遊びとは学習である-幼小連結の要・「架け橋プログラム」-

皆さんは、「小1プロブレム」というものを聞いた事があるでしょうか?
新保真紀子さん(神戸親和女子大学)によれば、①授業不成立を中心にして、②学級の持つ学び・暮らし・遊びの機能が不全、③小学校1年生の集団が未形成の状態、と定義されるとのことです。
文部科学省の中央教育審議会は、これに対処する為に「幼保小の架け橋プログラム」というものを構想しました。
文部科学省のHPには、

「幼保小の架け橋プログラム」は、子供に関わる大人が立場を越えて連携し、架け橋期(義務教育開始前後の5歳児から小学校1年生の2年間)にふさわしい主体的・対話的で深い学びの実現を図り、一人一人の多様性に配慮した上で全ての子供に学びや生活の基盤を育むことを目指すものです。
 文部科学省では、令和4年度から3か年程度を念頭に、全国的な架け橋期の教育の充実とともに、モデル地域における実践を並行して集中的に推進していくこととしています。

と明記されており、国をあげて正面から取り組む姿勢を見せています。

大阪においては枚方市、箕面市がモデル地域として採択されています。

小1プロブレムが生じてしまう要因は様々考えられますが、先述の新保さんは、生活環境においては①異年齢による群れ遊びの経験不足や人間関係トレーニング不足、②孤立した親の子育ての未熟さ、③子供も親も自尊感情が低く、達成感がない、学校環境においては④就学前教育と学校教育の段差の拡大、⑤自己完結し、連携の少ない学校園所、⑥今の子どもにミスマッチな、頑固な学校文化や学校教育システムと述べています。

また、文科省は小1プロブレム発生の主要因を「家庭のしつけ」や児童の自己抑制に関するものとしており、幼稚園は、集団における基本的生活習慣を育成し、小学校は、幼稚園教育を踏まえ、規律ある学校生活を送る事ができるよう指導する事が求められるとしています。

文部科学省は、こうした問題を解決する為に「環境を通して行う教育」を基本としています。幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活を展開、遊びを通しての指導を中心として幼稚園教育要領・保育所保育指針に示す狙いが総合的に達成されるようにし(「遊び」は、幼児にとって重要な「学習」)、一人一人の発達の特性に応じることとしています。「表現」「言葉」「環境」「人間関係」「健康」というそれぞれの領域が一人一人の子どもの育ちを促し、生きる力の基礎を育成するという事です。

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協同的な遊びを通じた学びを重視するのが幼児・小学校低学年教育の接続で意識をしなければならない点です。こうした点から、幼稚園教育要領においては、「幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続のため、幼児と児童の交流の機会を設けたり、小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設けたりするなど、連携を図るようにすること。」とされています。

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例えば、小学校に幼稚園の園児が行き小学1年生が幼稚園児と共に遊ぶといった事や、近隣の幼稚園・小学校の職員で児童のパーソナルな情報を共有するなどといった事が架け橋プログラムにおいて重要となります。

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(参考文献)

・幼保小の架け橋プログラム

・幼児期の教育と小学校教育の接続について(掲載画像の全て)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/070/gijigaiyou/__icsFiles/afieldfile/2010/06/11/1293215_3.pdf

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