
10年ぶりのライブハウスで知った「本当のインクルーシブ」
昨日、友人が企画しているイベントに行ってきました。
その名も「みちくさ」。
地下のライブハウスで2日をかけて行われた、マーケットとライブのイベントです。
このイベントは数日前からチケットを販売していて、私もその時点から「いいよな〜」と興味があったのですが、チケットは購入しませんでした。
なぜなら
聴覚過敏だし、当日具合悪くなっていけなくなる可能性があるし、何より私は車椅子を使うので、階段のある地下のライブハウスなんて絶対行けない!と思っていたからです。
でも当日になり、「飛び入り歓迎」の情報を得たとき、私の持ち前の衝動性と行動力が顔を出しました。
「障害があるからって行きたいを我慢する必要なんてないんじゃない?」と。
そして昨日、約10年ぶりのライブハウスに行ってきました。

まず企画者である友人のお店(近くにある)に顔を出し、「行きたいんだけど、行けないかも」と言うと、現場にいる仲間にすぐに連絡を取ってくれました。
そして現場までは、そこに僕も行くよ〜と言う友人が一緒に行ってくれました。
階段はまあ2,3段くらいかな〜とか思っていたら、想像の遥か上、5段以上ある…!
どうしよう!!と思っていると、友人の仲間たちが「全然持ち上げられるから」と言うのです。
「車椅子だから入れないかも」と思っていた私は、そこにいるみんなの頼もしさにひたすら感動。
ただ私は車椅子ごと持ち上げられた経験が少なくてちょっと怖いので、自分で歩くことに。
両脇を支えてもらって下るのですが、これもかなり疲れます。
両脇を支えてくれた仲間たちは「ゆっくりでいいからね〜」「ちゃんと支えてるからね〜」と声をかけてくれて、なんとか階段を降りることができました…!
私がライブハウスで見た心のバリアフリー
ライブハウスに入った後も、「心のバリアフリー」は続きます。
とっても高いバーカウンターでウーロン茶を頼もうとしたのですが、メニュー表が上の方にあって見えません。
すると金髪イケイケのお兄さんが、「これどうぞ」ってメニュー表を持ってきてくれました。
それだけでも「ありがとう!」の気持ちなのに、ウーロン茶がグラスで出てきた時に、「あ、そっち持っていくね」「どこに置いたら取りやすい?」ってバーのカウンターを出て、取りやすい場所に置いてくれたんです。
コードの線をタイヤが乗り越えられないで困っていると、知らないカップルが「押しましょうか?」と声をかけてくれて、助けてくれました。
車椅子が通れない通路は、みんなが障壁になっているモノをどかしてくれます。
階段のぼりも手伝ってもらって、帰りはみんなとハイタッチ。
帰り道は急な上り坂で、見知らぬ女性二人組が「一緒に駐車場に行きましょう」と声をかけてくれました。
車椅子でいても、誰も嫌な顔をしません。
むしろ「来てくれてありがとう」「一緒に楽しもう」と言う雰囲気だったんです。
以前、とあるバリアフリーな場所で行われた大規模なイベント(おしゃれ女子に人気の某イベントです)に行った時は、人混みで困っていても誰も声をかけてくれなかったし、商品を後ろのカバンに入れてほしいと言うと「本当に買ったモノですか?」と疑われたりしました。
いくらバリアフリーでも、心がバリアフリーじゃなかったら、障害がある人がイベントを楽しむことはできない。
環境がバリアでも、心がバリアフリーだったら、気持ちよく過ごせる。
もちろん助けてもらって申し訳ない、とも思うけど、それ以上に「ありがとう」の気持ちがありました。
おかげさまで私は、10年ぶりのライブハウスを楽しむことができました。
もう行けないかも、と思ってたライブハウスですが、行って本当に良かったし、本当に楽しかったです。
わざわざ「インクルーシブ」を名乗らなくても

イベント企画をしたい私ですが、たとえ環境がバリアフリーでなくてもインクルーシブイベントでなくても、「みんなウェルカム!」の気持ちってすごく大事だと思いました。
そこに困っている人がいればみんなで助ける、見て見ぬ振りをしないこと。
困っている人を突っぱねないこと。
そのことが健常だった頃の私にはできただろうか。
きっと健常だった頃の私がイベント企画をしたら、「障害がある人」に対して「困ったな〜」という気持ちしか働かなかったと思います。
今回のイベントでは、いい音楽と、たくさんの素敵なモノたちと、つながりと、大きな背中をもつ人々の優しさに触れました。
インクルーシブイベントとわざわざ名乗らなくても、インクルーシブ(包括的)であることの大切さ。
今回のイベントで、そんなことを学んだような気がします。