【俺は人間に聞いてみたい。】8

新キャラ

　なぁ、ネネ。
　俺な、ネネに聞きたいことがあるねん。

「ん？」

　あの人、あれ、あの、キから始まる人おるやん。

「キ？」

　そう、キから始まる名前の人。キ〜なんとかって人。

「キャミさん？」

　そうそう、キャミっていう人。

「キャミがどうしたん？」

　キャミっていう人な、こないだ俺らの家に来たやん？

「来たね」

　ネネには言いにくいんやけどな、俺はキャミっていう人との付き合い方がわからへんねん。

「どういうこと？」

　あの人な、俺のことをめっちゃ見てくるねん。
　そんでな、俺の気を引こうとしてくるねん。

「それで？」

　わざわざ俺の近くに座ってくるし。

「確かに初めて会った時、硬直してたね」

　そうやねん。
　俺ってこう見えてけっこう繊細やねん。

「でもしばらくしたら自分からキャミの所に行ってるようにも見えたけど」

　……あー、それな。
　あのキャミっていう人な、やらしいねん。セロリさんで俺を釣ってくるねん。
　しかも俺の前でセロリさんの匂い嗅いでな
『これ食べてみてもいい？』って言うてたやん。
　あれ、嫌味やわ。ひどいわ。

「キャミもセロリが好きやの。嫌味じゃありません。その後すぐにちゃんとセロリくれたやん」

　……くれたけども。

「まぁ、確かにセロリ食べながらプギプギ怒ってたね。めっちゃ怒ってた」

　そう、それやねん。
　それからアレ。
　ネネが俺をカイカイしてくれて気持ち良くてトロけて目をつぶってたやん？

「あぁ、あの時ね」

　目を開けたらいつの間にかキャミっていう人が俺のことをカイカイしとった。

「途中でキャミと入れ替わったんやけど、いつ気付くんやろうって思ってた」

　あのイリュージョンはひどいで。
　俺ほんま傷付いたもん。
　そんで自分のことが恥ずかしくなった。
　ネネにカイカイされてると思ってたのに。

「あれはごめん」

　……わかってくれたんやったらええけど。

　あー、あとキャミっていう人な、いきなり歌い出すやん？

「……」

　それからキャミっていう人な、めっちゃいい匂いするやん？

「……」

　そんでキャミっていう人がな……

「ちょ、ちょっと止めよか。『キャミっていう人』って言うの止めよか」

　……

「なんなん、そのよそよそしい呼び方」

　……だって。

「だいぶ失礼やで。ミッフィーちゃんのことはミッフィーさんって呼ぶのに？そういうところはちゃんとしておきたいタイプやって自分で言うてたやん」

　……き…き、き……きゃみ。

「よろしい」

　……

「そんでキャミがどないしたん？何が言いたいの？」

　……こないだネネ電話してたやん？真夜中に2時間も。
　真夜中に。2時間も。

「あぁ、あの日は用事があって」

　……キャミと何話してたん？
　キャミ、俺のこと何か言ってた？

「別に何も言ってなかったけど」

　えっ？
　えぇーー！！！
　2時間も話しててキャミは俺のこと何も言うてなかったん？

「うん」

　一回も？
　一言も？

「なかったよ」

　ーーチッ、なんやアイツ。

「あ！今アイツって言うたん聞こえたで！何や、その言い方！」

　……だって。
　あの人は俺と仲良くするつもりあるんかね。
　キャミこそ俺と仲良くするつもりあるんかね。

「……あのさ。めっちゃ意識してるやん。キャミのこと気になってるやん。好奇心が溢れ出てるやん」

　ちゃうちゃう、ちゃうねん！

「じゃあ、嫌いなん？」

　ちゃうちゃう、ちゃうねん！
　きらい……嫌いとかじゃなくて……なんていうかな。キャミは次いつ来るんかなって思って。

「聞いてみよか？」

　いや、今じゃなくてもいいねん！
　今すぐ聞かんでもいいねん！
　ネネが暇な時でいいから。
　暇な時でいいから！
　でも絶対に聞いといて。
　絶対の絶対に聞いてみといて。

「暇な時でいいけど、絶対に聞いておいて欲しいんやね」

　うん。
　ありがとう。絶対にやで？

　なんかな、キャミは初めて出来た友だちやん？
　俺、どうやったらもっと仲良くなれるんかなって思っててん。

「……友だち。なんかグッときた」

　そう、友だち。
　俺はネズミやけど、キャミは俺のこと好き？

「それは次に会った時にキャミに直接聞いてみたら？」

　うん！そうするわ。
　あっ！キャミに『セロリさんをたくさんあげたらすぐに仲良くなれると思うで』ってこっそり言うといてくれへん？
　そしたらキャミは騙されて俺にセロリさんいっぱいくれると思うねん。
　作戦や、作戦。イリュージョンや！

「騙されるもなにも、ほんまにセロリ大好きやん。そんでイリュージョンの使い方間違えてるし」

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♫♩〜♪♩〜

「えらいご機嫌で何ゴソゴソしてんの？」

　あ、お部屋片付けとこうと思って。

「早っ！」

質問しがちなネズミとのひととき