落ちこぼれの召喚士は、独りを貫く人狼と。

本編はこちら。

以下、裏設定になります。


 この人狼は、小さい頃に人間と共に暮らしていた。森の中に幼くして捨てられていた人狼の彼を拾ってくれたのが、その人間だった。その人間は心優しく、人の言葉を話せぬ人狼の彼に沢山のことを教えてくれた。しかし、人狼は人間からしてみれば忌まわしき存在。人狼と共にいた人間は淘汰され、人の言葉を覚えきらないうちに、引き離されてしまう。
 普通はそんなことをした人間を恨むはずだが、人狼の彼と共にいた人間は常々、誰かを恨み、憎んではならないと人狼に教えていた。それは愚かなことだ、と。
 人狼の彼は、一緒にいた人間にもう会えないことを悲しむとともに、独りで生きていくことを決める。もう、こんなつらい別れなど経験したくはないからだった。
 しかし、一度覚えてしまったぬくもりは、忘れられないものだ。よく通る道・よく通る時間に、一人の人間が歩いている。やさしそうな、あったかそうなひとだ。この人なら、話せばわかってくれるかも。怖がられるかもしれないけれど…。
 人狼が感じた雰囲気は、間違っていなかった。優しすぎるが故に、同業者から落ちこぼれの烙印を押されてしまってはいるらしいのだが。
 これからこの人狼の彼の未来は、きっと嬉しいものだろう。
 本当は誰かと一緒に楽しく過ごしたい、その願いが叶うこととなるのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?