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ボランティア 八十路近づき 尻込みす

菜種畑の夕暮れ

 先日練馬区のマッチングフェアに行ってきた。マッチングフェアといっても、婚活ではなく、ボランティアをしてほしい人としたい人を結びつける集まりだ。

 会場の練馬区民交流センターの入り口で、来場目的を書く紙を渡された。テーブルに置いてあった鉛筆をとって、その用紙の記入欄に従って、氏名、年齢、
・目的:社会貢献と人との交流
・内容:公園の掃除等
・特技:なし
 と記入して、会場に入った。

 どんなボランティアグループが募集をかけているのだろうかと会場を1周してみた。子供食堂を運営するグループ、地域の人たちに交流の場を提供するグループ、福祉養護施設、老人介護施設等、約20の組織がブースを出していた。どのブースも既に希望者が訪れ、ブース内の人と熱心に話をしていた。

 そこで、各ブースの前にある説明書きを読みながらもう1度会場を回った。私の希望する掃除のボランティアは見つからなかったが、老人向けの室内スポーツを推進するグループに興味を惹かれた。順番を待つ人のために設けられた椅子に座ろうと思った時に奇妙な思いが沸き上がってきた。自分は、このスポーツを提供する側なのか、それともサービスを利用してスポーツをする側なのか、どちらだろう。

「阿部譲治ではないが、これはまるで塀の内外だな。」
「塀の上を歩いている状況で、内に落ちればボランティアを受ける側、外に落ちればボランティアをする側だ。」
「どちらなのかを見極めないで、ボランティアに手をあげるわけにはいかないな。」

 そう思うと、うろうろしているのが気恥ずかしくなって、そそくさと会場を後にした。

 80の声を聞こうかという年齢の危うさを痛感した。ボランティアをすると言い出せば、周りが大丈夫かと心配しそうだ。社会に貢献すると言えば、社会に迷惑をかけないようにしてと言われそうだ。
 ボランティアと言うほどではないが、定年後に始めたことに町内会のお手伝いがある。ささやかではあるが、これを社会貢献の1つとして続けていくことにしよう。

(2024.03.29)

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