ネオ・ディグ・モード vol.32 「アブラ(ABRA)」
東京を拠点にフリーランスで海外ブランドのPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、気になる海外ブランドを深堀りする新連載!
私が2023年元日からvol.110まで公開した「ディグ・モード」のリニューアル版です。
vol.32は、アブラ(ABRA)!
FARFETCHをチェックしていたとき見つけた、アブラ。
スペイン出身のアブラハム・オルトゥーニョ・ペレス(Abraham Ortuño Perez)が2019年に設立した、パリ拠点のブランドです。
この記事では、デザイナーのバックグラウンドやブランドに対する想いをメインに、深掘りしていきます。
マルジェラの影響を強く受ける
アブラハムが生まれたスペインのアリカンテは、靴の製造で有名な場所。彼の両親は、そこでレストランを経営していました。
アブラハムがファッションに導かれたのは、10代の頃。
メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)のアクセサリーを手がけた、バルセロナ出身のエレナ・カルドナ(Elena Cardona)との出会いがきっかけです。
すぐにアブラハムの師匠となったエレナは、賢いデザインの仕方を教えてくれました。
それは、キッチンなど身の回りからランダムなものを探して、そこからデザインを始める方法です。
アブラハムは、マルジェラの影響を強く受けていて、そのDNAを受け継いでいます。
アブラハムにとって、マルジェラは純粋でありながら、力強いものを作る最も賢いデザイナーです。
自分のペースでブランドを拡大
アブラハムが実際にファッションのキャリアをスタートしたのは、2015年。
ジャックムス(JACQUEMUS)で、アクセサリー デザインに携わったときです。
2010年代の後半には、JW アンダーソン(JW ANDERSON)やロエベ(LOEWE)、コペルニ(COPERNI)などのコンサルタントとして活躍。
そして2019年、アブラハムは自分のブランドを立ち上げました。
最初はマーケティングチームもなければ、ビジネスプランもなし。
あまりリスクを冒さないタイプのアブラハムは、流れに身を任せながら、現実的に成長していきたいと考えています。
自身のデザインを愛してほしい
ジャックムスやJW アンダーソンとの仕事を続けることで、自分のペースでブランドを拡大させてきたアブラハム。
彼にとって、ジャックムスを手がけるサイモンは、遊び心があるデザイナーです。
サイモンのデザインはミニマルですが、力強さがあると感じています。
そして、JW アンダーソンのクリエイティブディレクター、ジョナサンは、現代のシュールレアリストのような存在です。
サイモンやジョナサンと比べて、自身のデザインはもっとガーリーで、もっとポップだと捉えているアブラハム。
さまざまなデザインに携われることに、彼は喜びを感じています。
アブラハムが願っているのは、自分が有名になることではなく、ブランドが愛されること。
自分が誰だか知られたくないアブラハムにとって、自身のデザインこそが全てです。
気になったらチェックしてみて!