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【豊島晋作】日本半導体産業、復活のシナリオとは!?⑦

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湯之上:半導体の工場に税金をつかうなら、熊本に来るTSMCではなく、広島にくるマイクロン(米国)にこそ使うべきだと、僕は考えます。

なぜかというと、「EUV」といって非常に微細なパターンを形成する、最先端の露光装置、なんと1台180億円もするのですが、これはマイクロンにしかないものなんです。日本には1台もない。

EUVがはいることによる、技術的な波及効果はとても大きい。それに日本には、EUVの製作を支える装置・材料メーカーがごまんとあります。新技術を呼び込めるマイクロンの広島工場には、補助金をつかう意義が大いにあるでしょう。

豊島:なるほど。
ではもっと大きな視点で見たとき、今後、日本の半導体業界はどんな戦略でいくべきだと思いますか?

湯之上:従来のようにでかい工場を建てて、そこで半導体をつくって、日本のシェアを上げる道って、とても大変なんですよ。そもそも一つの工場をつくるのに1兆円かかります。日本は今からそんなものボンボンつくれませんし、人材もいません。

でも一つ、方法があります。

このグラフは、2021年の世界半導体メーカーの売上高ランキングです。1位がサムスン、2位がインテル、3位がTSMC。日本のキオクシアは15位ですね。

注目してほしいのは、赤で囲ったメーカーの、成長率(黄色い線)です。

クアルコムは、2021年から2021年にかけての成長率が52%。ディアテクは58%。NVIDIAは52%。AMDは64%。これらは全て、ファブレスなんですよ。

豊島:ファブレスというと、自社で製造工場をもたない企業、ここでは半導体の設計図面を描くだけの企業の意味ですね。理系の、非常に頭の良い人しか描けませんが。

湯之上:そうです。ファブレスってすごく成長するんですよ。どんな半導体をつくれば良いかを調べるマーケターと、優秀な設計技術者さえいれば、たった1年で50%もシェアが伸びるんです。

豊島:工場も、設備投資もいらない。少人数の頭の良い人たちだけで、他の半導体メーカーと勝負できる。

湯之上:そう。設計ソフトと人、つまり知恵と情報だけで戦えるんです。

豊島:それは東工大とか、東大の工学部の人たちでつくれるようなものなんですか?

湯之上:できると思います。あとは設計技術者を養成する大学の研究室に、もっと金をつけるだけ。また設計ファブレスはたいていスタートアップですから、創業支援も積極的に行う。それによって大化けする企業が出て来るはずです。

日本の半導体が復活するには、今までのように大きな工場をつくって何千人と雇うスタイルから一旦離れ、少数精鋭の知恵と情報で勝負すべきです。

豊島:ただハーバード大やケンブリッジ大、MITなどに比べると、東大や東工大はきついのでは、という見方もあるようですが。

湯之上:今のままではダメでしょうね。もっと海外に出て、ハーバードなどと共同研究をさせる。その上で設計技術者のタレントを育てる。それを日本政府がバックアップする。それこそが政治の使命だと僕は思います。

豊島:パックン、出身校であるハーバードまで、技術者を連れてツアーをやったら?

パックン;やろうかな。「パックンの楽しいハーバードツアー」!

豊島:(笑) 今日はお二人とも、ありがとうございました。

こちらの動画をテキスト化し編集したものです。


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