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どうしようもなく、救われた。


半年くらい前、初めて''インディーズのバンド''が僕の手の届く範囲に存在していたことを知った。それまでは知らない文化圏だったから。

うん、今日、ヤマトパンクスもカワノもしつこくお互いを嫌になるほど一緒にやってるって言ってたな。知ったのも二バンドまとめてだった。

知らない世界だった。僕はなんとなく高校で部活必須だったからゆーるい軽音部入って、ゆーるくやってた。そこら辺の邦楽ロックをかじった。別に何が悪いとか、そういう話ではなく、刺さった。刺さってしまったのがこの二人、二バンドだった。

ちょうど受験が終わって、暇になった隙間に流れ込んできた劇物。今まで知っていた音楽のちからが、優しさであれ痛みであれ、それはしみるようなものだったのに、抉る齧る壊す傷つける、どうしようもなく魂を削るような音楽の存在、在り方を教えてくれたのだ。

しばらくはCD集めたり(cryamyの#2はどうしても手に入らないやつなのではやくテリトリアルを入れたアルバム作ってください。)、一人暮らし始めて生まれた隙間をどんどん侵食したこの世界は僕の人格を大幅に塗り替えやがってくれた。
そんなことは無い気もするし、やっぱり衝撃だったとも。

そうしてようやく、夏のツーマンはなんか気づいたらTLを流れ過ぎ去ってたから、ようやく、ようやく参加ができた。ようやく生で見れた。かの有名なライブレポを見たり、夜間通用口が大好きだからライブ映像の上がってる方見まくったりして、ようやく生で。

さっき下北沢から息切らしたまま小田原線で新宿乗り換え、千葉行きの総武線各駅で終点近くまで向かってる中で電池は15%、泣きながら書いてる。

本当にどうしようもなく生だった。

ライブハウスでライブを見るのさえ初めてだったから、批評的価値をこの駄文は全く持たないけど、限りなくこの世で実体だった。輪郭が明瞭とでもいうか、正しくこの世界の、現世の質量だった。

僕はこのライブに参加する前に、まあとにかくずーっとPK shampoo聞いてて、〝奇跡〟の印象的なフレーズ 「君よ統計学上の人にならないで」 がなんだか異様に引っかかってて、それを記事に起こそうとしたんだけどなんとなく中庸なことしか書けなさそうだったから今日、生で聴いてから書いてみようって取っといたんだけど、、、PK shampooは!前半だったし!なんなら奇跡は一番初めだったから!その曲を聴いてどう思ったかなんて何も覚えていない。とまではまあ、言わないけど、この詞が向けられる方向が、今日、ライブを見て、CRYAMYも見て、とても広くて、偉大な言葉だって、なおのこと気付けた。

ヤマトパンクスはいきなり「北海道にこのツアー回ってる時、札幌で寝転がってたら歌詞が完全にでてきた」とかそんなことを言って、今日初めて合わせたとかいう新曲をやり出した。意味がわからない。
でもその曲聞いて感じたこと。‘’この人は絶対数字を取りには来てない。”
絶対とか言えるほど僕は偉くないけど、まったくキャッチーじゃないし初見だからスルメ曲かもわからない。きっとだれもこの一発でなんのフレーズも覚えられなかったと思う。それでも僕らは魅せられていた。意味わかんないけど全力で手を挙げた。頭を振って、跳ね続けた。

僕らはきっとそんなPK shampooに魅せられている。
「統計学上の人にならないで。」と願っているのは他でもない僕ら自身なのだ。数字を取りに行く彼らを求めていない。これも何が悪いとかそういう話じゃないけど、、「そんなものがなくても、俺らはしっかり魅力的だろ?」僕にはそういうふうに聞こえた。励ましてくれているような、自戒のことばのような、誰に向けてもいい。誰が受け取ってもいい。
あくまでも、この社会でデジタル的にデータ化された評価を得ようとした人間を、否定する言葉ではない。そこ以外の部分だって、しっかり見ているから。そんな大きな肯定感を与えてくれる。
その数字では見えない部分を見てくれる人間に出逢えることは、奇跡と呼ぶんだろうね。

本当はCRYAMYが後半やったからどうせみんなCRYAMYの話しかしないんだろとか思って書くつもり無かったんだけど、カワノ、MCがすごいんだ。

はたから見たら綺麗事でしかないし、そう俯瞰できる自分が居ない訳では無いけど、彼が「あなたの痛みは知ったことではない」 そんなふうに吐き捨てるから妙にリアルだった。
カワノはありがとうって言い続けてた。最初はフラフラ、色んな人に悪態つけて回っていたのに、熱くなっていくに従ってありがとうしかいわなくなる。
でも、MC聞いてわかった。「簡単なこと言えやしないよ。君の絶望に触れていたいよ。」こんな歌詞、綺麗事でもなんでもなく、アイツは本気だった。とんでもなく本気で、ていうか本気すぎてこの曲は本命なのに、勿体つけすぎた挙句最後に連続で2回やった。‘’テリトリアル” 早くアルバムに入れて出して欲しい。
「生まれてきてよかったなんて思ったことはないんじゃないかな。まあついでにいえば生きてきてよかったなんてこともないんじゃないかな。」こういう気持ちを肯定し続ける。とにかく受け止めようとする。その姿勢は一見投げやりで、何が辛いとか知りませんよってまだ言い続けてる。なのに、最後にカワノは言うんですよ。「誰もいなくても、最後に俺が守る」って。

ヤマトは言うんですよ、「星みたいな存在になりたい」って。「たとえば公務員やってたり、芸人やってるかもしれないし、会社員かも。どこでもいい、誰かにとって星みたいになりたい」

この2人は本当に似ている。
ふところが大きいんですよね。どうしようもなく優しい。
守るって何からだよ!とかそういう話はしてない。最後に俺がいるんだって言ってくれて、隣の女子高生は泣いてた。それ見てつられて僕も泣いた。それでいい。

本当に最高だった。星は見守ってくれてるのかもしれないし、僕らが目指すべきひとつひとつの頂点かもしれない。先陣切って叫び続ける優しさが大好きで、何言ってるのかほとんどききとれないカワノが、ずっとずっと、最後に守るって叫び続けてくれた。あのMCは聞かなきゃわからないかもしれない。けど、聞いたらわかるよ。

0時過ぎ、家帰ってきて、ちょっと冷静になったので前の文は見返さずにまとめたい気もするし、このどうしようもない情動は、たまらなく愛おしいなとも思いますが。
今日はあいにくの雨だけど、月がでていたら。
“please gaze a blue” あの光を眺めて、夜空に空いた夜間通用口の向こうへ、きっとヤマトパンクスは導いてくれる。きっとカワノが支えてくれる。
そういう父性愛を全力でぶつけてくれた。

耳鳴りはしばらくやまない。けど、あの熱狂の中でうまれた全能感が、今はもうない。
きっと明日から生活がガラリと変わる。なんてこともないんだろうけど、いまはもう、「死ななくてよかった」って、そう思える日を期待できる。

ありがとう。

絶対また行く。

#PKshampoo #CRYAMY


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