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はまぐり買えない症候群

ひな祭りの時期になると、突然スーパーに現れるはまぐり。

100g198円、お買い得。

でも、これが毎年買えない。

まず、はまぐりは貝殻の部分が大きい。
だから可食部でいうと、同じ値段の肉より高い。

そもそもパック売りなので、小売価格は最も小さいサイズでも600円以上する。

タンパク源は100g100円を基準とする家庭には、ステーキ肉並みの高嶺の花だ。それがメインディッシュでもない存在に投下するのは、身震いするほど贅沢だと思う。

それでもかつて、一度は子どもに食文化を伝えたいという野心を持って購入し、はまぐりのお吸い物を作った年があった。

しかし、これが大変に不評。

感動と笑顔を期待してめちゃくちゃ奮発しただけに、ショックだった。

それでも毎年、ひな祭りの買い出しには、はまぐりの売り場に足が向いてしまう。もしかしたら、298円や398円くらいの極小のパックがあるかなあなんて、期待をして見渡せど、そんなサイズ感の売り物はなし。

代わりにインスタントの永谷園の松茸味のお吸い物を買って帰った。子どもたちが確実に喜ぶことが分かっている、安心の味である。

ひな祭りのはまぐり汁。

そもそも自分ちで出された記憶もないし、好物でもない。でも、なぜか毎年確認せずにはいられない。


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ゆっか
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。