俳句
補助輪の取れた背中に桜雨
追風やチャリのペダルに春来たり
ひこばえに陽の当たる日のアウスかな
鞦韆や風に揺るるは未知の朝
アオハルの落書きの曲夏浅し
指先の君の香流す夏の雨
数式に君の右手が滑る夏
サーブ打つ刹那視界に虹もあり
短冊の夢を滲ます洒涙雨
夏季講座フィヨルドの線なぞりたり
やはらかな雨に濡れしは祭りあと
夕凪や大和の如き今日をゆく
赤本の背の色変える日差しかな
泥臭い水面を泳ぐ楓たち
小春日や姫達笑うリノリウム
紅葉や子らの染まりし掌よ
満月に見惚れる君の目の光
引きこもり微分積分リンゴ食う
通玲瓏や都市の朝にも深雪かな
手袋は母子を隔てるやさしさで
タピオカもホットな季節冬深し