湖畔に住む精霊のあなたは、蓄積していく毒を知らない。

本編はこちら。


裏設定は、以下になります。

  この妖の彼は、清浄な気を放つあなたに一目惚れします。しかしながら、彼は穢れた側の妖。精霊であり清浄な気を放つあなたとは真反対の存在で、普通であれば一緒に居られません。だから彼は考えました。
 彼の棲む瘴気溢れるその穢れた気を、あなたに少しずつ流し込むことを。
 自分が過度に近付けば、あなたという存在が自分に染まる前に搔き消えてしまうのを知っていた彼は、壊さぬように、しかし確実にこちら側へと引き込む準備をします。少しずつ、湖畔の周りに瘴気を落とし、穢れへと触れさせる…。その瘴気は目に見えない毒のようなもので、あなたは知らず知らずのうちに瘴気が身体へと蓄積していきました。

 暫く経ったとある日、あなたが湖畔のそばで眠りについているのを彼が見かけます。気配を殺して近付けば、すやすやと眠る、自分にとってはまだ眩しい存在のあなた。しかし、その頃にはもう喉から手が出る程あなたを欲していた彼は、思わずつぅ…とあなたに触れます。小さく反応を返すあなたを見て、彼は気付きます。
 触れても、消えない。
 それに気が付いてしまえば、もう歯止めは利きませんでした。まるで以前からの知り合いであったかのように錯覚させる術をあなたへと掛け、愛しいあなたに愛を囁き始めます。それも、今連れ去ったら壊れてしまわないように、少しずつ…甘さと共に、あなたに毒を流しながら。

 これからあなたは、彼の棲む瘴気溢れる住処で、共に生きていくこととなるでしょう。しかし、何もあなたは心配することはありません。
 瘴気に染まったあなたの思考は、彼への愛へと変わり、彼の傍にいることを自ら切望しているのですから。

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