学校教育の民主化「コミュニティ・スクール」
コミュニティ・スクールというものをご存知でしょうか?
コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を置く学校であり、学校運営協議会とは、法律に基づき教育委員会より任命された学校運営協議会委員が、一定の権限と責任を持って、学校の運営とそのために必要な支援について協議する合議制の機関のことです。
コミュニティ・スクールの主な3つの機能は、①校長が作成する学校運営の基本方針を承認する、②学校運営について、教育委員会または校長に意見を述べることができる、③教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる、が挙げられます。(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5)平成29年3月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、学校運営協議会の設置が努力義務化されました。第三期教育振興基本計画(平成 30 年 6 月 15 日閣議決定、2018年度〜2022年度)においては、全ての公立学校がコミュニティ・スクールになることを目指しています。
また、社会教育法第5条第2項に規定される地域住民等が学校と協働して行う様々な活動を指す地域学校協働活動というものがあります。これを行う地域学校協働本部は、幅広い層の地域住民・団体等が参画し、地域と学校が目標を共有しながら「緩やかなネットワーク」を形成する地域学校協働活動を推進する体制です。①コーディネート機能、②多様な活動、③継続的な活動といった特徴があります。
文部科学省は、コミュニティ・スクールの導入状況、地域学校協同本部の整備状況、学校運営協議会の『類似の仕組み』の実施状況などを調査しています。調査基準は原則として令和4年5月1日、調査対象は都道府県及び市区町村教育委員会(学校組合を含む)です。
全国の公立学校におけるコミュニティ・スクールの数は、15,221校(導入率42.9%)で、前年度から3,365校増加しています。また、全国の学校運営協議会の数は、13,198協議会(15,221校)で、1校に1つ設置している協議会の数は11,692協議会、複数校で1つ設置している協議会の数は1,506協議会(3,529校)、コミュニティスクールを導入している自治体数は1,213自治体(66.9%)となっています。
全学校種の導入率は、和歌山県が最も多く96.8%、逆に福井県は最も少なく1.5%となっています。自治体によってこんなにも差が出てしまうのかと驚愕していますがこれが今の現実です。
これまで、学校運営というものは各教育委員会及び各学校長の独断によって行われていたように思われた地域住民や児童生徒の方も少なくないと思います。コミュニティ・スクールと地域学校協同活動の一体的推進は、学校運営の更なる民主化、新学習指導要領や教育振興基本計画にも表れている「社会に開かれた教育課程」に向けた取り組みの第一歩だと感じています。地域全体で子どもを育てる、こうした「社会教育」の考え方で、学校教育の問題を解決し、児童生徒の健やかな成長を促す事こそが必要ではないかと思います。
(参考文献)
・令和4年度コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況について
https://www.mext.go.jp/content/20220914-mxt_chisui02-000024942_1.pdf
・コミュニティ・スクールおよび地域学校協働本部の学校種別の内訳
https://www.mext.go.jp/content/20220914-mxt_chisui02-000024942_2.pdf
・コミュニティ・スクール都道府県別一覧
https://www.mext.go.jp/content/20220914-mxt_chisui02-000024942_3.pdf
・コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進
https://www.mext.go.jp/content/20220914-mxt_chisui02-000024942_4.pdf