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iOS15 変更点概要

アプリディベロッパー/マーケターの皆さん こんにちは!アドネットワークnend (ネンド) の「えばんじぇりすととーる」です。WWDC21、皆さん参加されて感想はいかがでしょうか。以前の様なライブの臨場感はありませんが、フルリモートで超便利に、分かりやすくなった感じがするのは私だけでしょうか。KeynoteはYouTubeのAppleアカウント上 (URL) で、ディベロッパー向けの各セッションはAppleのサイト上 (URL) と、ディベロッパー向けアプリ (URL) で公開されています。アプリはIDFV等の固有IDで管理しているのか、セッション動画を再生して、途中で再生をストップしたら、次回立ち上げた時にその中断したところから再生できるようになっています。

日本語で見たいという方は、YouTubeの再生プログレスバー下にCC (Closed Caption) の字幕設定があるので、そのアイコンをオン (アンダーバーが赤くなる) にして、CCアイコンの右手にある歯車から「字幕/subtitles」で日本語 (Japanese) を選択。日本語の字幕付きのKeynoteを見ることができます。Transcript (台本) の情報も裏側に入っているので、「イイね」アイコンがある行の一番右手の・・・アイコンをクリックして レポート (Report) 下にある Transcriptをクリックすれば、右手側に台本が出てきます。Youtubeは台本も自動翻訳できるので、その台本の枠内下にある言語設定で日本語を選択すれば、そこでも日本語で内容を読むことができます。

Appleサイト上にあるディベロッパー向けのセッションは字幕を付ける機能がありますが、日本語への自動翻訳機能が動画プレイヤーに付いていないため、英語の字幕しか出てきません。ただ今年から、動画プレイヤー下の箇所に、話し手の “Transcript” (台本) が載るようになったので、それをGoogle / Deepl翻訳にコピペすれば、内容を日本語で読むことができます。私はこのテキストで読めるようになったことがとても便利だと感じました。動画を全部見る必要が無くなり、広告やプライバシーに関連ある動画を探す時も、「Privacy」や関連の広告ワードをページ内検索で記入すれば、そのセッション動画が我々に関係あるのか、ないのか直ぐに判断できます。そんな感じで、今回のWWDC21の発表で関連のありそうな箇所を抽出したので、まとめてサクッと見ていきましょう。説明が必要な箇所は後述します。

iOS15 機能リリース概要・関連箇所一覧

■ iOSリリース予定日
- Developer beta:6月7日(日付は米西海岸, 日本は+1日)
- Public beta:7月中 (ディベロッパーアカウントでなくても、iOS15 beta利用可能日)
- 一般リリース:今秋
【関連動画】- Keynote: iOS15 release date (URL
***KeynoteのURLは該当箇所が始まる秒数のものにしています。

■ Safari (iOS/iPadOS 全ユーザー対象)>
- 「IPアドレスを隠す」の設定項目が追加。「トラッカーから隠す」(デフォルト) もしくは「オフ」の2択
【関連動画】- Keynote: Privacy / Safari (URL)

■ iCloud+ (iCloud有料サブスクリプション 50GB~ / $0.99~ (108円~))
- Private Relay: Apple式VPN。「設定」「iCloud」「iCloud Private Relay」手動でオン/オフ。2つのProxyサーバー (Ingress/Egress) を経由して端末の通信の暗号化→ 端末を特定する情報 (IP Address, 他など) が把握しづらくなる。
【関連動画】
- Keynote: Private Relay (URL)
- Apple’s privacy pillars in focus (URL 27:57~)
- Get ready for iCloud Private Relay (URL 1:13~)

■ 広告回り復習/内容振り返り 
- Appleの広告で特に新しい発表はない。
- AppleがWWDC20からこれまで開発した広告周りの振り返りセッションはあった。その中でiOS15以降の端末向けのSKAdNetwork追加機能はあったので、それは前回SKAdNetwork記事内の更新箇所 (リンク) を参照ください。
【関連動画】- Meet privacy-preserving ad attribution (URL

■ Privacy Report
- Privacy Report (Safari) とApp Privacy Report の2種類
- Tracker (トラッカー) (WebKit-Apple定義) が数値で見える
- Safariでは過去30日間、アプリでは過去7日間分のデータが表示される
【関連動画】- Keynote: Safari Privacy Report / App Privacy Report (URL)

■ App Store ストアページ
- 上限35パターンのカスタムページが作成可能
- それぞれのカスタムページにつき、固有のURLが発行可能
- ユーザーが見るストアページの最適化・割合調整が可能 (ストアページのA/Bテスト)
【関連動画】
- Get ready to optimize your App Store product page (URL)
- What's new in App Analytics (URL

Safari:IPアドレスを隠す

これは既にiOS15 developer betaのSafari設定に項目がある(以下スクショ)ので、端末で見られた方もいるかと思います。Intelligent Tracking Prevention (ITP) もそうですが、Safariのウェブブラウザーアプリで所謂トラッキングを防止する流れの一環として、今回はIPアドレスをデフォルトの設定で取得できないようにしたようです。WebKitのサイト上 (URL) でトラッキングの種類と各項目ごとの説明があるので、Appleは今後もそれらを防止する取組は進めるかと思います。WebKitコミュニティーの反トラッキング声明はこちら (URL)

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iCloud+ Private Relay (VPN)

上述のiCloud+セッション動画内 (URL 27:57~)で、端末 (クライアント) のSafariからアクセスしたウェブサイトまでの通信の流れが書いてあるイメージ図があるので、それを見てもらえると理解しやすいかと思います。ざっと説明すると、先ず通信を受けたIngress Proxyでクライアントの情報を暗号化して、次のEgress ProxyでIPアドレスを含めたクライアント情報の追跡を出来なくする仕組みの様です。それぞれのKeyはクライアントだけが持ち、Appleもクライアントの端末や行動情報を取れない仕組みになっているとApple担当者がセッション内で話しています。

なお、iCloud+のPrivate Relayが利用できない国があるそうです。欧米系のニュースメディアがAppleに取材した内容のようで、例えば英・通信社のロイター社の記事 "Apple's new 'private relay' feature will not be available in China" (URL) によると、使用できない国は中国の他に、

Apple said it also will not offer "private relay" in Belarus, Colombia, Egypt, Kazakhstan, Saudi Arabia, South Africa, Turkmenistan, Uganda and the Philippines

ベラルーシ、コロンビア、エジプト、カザフスタン、サウジアラビア、南アフリカ、トルクメニスタン、ウガンダ、フィリピンと記載があります。中国は規制上の理由から、他の国はPrivate Relayが提供できない理由が書いてありません。上記の記事の中でもう一つ気になる点として、今回のPrivate Relayには外部パートナーの存在があるそうです。Appleは今後そのパートナーの名前も公にする予定があると記事に記載があります。

App Store Product / AppStoreページ

これは広告に直接関連があるわけではないですが、アプリプロモーションのインストール率 (CVR) に関わってきますので、少し深く説明したいと思います。ストアページでは主に2つのマーケティング機能(カスタム, 最適化) が追加され、App Store Connectの管理画面上にもその数値を分析できる機能が追加されるようです。それぞれ書いていきたいと思いますが、Appleのウェブサイトの中でストアページに関する説明ページが既に結構あるので、先ずそれをさらっとまとめて見ていきましょう。

<概要説明ページ>
■ App StoreにあなたのAppを (英語/日本語訳)
 - App Storeにアプリ掲載までの一連の流れ、各機能
■ プロダクトページの最適化 (英語/日本語訳
 - App Storeページの各パーツ (アイコン/タイトルなど)
■ Appプレビューを使った紹介 (英語/日本語訳)
 - ストアページのスクショで動画を挿入する
■ Get More from Your Product Pages (英語/日本語訳はまだない)
 - **今回追加された内容:1. プロダクトページの最適化, 2. カスタム

<デザインスペック>
■ App Store Connect ヘルプ (英語/日本語訳
 - App Store アイコン、App プレビューとスクリーンショットの概要 (英語/日本語訳
 - Appプレビュー (スクショ動画) の仕様 (英語/日本語訳)
 - ストアページのスクショの仕様 (英語/日本語訳)

<App Store Connect (ディベロッパーアカウントの管理画面)>
■ アナリティクスで洞察を得る (英語/日本語訳)
 - ストアページのデータについて
■ **Appパフォーマンスの測定 (英語/日本語訳) セッション動画 (What's new in App Analytics) の内容
 - imp数はアプリのストアページ以外にも、Today, ゲーム, App, 検索での表示でカウント
 - エンゲージメント (アクティブ, セッション, リテンション, 課金ユーザーの平均売上額) の数値が見られる。

調べたら結構ボリュームがあるコンテンツなので、時間がある時に是非、現場で適応・実践してもらえると良いかと思います。

App Store Product / カスタムプロダクトページ

それではプロダクトページのカスタムについて見ていきましょう。説明がまだ英語だけの様なので、Appleのページ (URL) とWWDC21の該当のセッション内容をまとめていきます。

カスタムできるものは以下の3つ
 1) Promotional Text (プロモーション用テキスト **このページ中腹に説明があります)。プロモーション用テキストは説明 (Description) の上部に表示。170文字の文字制限。アップデートしなくても、いつでも更新可能。
2) スクリーンショット
3) Appプレビュー (スクショ箇所の動画) 

カスタムのプロダクトページは35パターン作ることができ、それぞれに固有のURLが発行可能。各々の数値 (viewing imp, インストール数, CVR等) をApp AnalyticsのApp Store Connect管理画面で見ることができる。管理画面ではインストール後のリテンション、課金ユーザーの平均金額もカスタムのプロダクトページごとに表示されるようです。現在は、1)のプロモーション用テキストはアップデート無で変更可能、2), 3) のスクショ箇所はアップデート審査が必要ですが、今年の後半 (later this year) からアプリのアップデート無でApp Store Connectへのメタデータの審査のみでカスタムページが作れるようになるそうです。

Appleがカスタマイズで例として、サッカーとかのスポーツチームごとのカスタマイズ、キャラクター、ゲームプレイの機能ごとのカスタマイズなどを挙げています。Appプレビューの動画はプロダクトページのファーストビューでかなり訴求力が強いので、それを変化させてA/Bテストしてみるのも良いかと思います。

App Store Product / 最適化・オプティマイズ

この最適化の箇所はAppleの説明(ウェブサイト, WWDC21セッション) だけだと、いまいち分かり辛い気がしています。

先ずデフォルトのページ以外で最大3つのテスト用のプロダクトページ (Treatment) が作れるそうです。テストが出来る期間は最大で90日間。そのテスト期間中はApp Analytics (App Store Connect) の管理画面上で、数値(imp, CVR-インストール率, improvement (?)など) の比較ができる。スクショとAppプレビューの動画の変更であれば、アプリのアップデートは必要ない (今年後半から) が、アイコンも含めてA/Bテスト最適化したい場合は、アプリのアップデートが必要と記載があります。

最適化というからには、配信の割合も自動で最適化されるのかなと思うかもしれませんが、セッションの動画 (URL 4:48~) を見ると、何となくマニュアルで配信の比率調整を行う必要がある気がしています。セッションの動画では、デフォルトを70%の割合に指定して、3つあるTreatment/トリートメント (テストを行うプロダクトページ) に各10%の割合を手動で設定しているようです。

テストを行いたいアプリのアイコンは、デフォルトのアイコンと共に、アプリ審査時にバイナリーに含める必要があります。ユーザーの端末にはアプリをインストールした時に、プロダクトページで表示されたアイコンが端末のホーム画面に掲載されるようです。最適化のテストをするストアの国も指定可能とのことです。今回は日本だけで最適化を実施して、他のアメリカなどの国では実施しないといったことが出来るそうです。

終わりに

iOS15ではあまり新しい情報が出てこなかった印象なので、国内での情報もそこまで豊富にないかもしれません。今回のnoteは我々アドネットワークからの視点(3rd partyであるnend寄り)、ディベロッパーの視点、マーケターの視点を混ぜて書いてみました。全てに対して興味が持ちやすいトピックではなかったかもしれませんが、今秋リリース予定のiOS15に、少しでも前向きな姿勢・気持ちで向き合えるきっかけになれば嬉しいなと思います。

nendでは「プライバシーMktg/marketing」のオープンSlackチャンネルを用意しています。このリンクからどなたでも参加できます。是非気軽に参加して、プライバシー影響下でのマーケティングやアプリ周りで気になっていることなどバシバシ共有してもらえると、皆さんの知識の蓄積に役に立つのではないかなと思っています。次回は7月発表を宣言したGoogle Playのプライバシー変更点あたりでしょうか。

それでは皆さん、次回お会いするまでお元気で!