スポーツ現場で必要な準備
どうもこんにちは
以前接骨院のブログに寄せた記事をリライトしてお送りします。
柔道整復師であろうとATであろうと、もしくはスポーツを指導している教員の方や週末に少年野球やサッカー教室でボランティアで保護者コーチをやっている方も。
みなさん、いざというときの備えは万全ですか?
自分は柔道整復師だから、ATの資格を持っているから、何が起こっても対応できるだろうとタカをくくっていませんか?
もしくは、自分はメディカルスタッフではないからとかボランティアだからと、何か起こったら詳しい人に助けて貰えば良い、救急車を呼べば良い、と安易に考えていませんか?
いざという時に迅速に対応できるかどうかというのは、対応計画がしっかりと立てられているかが大切なポイントになります
緊急事態が起きた時(怪我が発生した時)どのように行動するか。それをあらかじめ具体的に決めておくこと。
それが「緊急時対応計画、EAP(emergency action plan)」です
僕は学校スポーツの現場で活動しているのであくまで部活動中の話になりますが、そこでの具体的な準備とは主に
・AEDとスパインボードの設置場所
・トレーナーや指導者の連絡先
・搬送病院の連絡先
・学校における救急車の走路
などがあげられ
それらを関係者(教師、保護者、指導者、トレーナーなど)で確認し、周知し、意思疎通をし、誰が見てもわかりやすく提示し、さらにそれを確実かつ迅速に対応できるように対応を計画しておくこと、それを実行できる人材を育成することがEAP作成の目的になります
ではここでケーススタディ。
ある日曜日、あなたが部活動の試合に帯同中、選手がひどく足首を捻り、しかも痛みから歩けない、程度や症状から骨折の疑いがある。としましょう。さてあなたのするべきことは何ですか?
答えはあなたの立場や持っている資格、できることにより異なってくるでしょう。応急処置かもしれませんし、保護者の方への連絡かもしれませんし、その日曜日にすぐに受診できる病院を探すことかもしれません。(状況によっては一人で全部やらなければいけないかもしれませんが)
すぐに答えることができましたか?
大切なことは、この状況に直面した時に自分のすべきことが明確に定まっているかどうかです。
帯同している人それぞれにきちんと自分の役割が明確化されていれば「私は応急処置、あなたは担架、あなたは病院に連絡、そしてあなたは保護者の方に連絡」と即座に対応し円滑に物事が進みます。
仮に誰も応急処置ができる人がいない場合でも、それが事前にわかっていて「応急処置できる人が今日はいないからどうするか」ということさえ決めてあれば、少なくとも冷静に対応できるはずです。
起こった事態に対して立場や資格、できることに応じて何をすべきかを決めておくことの重要性がわかると思います
さて、僕の肌感ですが
実際には緊急事態が起こった際に最も大切なのは「冷静に行動できること」であると感じています。
つまり心の準備をしておくこと。頭の中で何度も何度もシミュレーションしておくこと。
実際のスポーツの現場では本当に色々なことが起こります
出血で血だらけだったり、脚がとでもない方向に曲がったり、痛みで患者自身がパニックになったり、頭部外傷で痙攣を起こしたり…。慣れていなければショッキングに感じるような現場に立ち会うこともあるでしょう
そういった場面に遭遇した時に冷静にそれを実行できる自信はありますか?命に関わる怪我に対応する心の準備は整っていますか?全ての責任を負う覚悟はできていますか?
何の計画も立てていない状況でそういったショッキングな場面に遭遇したら、技術的知識的に怪我への対応が可能であっても正しく実施できない可能性が高まります。どれだけ大変なことが起こっても少しでも正しく対応できるように。「いつ何時目の前で命を落とす可能性のある外傷が発生してもおかしく無い」と心にとどめておく事。それも立派な準備と言えるでしょう。
特に学生スポーツの現場に立つ人は忘れずにいてほしいです
ぜひ『EAP』作成してくださいね
ちなみに、これらに加えてトレーナー活動時にやった方がいいティップスをいくつか挙げておきます。
・運動開始前のチェック(脳振盪の既往歴、体調不良の確認)
・外傷発生時刻の記録*
・運動時間の記録*
・(頭部外傷時)意識喪失時間の記録*
・JCSを覚える
・ゴム手袋は常につけておく(血液に直接触れない為)
・周囲の人間に対する指示を考えておく
…などなど
(*は救急隊員に引き継ぐ際に聞かれるので記録しておくと良い)
まぁ書き出したらキリがなありません。まだまだいくらでもやるべきことはあります。とにかくどれだけ準備してもやりすぎと言うことが無いんです
スポーツ現場で「今日も何事もなく平和だったね」と毎回言えるように。きちんと準備しましょう
それでは、また。