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もうすぐ春ですね
サーっと吹く風にのって、どこからともなく芳し香りが流れてきた。
その匂いは、目の奥がゆっくりと明るくなるようなような爽やかさと鼻の奥へしっとりと沈む甘酸っぱい香り。
だんだんと胸に広がり、きゅーとさせて懐かしい記憶を引っ張り出す。
匂いのする方へ足を向けてみると、赤や白・ピンクの梅の花が咲いており、花弁を丸く精一杯に広げた梅の花。
その花と花の間にはぷっくり膨らんだ蕾がちらちらと見え、太陽の光を体中に浴びた梅の木からは、満開の時期が間近に感じられる。
冷たい空気の中でも、少しずつ春がやってきているのだと、心は軽やかに浮き足立つ。
こんなに気持ちの良い陽気だと、思わず、苔か芝生か、はたまたその両方か、分からないふわふわの地面にゴロンと寝転がって、木の真下から、梅の花を挿絵に真っ青な空を眺めたい衝動に駆られつつ、冷たい冬の空気と風にその衝動は小さく身を潜める。
結局、ゴロンとはならず、ヒヤッとする石の椅子の上にお尻を預けて梅の木鑑賞。
もうすぐ春。
暖かい春の桜も好きだけど、春が近いのだと感じさせる梅の意地らしさもまた、心地良い。