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#7 試行錯誤・NY美大のオンライン授業が始まった

2020年8月24日、デザイナー夫が教える美大(Pratt Institute)での秋学期が始まりました。今学期は、すべてオンラインで教えることになったデザ夫さん。留学生だった学生たちはそれぞれの母国から参加。先生も生徒も、この新たな形態の学びを実現するために必死に試行錯誤中。始まったばかりの秋学期の様子をレポートします!

秋学期のための感染症対策・夏の間に開かれていた会議

5月に春学期が終わり、夏休みだった3ヶ月ほどの間に、学校と教師たちのオンライン会議は何度も開かれていました。8月の秋学期に向けて、対面授業とオンライン授業の選択や、オンラインで授業する場合に必要になる新しいツールについてなど話し合っていたようです。教師にも事前調査があり、「対面授業のために出勤することは可能か」もしくは「オンライン指導のみを希望するか」というアンケートがありました。

こうした会議が開かれていたのは6月で、8月の秋学期開始の頃にニューヨークがどのような状態になっているかわからない中で色々と決定しなければならず、学校側も大変そうでした。

結局、今学期のクラスは、「完全オンライン型」と「オンライン70%と対面式30%のハイブリッドコース」の2択になったようです。留学生としてニューヨークに来ていた学生たちのほとんどは、コロナが始まってすぐにそれぞれ自分の国に帰ったので、「完全オンライン型」での参加になります。「ハイブリッドコース」の授業も、コースやカリキュラムによってその割合は異なるとのことで、学生によってそれぞれ違う日程のもと、秋学期はスタートすることになりました。

オンライン100%の授業が始まった!第1週目の先生と学生たち

我が家のデザイナー夫は、担当する3クラスすべてがオンラインでの授業。
先学期は、学期の途中(3月)にコロナ対策のためオンライン授業に切り替わったので、それまで学生たちと顔を合わせて過ごしてきた期間がありました。しかし今回は、授業の第一回目からオンライン、ということで「はじめまして」の緊張感から画面上で始まることになる。それで、先生側と学生側それぞれに、いつもとちょっと違う緊張感が流れていたと思います。

でも実際クラスによっては、去年もデザイナー夫のクラスを取っていた学生もいて、3分の1は知っている子たちだったということもあり、楽しい雰囲気で始まった模様です。

時差の壁

冒頭でも書いたように、留学生としてNYに来ていた学生たちは、現在それぞれ自国から授業に参加。韓国、中国、そしてインドネシアから…と様々な国からオンラインクラスに集まってくるわけです。当然、NYとそうした国々には大きな壁が…!そうです、10時間〜13時間の時差が発生しています!

NY朝9時から始まる場合、終わるのはお昼の1時半。4時間半のクラス。アジアの各地は、夜7時や8時もしくは夜10時から、4時間半のクラスに参加するということ。つまり終わったら真夜中です!しかもデザ夫さんの授業のみならず、他の授業も受けているわけなので、疲れは相当でしょう…。

それでも新しいツールを使った授業は楽しく進み、学生も夫も楽しそうでした。ふらふらになりながらも、みんな頑張っていたと、授業の後に夫は言っていました。ツールに精通するために、そしてカリキュラムの構成を練るため、8月中は授業の準備がかなり大変そうでしたが、第一回目の授業は大成功だったようです。

時差対策とともに始まった第二週目

第二週は、NYとの時差がある学生たちを考慮して、授業の時間帯に調整が加わり、さっそく試行錯誤が始まりました。

基本的に授業の時間は決まっているものの、状況に合わせてある程度の調整が可能なようで、NYの朝9時から始まる授業は、アジアに住む学生のために2時間半ほど早めて始まりました。つまり、デザイナー夫は朝の6時半前からオンライン授業のスタンバイに入り、7時に第一グループのクラスが始まりました。アジア圏の学生にとっては、夜6時もしくは8時からのクラス。だいぶ助かるでしょうね!素晴らしい!スケジュールはこんな感じでした。

NY朝7時:第一グループ
NY朝8時:第二グループ
NY朝9時:第三グループを含めたクラス全員にレクチャー。
レクチャー終了後、第一グループは終了、退席。(おやすみなさい〜⭐︎)
第二グループはその後2時間のワークショップ。
第三グループは最後までの時間でレクチャー以外のクラス内容をこなす。

といったスケジュールでクラスを決行。

前の日には、「早い時間に始めるから、少し早く終わるかな?」と話していましたが、結局クラスが終わったのは通常通り午後1時半。先生であるデザイナー夫にとっては、6時間半の長丁場でありました!合間に入る休憩時間にバナナを食べたり、パンを焼いたりしましたが、タイミングを見計らえず、食事はままならない。レクチャーの途中で、デザイナー夫が "I'm hungry" と言う声が漏れていたのを聞きました。その声、マイクに入ってるぞ👀…。いやいや、笑いごとではない。本当にお疲れさまでした。

これからも試行錯誤が続く

大変な長丁場で、クラスが終わった午後1時半には、もう1日が終わったかのような疲れ具合でした。でも、どの時間帯の学生たちも集中して参加でき楽しそうだったこと、そして少人数のグループでフィードバックを与えることができて一人一人に注意を向けられる良さがあること。そういうポジティブな成果があったようで、疲れよりも満足感でクラスを終えた感じでした。

ただ、体力的なことを考えると、学生たちも先生たちも、こういう形態での授業を秋学期いっぱい続けられるか、それは心配でもあります。心配と言ったってカリキュラムはできているし、課題も終わらせないといけない。今後も試行錯誤は続いていくと思います。皆にとって新しい学びのスタイルで、大学だけじゃない。子供達の小学校も、中学・高校も同じように感染症対策のもとに様々な方法を試みていると思います。

休憩時間のタイミングがつかめないのが難しいところですが、次回から何か一口でつまめるスナックを用意してみよう。デザイナー夫が食べた形跡があればそれは作戦成功ということで。私の観察は続きます。

みんなが安全のうちに、元気に秋学期を乗り越えられますように!

デザイナー観察日記#7読んでくださってありがとうございました。

Photo by Deleece Cook


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