やまいだれ
中心より少し右側
扉の奥
細胞と細胞の間
血管を伝って全身に行き渡るもの
重くなっていくにまかせて沈む
雨の音ね
布団の半分を占領する犬
良くなる、良くなる、と念じながら
十数年
朝晩の薬はやさしく融解す
脳はゆっくりとシャットダウンして
閉じている時も動き続けているもの
魂のあるところ
異国の寺の細密な壁画の写真に
ぐらぐらと揺さぶられたのは何故
魂のゆくところ
成長と老いと
どんな違いがあると言うのか
大丈夫ですと言って欲しかった夜は
大丈夫ですという言葉だけで埋まっただろうか
魂のすがた
砂を手で集めてできた山のような
わたし