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制御工学: 一次遅れ系のフィードバックシステムにおいて、ゲイン定数を変更したときの過渡特性と定常特性を考える
1.はじめに
今回は一次遅れ系のフィードバックシステムにおいて、ゲイン定数を変更したときの時間応答解とその傾き、そして定常値と定常偏差から過渡特性と定常特性にどのような差異が生まれるかどうかを考えてみます!
2.今回考えるフィードバックシステム
今回は、以下のような一次遅れ系のフィードバックシステムを考えます。
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入力をR(s)出力をY(s)とし、誤差をeとしました。伝達関数G2=1として、伝達関数G1=K/(s+1)として考えます。
3.ステップ入力を与えた際の、時間応答解と時刻0における傾きを求める
まずは、e(s)とY(s)を求めます。
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では、システムにステップ入力を与えたときの時間応答解を求めます。さらに、これを微分して、時刻0における傾きを求めてます。
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4.定常値と定常値の90%に到達するときの時間を求める。
定常値は次のように求まります。
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これより、定常値の90%に到達するときの時間を求めると、次のようになります。
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5. 定常偏差を求める
定常偏差は、以下のように求まります。
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6. これまで求めた結果のまとめと考察
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時間応答と、定常値の90%に到達する時刻のグラフ
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過渡特性
時間応答の式と時刻 t=0における傾きから、ゲイン定数 Kを大きくすると初期傾きが増加し、システムの応答がより急速になることが理解できます。具体的には、グラフ上で K=1 (青色) と K=100 (黒色) を比較すると、後者では急激に定常値に近づいていることがわかります。さらに、今回のシステムでは、ステップ入力に対してオーバーシュートが発生していません。これは伝達関数 G1の極が負の実数であり、減衰特性を持つ一次遅れ系であるためです。その結果、過渡応答は入力値に滑らかに収束します。この挙動は、ステップ入力特有のものであり、サイン波やその他の波形入力の場合には異なる応答が生じる可能性があります。
定常特性
定常値の式とグラフから、Kを大きくすると定常値は1に近づくことがわかります。また、定常偏差が式を見ると指数関数的に減少し、0に近づいていくことがわかります。今回のシステムの場合は、Kを大きくすれば、定常特性が改善されることがわかります。
最後に
今回は、一次遅れ系のフィードバックシステムにステップ入力を与えた場合の動きを見てみました。ゲイン定数 Kを調整することで、応答速度や定常偏差がどう変わるかがはっきり分かりましたね!ステップ入力はシンプルなので、特性がつかみやすかったです。
次回は、サイン波やコサイン波などの周期的な入力を加えた場合の応答について考えてみようと思います。振幅や位相遅れといった要素が出てくるので、より複雑な動きが見られるはずです。また、時間があれば、二次遅れ系や非線形システムなんかも試してみたいですね。気が向いたら更新します。
ではまた!