練りもの副大臣

34歳で子宮を全摘出。その話をしたい。

練りもの副大臣

34歳で子宮を全摘出。その話をしたい。

最近の記事

  • 固定された記事

はじめまして 〜自己紹介〜

皆さま、はじめまして。練りもの副大臣と申します。 30代半ば、事務職、中肉中背、バイセクシュアル、女。 練りものはだいたい好き。 大臣の器ではないので、副大臣を名乗っています。 この地位に今は満足しています。 さて、こちらでは、私の手術の体験記を書いていこうと思います。 先日、子宮と両側卵管を摘出しました。 この手術に至るまでのたくさんのことや、その後のことを率直にお話しし、同じようなことで悩む方々の参考となればと思い、記します。 筆は遅く荒いですが、お付き合

    • ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術13 術後5日目・退院日

      ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 新しい朝がきた、退院の朝だ真夜中ぐっすり眠り、明け方に腰の痛みで目が覚めた。 お腹の創がふさがりつつあるにしても、まだ完全ではないため、寝返りを自由に打てるわけではない。 眠っている夜の間、仰向けの時間が長くなり、結果的に腰の痛みが生じる。 最後の朝、カーテンの向こうは早くも明るい。 今日はきっとすっきり晴れている。 昨夜のテレビの天気予報で、暑くなるって言ってたな。 左手で右に

      • ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術12 術後4日目

        ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 寝言こわい真夜中、うっすら目が覚めた。 21時の消灯時点で眠たかったが、4人も同じ部屋にいると、耳栓をしていても衣擦れの音や息や咳払いがかなり気になり、何度か入眠が妨げられた。 突然、隣のベッドから声がする。 何と言っているのか聞き取れない。 母音が強く、喃語のようにも聞こえる。 寝静まった病室で発するには不釣り合いな音量。 時々語尾が上がるので、もしかすると、夢の中で誰かと会話

        • ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術11 術後3日目

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 寝返りに失敗朝、6時半くらいに痛みで目が覚めた。 寝返りの際に、うっかりいつもどおり腰を浮かせてしまい、下腹部にビリッと痛みが走る。 この失敗のせいか、朝トイレに行くと、ナプキンが昨日より少し鮮やかに色づいていた。 もしかして、奥の縫い跡に響いてしまっただろうか。 昨日に比べると、平静時のお腹の創の痛みがだいぶ良くなっている。 あっちが引っ込めばこっちが出っ張る。 痛いところは代

        • 固定された記事

        はじめまして 〜自己紹介〜

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術10 術後2日目

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 痛みで目が覚めた朝7時、よく寝た。 ぐっすり眠った。 ある一時を除いては。 深夜、創の痛みで目を覚ました。 どうも睡眠中、深く息を吸うたびに創にさわるらしい。 呼吸の都度、ズキンと刺すような痛み。 浅く胸式呼吸にすると楽だが、そうすると緊張して眠りが浅くなる。 両得できる何か良い方法はないものか…と呼吸のリズムや深さをあれこれ試すうちに、またすっかり寝入ってしまった。 それだけ

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術10 術後2日目

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術9 術後1日目・後半

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 歩く練習「歩く練習をしてみたいんですが」 ベテラン看護師さんに切り出してみた。 歩けるかよりも先に、早く尿の管を抜いて欲しい、その一心だった。 「そうね、ずっと寝てるのも良くないからね」 キャスター付きの点滴スタンドを手元まで持ってきてくれた。 「ハンドルと手すりを掴んで、ゆっくりいこうね」 尿の管を気にしながら、腹の創をいたわりながら、尻でずりずりと移動しベッドの端から足をおろ

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術9 術後1日目・後半

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術8 術後1日目・前半

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 夜明け少し眠っては痛みで目が覚めるのを繰り返す。 目を覚ますたびに、カーテンの向こうが明るくなってくる。 廊下がまだ静かなので、5時くらいだろうか。 見回りの看護師さんが様子を見に来る。 「痛み止め、効いてる感じしますか?」 正直に言って、劇的に効いた感じはなかった。 ないよりはマシ。 それでも何の見栄なんだか、つい張ってしまい、 「えぇ、まぁ…」 などと曖昧に返事する。 「今は

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術8 術後1日目・前半

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術7 術後の長い夜

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受けた。 34歳の5月半ばのこと。 痛み止めの点滴日がすっかり暮れて、病室のカーテンは閉められ電灯もつけられる。 病室の外から、デリカートの動く音や夕食の匂いが運ばれてくる。 しかし、今は全然お腹が減らない。 神経ブロック麻酔が切れてきたのか、お腹の創がじわじわズキズキと痛んできた。 一番痛みが強いのはへそ。 へその穴に千枚通しをつっこまれてぐりぐりされているような、鋭い痛みが休みなく襲ってくる。 おまけに何だ、ず

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術7 術後の長い夜

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術6 手術終わりの目覚め

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 麻酔からの目覚め私は職場のいつもの自席で、電話をかけている。 おそらく、取引のある業者さんとの連絡だ。 相手から見えもしないのに、受話器を持ちながら頭をぺこぺこ下げている。 そんな自分の様子を、2mほど離れた斜め後ろから眺めていた。 そんな夢を、麻酔中に見た。 手術中なのに仕事の夢を見ている、と自分でも妙に冷静に思った。 麻酔中にまさか明晰夢を見るなんて。 「終わりましたよー」

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術6 手術終わりの目覚め

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術5 手術室入り

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 手術室の前で銀色の自動ドアをくぐると、そこは長椅子が置かれちょっとしたロビーのようになっていた。 さらに奥にいくつもの手術室のドアが並んでいる。 ロビーにはすでに数人の手術室付き看護師さんが待っていた。 「あらー!どうしたのー!」 入るなり泣き顔の私に気づいて、手を握ってくれる。 「ちょっと緊張されているみたいで…」 病棟看護師さんがフォローしてくれる。 「だいじょうぶ!心配する

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術5 手術室入り

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術4 手術日・朝

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 朝自然に目が覚めた。 7時ちょっと前か。 この日の天気を思い出せない。 病室の外では、廊下を歩く足音やトイレを流す音、洗面台で歯磨きをする音が聞こえてくる。 「おはようございまーす」 病室のドアが開けられ、看護師さんが小さなワゴンを引いて入ってくる。 ヤバい、寝坊扱いだ。 電灯がつけられ、カーテンを開けられた。 「ゆうべ、眠れた?」 「はい、ぐっすりです」 自分でもびっくりだった

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術4 手術日・朝

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術3 入院日・総回診と最後の晩餐

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 総回診の時間です15時くらいだろうか。 病室に時計がないので、自分で携帯電話などを開かないと時間がよくわからない。 腕時計も極力したくないし、金目のものを見えるところに出しておきたくない。 退屈で時間の流れがとても遅く感じるが、初めてのことや色んなイベントが立て続けに起きて、意外と慌ただしい。 ベッドの枕元にあるナースコールから、チャイムとともに放送が流れた。 こうした個別放送に

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術3 入院日・総回診と最後の晩餐

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術2 入院日・口腔外科と最後のシャワー

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 口腔外科入院して早速、暇になってしまった。 ベッドに腰かけて、持ち込んだ電子書籍リーダーで読書を始めた。 少しでも明るい気持ちになりたくて、ダウンロードしておいた和山やま『女の園の星』第2巻を読む。 くだらないのに笑ってしまう。 これは術前に読んでおいてよかった…多分術後は腹筋が死ぬな…と思い読み進めていくと、不意に看護師さんがやってきた。 「練りものさん、口腔外科の順番がきた

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術2 入院日・口腔外科と最後のシャワー

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術1 入院日・麻酔科

          ダ・ヴィンチという手術支援ロボットを使って、子宮全摘出手術を受ける。 34歳の5月半ばのこと。 朝の準備入院の日がやってきた。 午前10時に病院に入ることになっていた。 いつもの仕事に行く日と同じくらいに起きて、いつもと同じ朝食や身支度をしながら、入院の荷造りの最終チェックをした。 変に緊張しないように、あくまでいつもと同じように行動する。 手続きには母も同伴することになっていたが、母のほうが慌ただしかった。 家族の食事と自分の支度と祖母のショートステイの準備。 この日は施

          ダ・ヴィンチ子宮全摘出手術1 入院日・麻酔科

          入院準備

          さて、2週間後の5月半ばに入院である。 スケジュールはこうだ。 手術の前日に入院、手術当日、術後5日目に退院。 たった7日間の入院生活となる予定。 自宅とは異なる環境で、不自由な身体で生きなければならない。 少しでも居心地の良くなるように身の回りを整えたいところだ。 かばんはリュックサックにした。 THE NORTH FACEのBC Fuse Box初期型。 旅行のときにいつも使っている背中の相棒。 容量30Lで頼もしいヤツ。 前に入院したときに気づいたが、病室の収納スペー

          入院前 周囲の応援とナーバスな私

          入院まであと数日に迫ったころ。 職場の親しい人たち数人に、何によって入院し何をしてくるかを伝えておいた。 反応は様々で、そのひとつひとつが励みになったし、私の心を揺さぶった。 パートタイムの60代女性先日も記述した、子宮全摘出の大先輩である彼女。 「取ったら楽だよ。ちょっと寂しいかもしれないけど、あとですっきりするって、絶対」 経験者は積極的かつ肯定的に捉えてくれる。 応援の追い風と感じて、心強く感じた。 受付窓口の40代女性職場の受付窓口をいつも担当している40代の女性

          入院前 周囲の応援とナーバスな私