小さな嘘
時々、小さな嘘をつく。
誰も傷つかないような、みんながすぐに忘れてしまうような小さな嘘。
特に意味はない。
そこに生まれた嘘は、すぐに消えていく。
無意味な嘘に意味を持たせるとしたら、
それは、自分だけの秘密を手に入れたようなそんなドキドキなのだろうか。
一人で、ふらっと立ち寄った知らない街の小さなBar。
ぽつりぽつりと、当たり障りのない話をマスターと交わしながら、
何も考えないでよい時間の贅沢を味わう。
そんな贅沢な時間を遮って、少し離れた席に座るお客さんに、
声をかけられたらスタート。
私は、私の知らない人になっていく。
聞かれた質問に、相手に合わせて答えていく。
本当の自分を忘れて。
あっという間に、出来上がる。
存在しない自分。
働いたこのない仕事をしていて、やったことのない趣味を持つ。
その瞬間だけの自分の役を楽しんでみる。
嘘の自分の出来上がり。
あれ。じゃぁ本当の自分って?
人は、自分の立ち位置から、
その役割に対して、周囲から抱かれる期待に
無意識的に行動を寄せていく。役割期待。
社長だから。上司だから。
お父さんだから。お母さんだから。
彼女だから。彼氏だから。医者だから。先生だから。
きっと、無意識のうちに、
たくさんの役割を掛け合わせた自分を演じてる。
カメレオンみたいに、
そのときの環境と与えられた役割に合わせて色を変えていく。
今のあなたは、何色ですか?
何にも染まってない、本当の自分は、透明なのかな。
ありがとうございます。感謝いたします。