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谷崎潤一郎『鍵』Vol.7 妻の日記:1月20日(朗読用)284文字
※朗読した音声は、原作の日記の日付と同じ【1月20日以降】にご利用のプラットフォームに投稿して頂き、投稿先のリンクをXにポストして下さい。
一月二十日。
………今日は一日頭痛がしている。
二日酔いというほどではないが、昨日は少し過(すご)したらしい。
………だんだん私のブランデーの量が殖(ふ)えて行くのを、木村さんは心配している。
近頃は二杯以上はお酌をしない。
「もう好い加減になすったら」
と、止める方に廻(まわ)ろうとする。
夫は反対に、前より一層飲ませたがる。
差されれば拒まない癖を知っているので、いくらでも飲ますつもりらしい。
でももうこの辺が極量(きょくりょう)である。
夫や木村さんの見ている前で取り乱したことは一度もないが、酒を殺して飲むために、後が苦しい。
私は用心した方がよい。………
奥様、朗読お疲れさまでした。
【次回】Vol.8 夫の日記:1月28日
12月20日 こちらに投稿予定です。
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こちらは当note管理者・まみが主催する、朗読イベント用の書き下し文です。
イベントご参加の方に向けて、青空文庫収蔵 谷崎潤一郎 作『鍵』を、読みやすくリライトさせて頂きました。
エントリー不要、途中参加可、タグをつけるだけのフリーイベントですので、noteの皆様も、ぜひご参加ください。お待ちしております。
https://note.com/nemureru_mami/n/n8ee84b0140e6
原文(引用元)青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56846_58899.html
初出「中央公論」中央公論社 1956(昭和31)年1月、5月~12月
【朗読用書き下し文 ポリシー】
当作品は、夫の日記の部分がカタカナで書かれている為、全体的にリライトさせて頂きました。
①青空文庫を原文とする
②AIは使用しない
③難読漢字は残し、ふりがなを加える
④注釈入りの漢字は、適宜、現代漢字や平仮名に置き換える
⑤朗読時に読みやすいよう、適宜、改行、段落、読点、句読点、平仮名を加える。
【企画】眠れる森🌙まみ https://twitter.com/NemureruMami