【旅ログ】歴史を滲ませる土地、男木島と女木島
香川県、瀬戸内海に浮かぶこの二つの島に行ってきた。
瀬戸内国際芸術祭でもない限り、中々行く機会のなかったふたつの島。
素敵な空気のある島だったので、記録に残したいと思いました。
■旅のはじまり
前日に高松入りし、高松港の近くに泊まった。
ちなみに前日の夜は大好きな一鶴へ!
行かれたことない方は是非。高松の名店です!
■旅のルート
フェリーにて
高松→男木島→女木島→高松
先に奥にある男木島へ行き、帰りに女木島へ寄るルートにした。
各島の移動にかかる時間は20分くらい。
このシマシマの船で向かいます。
■名前の由来
「おぎじま」と「めぎじま」
変わった名前なので、まず由来が気になった。
源平合戦の時、平家の船についていた扇が射ぬいかれ、この島に流れ着いた。
めげた(折れた)扇がたどり着いた島→「めげじま」が由来だとか。
男木島は女木島に対する島として名付けられたそう。
●男木島
この島の一番の特徴は、きつい勾配にある気がした。
とにかく平な道がない。必ず登るか降りるかしている。
道は細く入り組んでいて、車はもちろん自転車も厳しそう。
地図で近くに見えてもなかなか辿り着かない。
ただ、勾配が急なお陰で、どこからでも海が見える。
10分内陸に歩いてもまだ海が見える。こういう海の近さもあるのか、と思った。
港から細い道を上り続けてた先にある、豊玉姫神社からの景色。
ここで祀られている豊玉姫は安産祈願にゆかりのある神で、この後に行く女木島でも祀られていた。
豊玉姫は元々海に住んでいた神なので、島の人にとって身近なのかもしれないな。
神社の近くでぼーっとしながら写真を撮っていたら、船が出港する音がした。
するとおじいちゃんがゆっくりと歩いてきて、暫く船を動かず見ていた。
船が見えなくなるとまた静かに帰って行った。
島の日常を垣間見た気分だ。
真水がない時代、この島は大変だったようだ。
この入り組んだ道と、勾配差とともに生きてきた、過去の人たちの記憶を感じた。
猫の島と呼ばれる男木島、たくさんの猫に遭遇するかと思いきやあまりいなかった。
街の人に聞いたところ、猫の被害が続き全ての猫に去勢手術を行ったため、近年は減ってきているとのことだった。
一時期は人口180人に対し猫200匹いたとのこと。
それでも数匹には会えたので、天気の良い日にはもっと会えると思う。
最後にコミュニティーセンターで男木島の昔話についての本を読んだ。
その中に入っていた昔話のひとつを載せておく。
《ねこを殺して埋めた近くにカボチャの種を植えた。育ったカボチャを食べたらお腹が痛くなった。妙だなと思い掘り返すと、猫の口からカボチャが生えてきていた。猫のバチが当たったのだ》
この地域には、雪国のように語りの場がなく、あまり昔話が語り継がれなかった。
その中で語り継がれた数少ない昔話の中に、猫の話があるのは面白い。
この島が遥か昔から猫と共存していたことが分かる。
●女木島
ここはなんと桃太郎の鬼ヶ島と言われる、鬼の洞窟がある島。
男木島と比べると面積も大きい分、少しだけ賑わっている気がする。
実はこの鬼が住んでいたと言われる洞窟が発見されたのは大正3年で、
昭和6年に桃太郎伝説と掛け合わせて”鬼ヶ島”として公開されたことがきっかけで、当時は多くの観光客が押し寄せたとのこと。
伝記などに鬼ヶ島のことが書いてあったわけではないんですね。
当時は一種のマーケティングとして打ち出した鬼ヶ島が、
例えば1000年先の未来を考えたら、歴史の正として残るんだろうから、正しい過去なんて存在しないな、とふと考えた。
ということで、洞窟の様子はこんな感じ。
ちなみにこの洞窟、作られたのは紀元前100年頃と言われている。
なんの為に作られたのか、自然にできたものなのか、何も分かっていないとのこと。
ただ、洞窟の中は「守りやすく攻めにくい」構造のため、何かの砦だった可能性もあるらしい。
遥か昔から同じ土地の上で色んな人たちが生きてきたことを思うと、夢が膨らみますね。
お昼ご飯は海沿いでハモ天丼をいただきました。
この辺りはハモがよく獲れます。とっても美味しかった!
男木島も女木島も、芸術祭のない期間はあまり観光客が来ないのか
ゆっくりした時間の流れる島でした。
島の空気を堪能したい人は、普通の時に訪れてみたほうがいいかも。
ちなみに、芸術祭で作られたアートは、男木島女木島共にまだ楽しむことが出来ます。
瀬戸内海に囲まれた美しい空気を感じる旅をあなたが体験するとき、
この記事が手助けの一つになれば幸いです。
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