ネオ・ディグ・モード vol.5 「カルヴェン(CARVEN)」
東京を拠点にフリーランスで海外ブランドのPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、気になる海外ブランドを深堀りする新連載!
私が2023年元日からvol.110まで公開した「ディグ・モード」のリニューアル版です。
vol.5は、カルヴェン(CARVEN)!
私がカルヴェンに注目し始めたのは、2024年春夏パリ・ファッション・ウイークがきっかけ。
ちょっと背伸びして着てみたくなる、洗練された女性らしいデザインに引き込まれました。
カルヴェンってどんなブランド?
カルヴェンは、1945年にパリで設立されたブランド。2023年から、イギリス人デザイナーのルイーズ・トロッター(Louise Trotter)がクリエイティブディレクターを務めています。
この記事では、ルイーズに着目。彼女のバックグラウンドや、カルヴェンでのインスピレーション源について深堀りしていきます。
祖母との裁縫で創造力が開花
イングランド北東部の港町、サンダーランドに生まれたルイーズ。仕立ての仕事をしていた祖母のもと、彼女の創造力は鍛えられました。
ルイーズが祖母から教わって作ったのは、人形用の小さな服です。祖母は型紙の切り方を教え、裁縫用に古いテーブルクロスやカーテンを使わせてくれました。
1991年、彼女はニューカッスル大学でファッションデザインの学位を取得。実は、卒業したばかりの頃、ファッション業界でキャリアを積んでいく明確な道筋は見えていませんでした。
当時、「ファッションデザイナーになりたい」と言うのは、「ロケットで月まで行きたい」と言うのと同じようなもの。
しかし、ルイーズは「ファッション以外には何もない」と意思を固めました。イギリスやアメリカ、フランスで、さまざまなブランドで経験を積み重ねていくことに。
そして、2023年2月。彼女はカルヴェンのクリエイティブディレクターに任命されました。
カルヴェンは「眠れる森の美女」
ルイーズにとって、カルヴェンは「眠れる森の美女」のようなブランドでした。
彼女がカルヴェンで気に入ったのは、豊かな歴史を誇りながらも、特定の製品やロゴに縛られていないところ。
創造する自由があったおかげで、ルイーズはブランドに新しいビジョンをもたらすことができました。
彼女が最初に考えたのは、「カルヴェンがどんな存在になるか?」について。
そして、取り掛かったのは、ブランドの創設者カルメン・ドゥ・トマソ(Carmen de Tommaso)のリサーチです。
創設者について、「とてもダイナミックな女性」と感じたルイーズ。カルヴェンでは、「個性のある強い女性のために、服を作らなければならない」と感じました。
ルイーズにとって、「個性のある強い女性」とは、「他人のためではなく、自分を喜ばせるために服を着る女性」を指しています。
自転車通勤でインスピレーションを得る
ルイーズは、パリ左岸の自宅からシャンゼリゼ通りのすぐそばにあるカルヴェンの本社まで、約20分間の自転車通勤をしています。
パリの通りを自転車で走るとき、ルイーズは観察に夢中です。視線の先は、作品にインスピレーションを与えてくれる「忙しい女性たち」。
スニーカーを履いている女性を数えたり、彼女たちが持っているバッグを心に留めたりしています。
ルイーズが好きなのは、服が女性たちの実生活に役立つのを見ること。
女性がカルヴェンの服を着て気分が良くなり、素敵に見えるのを何よりも好んでいます。
ルイーズがデザインするカルヴェンが気になったら、チェックしてみて!