通り雨に、君を望む。
本編はこちら。
裏設定は以下になります。
この狐は神ではなく、妖怪の類です。神でもなんでもありませんでしたが、たまたま神社で休息をとっていたところ、神社が栄えていたころに参拝に来た人間が「神社のお堂でお狐様が寝ている…」と見紛え、油揚げをお供えしてくれるようになりました。
食料に困らない、おいしい!と当時は嬉々としていましたが、もらってばかりで与えることをしていないことに少々申し訳なさを覚え、人間の願いを聞き、叶えられることはこっそりと叶えていました。叶えられない願いの時は、油揚げを食べないようにしよう…と決めたところ、小さな可愛い願い事が届くようになりました。
その集落が年月とともに寂れ、願いを叶えにやってくる人間もいなくなってしまいましたが、何故だか大好きになってしまったこの場所に残ることにしました。そんなある日にやってきたのが、聞き手であるあなた。流石に誰ともしゃべらない期間が続くと、ちょっとちょっかいをかけよう…とおもってしまうのは、生きる者の性ゆえか。
狐の彼は完全に人に化けたと思いながら、可愛い尻尾と耳を携えてにこやかに古風な語り口であなたに話しかけてきました。
勿論あなたは驚きますが、不思議な出来事を目の当たりに、しかも可愛いときた…!となり、急速に仲は深まっていきました。
それは、お互いを愛しいと思うほど。
妖怪と、人間とではそもそもの寿命が違います。でもそれは、互いに理解をしていることでした。
この先の未来がたとえ切ないものであったとしても、選んだのは、今この時の幸せ。
優しく降った通り雨から覗く、きらきらとした晴れ間は、きっと二人の未来を。