀杏が周辺の人々の目を和ませてくれる。
大晦日から元旦にかけては、参拝者の長蛇の列。秋のお祭りには、神楽殿での歌舞音曲とイカ焼き、綿飴の屋台。七五三の時期には、着飾った子供づれ。3つの行事の実入り程度では、神社はやっていけず、氏子の奉納金に頼るところが大きのであろう。
神社の掲示板には、厄年の一覧表も貼られていて、厄払いのお祓いを受けることを勧めている。一覧表で気づいたのだが、男性の本厄年齢は24、42、61、女性は19、33、37、61。
61歳で打ち止め。人生100年時代に、稼ぐ相手を取り逃しているのではないか。70歳台、80歳台にも厄年を設ければ、実入が増えるだろうに。
我が町の氷川神社に限らず、全国の多くの神社で氏子が減り、奉納金の減少に見舞われているに違いない。神社の元締めたる神社庁は、なぜ高齢化社会に即した厄年の設定に取り組まないのだろうか。それともこれは、罰当たりな考えなのか。
調べてみると、室町時代には73歳、99歳、江戸時代には85歳、99歳を厄年としたと記した資料があると知れた。平均寿命が50そこそこ時代には、そんな長生きすれば、「厄も何もあったものではない」と、いつしか忘れ去られたのだろう。
神社庁が今から、73歳、85歳、99歳を厄年にしようと目論んだとしても、人々に浸透し、風習になるまでには相当の時間がかかりそうだ。
当面は、桜の花と銀杏の黄葉を楽しむために、奉納金とはいかないまでも、お賽銭を少し増額しよう。
(2024.11.09)