のら庭っこ便り#011 2023 7/2-9 弐 夏の真昼間の夢
※この記事は、虫の写真がテーマです。苦手だけど慣れたい方に向けて、風景的に撮っています。
夏は、虫たちの天下。
週に半日程度の滞在の謎の大型生物が、この庭を管理しているだなんて、他のどの生物が認めてくれるでしょう?
突然見知らぬ宇宙人が空から降りてきて、「この星は私のものだよ」といわれても、納得できないのと同じくらい、理解してもらえなそうだなあ。
なんて思いながら、一歩進むたびに虫たちがジャンプして避けていくのら庭です。
夏野菜は、採れたら採れたで食べきれず、冷蔵庫で傷ませてしまうことも少なくありません。
食べ頃を待っていたら虫たちに先を越されるのは残念でもありつつ、畑にある限りは、「ムダ」にはなっていないんだよねえとも思ったり。
レモン汁を入れると色が変わるハーブティが作れるということで植えたコモンマロウ、
育ちやすいからと毎年植えているフェンネルは、春の花が終わった後の、貴重なのら庭の彩り。
いつ見てもアリやカメムシ、蝶などいろんな虫たちで賑わっています。
いろいろな虫たちが棲まうなかで、一番目立っているのはやっぱりショウリョウバッタ。
ちょっと前までは、小さい生まれたてばかりだったのが、
脱皮を重ねて、
今や、一番のマジョリティ。
彼らを狙うカマキリなど、
捕食者の姿もちらほら。
こちらから見ると「こんなにいっぱいいるのだから、闇雲に襲ってもつかまえられるのでは?」と思ってしまうけど、
彼らは本当にじっくり、じーっと、確実な瞬間を狙っており、明らかにロックオンしているような距離と目線が確認できてもなかなか動かず、
「その瞬間」が訪れないまま、目標が去ってしまっていることも。
虫たちがお互いをどう意識しているのかは分かりません。
餌でも天敵でもないもの同士は、もしかしたら「見えているけど認識してない」パラレルワールド状態なのかもとか、
自分が物心つき始めた頃、名前を知ってていつも一緒にいる人以外、「見えているけど認識していない」状態だった頃をを思い出しながら想像しています。
先生の言葉も自分に向けられたときだけ聞こえていて、職員室での先生同士の会話は、ただの環境音だった感じ。
自分と直接関わっている瞬間以外、ぜんぶ背景。
観測している瞬間以外は、みんな波のなか。
わたしたちも、命として動き出した瞬間から、お腹のなかで生命の歴史をなぞってヒトのかたちになるんだそうですが、
だとしたら、人間以前の意識も、わたしたちは覚えていないだけで経験している、のかもしれないわけで。
虫たちボーッと眺めていたら、ちょっとは思い出せるかなあなんて、熱中症なのか、白昼夢なのかわからない気持ちになりました。
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。