「元気をお出しよ」というセリフについて
こんにちは。演劇ユニットもちもちの上牧です。7/21〜23に中野で行われる公演に向けて稽古中です。
今回、出演するのが上牧と冨岡だけということで稽古は比較的地味なのですが、その中でもわたしがぐっときたときのことを書きます。
わたしは、ある短編のなかでA子さんがB子さんに「元気を出してよ」と言うシーンを書きました。
急に上牧の話をします。
上牧はここ3年ほど、調子を崩してしまいました。きっかけは小さなことでも、一回崩れてしまうともうだめで、具合が悪くなってしまうかもしれないという不安により具合が悪くなる、具合が悪くなってしまうかもしれないから出かける前にはごはんを食べない、逆に栄養が足りなくて具合が悪くなってしまうかもしれないからと夜中に急にごはんを食べ始める、服を着替えて家を出なくてはならないのに一向に服が脱げない(体に張り付いて)という夢を毎晩みる、スプラッター映画なんか観ないのにスプラッター映画のような夢をみる、など寝る起きる食べる仕事に行くという当たり前の生活ができなくなりました。
そのせいもあって、元気なんか出せと言われて出せるもんでもないし、元気のない人に元気だせなんて口が裂けても言えないわたしになりました。
でも、A子さんとB子さんは上牧ではなく、A子さんとB子さんなので「元気を出してよ」と、台本には書きました。
A子さんは「元気出してよ」じゃなくて「元気を出してよ」と言う人だと思ったので「を」を大切に書きました。
稽古場に持っていって、冨岡と何回も読み合わせているうちに、冨岡が「元気を出してよ」のセリフを「元気をお出しよ」という言い回しでいいました。
それだ
と思いました。わたしが「を」を入れることで出したかった雰囲気は「元気を」のあとの「お出しよ」で完成しました。「元気出して」なんて言っても仕方がないととわかっていても、今のあなたは大変そうでできればもう少し楽な状態になってほしいことをA子さんは「お出しよ」ってちょっともそっとした、直線じゃなくて少し曲がった言い方で、でもやっぱり素直な言葉でいう、ことを冨岡が見つけてくれました。
晴れて「元気を出してよ」は「元気をお出しよ」に書き換えられました。
そのあと冨岡は「お出しよ」のなかに「お出汁」が入っている、といってケタケタ笑っていました。わたしが見ていた限り、ここ3ヶ月の冨岡で1番笑っていました。
冨岡は語感でめちゃくちゃ笑うところがあります。
そんな2人で作ってます。
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演劇ユニットもちもちの短編集
『メゾン・ド・レモンに住むつもり』
🗓2023年7月21日(金)〜23日(日)
🏡中野シアターかざあな
🎫前売り 2000円 当日 2500円
💻ご予約(公演当日0時まで受付)
まだまだご予約受け付け中です。
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