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ネオ・ディグ・モード vol.12 「スタンディング グラウンド(STANDING GROUND)」

東京を拠点にフリーランスで海外ブランドのPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、気になる海外ブランドを深堀りする新連載!

私が2023年元日からvol.110まで公開した「ディグ・モード」のリニューアル版です。

vol.12は、スタンディング グラウンド(STANDING GROUND)

LVMHプライズ2024をきっかけに知った、スタンディング グラウンド。新たに設けられたサヴォアフェール賞を受賞したブランドです。

スタンディング グラウンドってどんなブランド?

スタンディング グラウンドは、2021年にロンドン拠点のアイルランド人デザイナー、マイケル・スチュワート(Michael Stewart)によって設立されました。

この記事では、マイケルのバックグラウンドやデザインのこだわりをメインに、深掘りしていきます。


アートからファッションに転向

(image from the official Instagram)

スチュワートは絵の具で風景画を描くのが得意で、もともとアートの世界に進もうと計画していました。

ファッションに方向転換しようと思ったのは、アイルランドのリムリックアートデザイン学校に合格した後です。

スチュワートが育ったのは、アイルランド西部に位置するクレア州の田舎町。そこにファッションは存在しませんでした。

町の人々はドレスアップせず、彼の周囲にファッション業界で働いている人は誰もいなかったからです。

別世界だったファッションに強く惹かれたスチュワート。自身の衝動に従って、ファッション デザインへの転向を決意しました。

その後、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに入学。そこでデザインを学びました。

最初に想像力を刺激したのは彗星

(image from the official Instagram)

マイケルが作品に取り入れているのは、子どもの頃に見た風景です。

実家はクレア州の丘の上にひっそりと佇んでいて、彼はよく星空を眺めていました。

彼の想像力を最初に刺激したのは、彗星です。

1997年にヘール・ボップ彗星が空を横切ったとき、それが最後に観測されたのは約4500年前だと母から教わりました。

そのとき、古代人だけが見たものに触れることに、彼は魅了されました。

以来、彼はアイルランドの土地、そこに最初にやって来た人々、そして彼らが残した痕跡に興味を抱いています。

奇妙さを伴った美しさが大事

(image from the official Instagram)

2017年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業したマイケル。

クチュールのブランドに就職して、巨匠デザイナーから学びながらスキルを磨こうと考えたものの、もうそんな場所は存在しないと感じていました。

そこで、自分のブランドを立ち上げることを決意。名前のインスピレーションとなったのは、アイルランド全土にある立石(スタンディング グラウンド)です。

彼は、すべてオーダーメイドで作品を作っています。

最も重要なのは、奇妙さを伴った美しさ。体を引き立て、流れるような美しいラインが彼の好みです。

マイケルは、作品を店頭で販売するつもりはありません。大量生産は品質の低下を伴うことが理由です。

「1年間に美しい作品を10点作る方が、店頭に並ぶ作品を200点作るよりずっと充実感がある」と彼は考えています。

布で彫刻するようなデザイン プロセス

(image from the official Instagram)

マイケルのデザイン プロセスは、布で彫刻をするようなもの。

完璧なフィット感、完璧な仕上げ、そして全てを自分の手で作ることにこだわっています。

頭の中にビジョンはありますが、デザインをスケッチすることはありません。

ボディにドレープをかけて、パターンカッターと連携してフィット感を調整しながら、作品を作り上げています。

気になったらチェックしてみて!

text  𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨
imagery courtesy of STANDING GROUND
instagram
 @standing_ground_

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