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「芸能」という山はどこから登り始めたらいいのか、の私なりのアンサー

以前音声配信でお答えした「芸能」という山の登り方について、文章でも記事化してみます。

「俳優ってどうやってなったらいいの?」「どこで学ぶのがいいの?」とよく聞かれるので、私なりの見解をまとめてみました◎
音声配信バージョンはこちら↓(記事は下に続きます)

■芸能の登り方について
今日は、芸能っていう山の登り方についてです。いや、登り方っていうか、どう登っていくのか。私は演劇講師なので、芸能やりたいけどどこを入り口にしたらいいかわからないという話をよく聞きます。

■モデル・俳優・声優の仕事の変化
本当にいろんな人から質問を受けるんですけど、まず私が始めたときとは状況が違うということがあるので、私の経験則の話はほとんど価値がないと思います。

私が始めた頃は、モデルと俳優と声優って結構仕事がそれぞれ分離してあったんですね。CMだったら俳優よりもモデルの方が出るし、声優さんがお芝居、顔出しの芝居をすることはほとんどなかったし、俳優が時々すごく売れているタレントとしてCMに出ることはあったけど、基本的にはCMはモデルの仕事、映像舞台は役者の仕事、声優さんは声を当てるナレーションであるとかアニメとか、吹き替えとかもそうですね。
でも、とにかくモデル・俳優・声優っていうものが、今はすごくグラデーションがかかっていて、役者でもCM出るし・広告もできるし、モデルも役者みたいに演じなきゃいけないし、声優さんも顔出ししてどんどんイベント出演や顔出しの芝居の分野にも入ってきますよね。
自分の本拠地みたいのはあるけど、仕事全部がグラデーションがかかっている。っていうことは、結構マルチプレイヤーが求められているということになります。
はっきり喋ることもできるし、日常的な芝居、演技、張りすぎない声で芝居することもできなきゃいけないし、かといって舞台に出たら舞台発声もあるでしょう。
モデル的な、ある程度見た目が良くないといけないみたいな、全部マルチで揃えられてこそ初めて売れていくっていうのはありますが、そうじゃなくても個性派の人もいるけど。

■芸能をやりたい人へのアドバイス
まずこの山の山道に入ります。

そもそもどうすればこの山道に立てるか、の話なんですけど・・・芸能をやりたい人っていうのは、まずプロダクションを受けるっていうのが最善かなと思います。プロダクションは年齢によって25歳までとか、もっと低いと21歳までとかいろいろありますよね。

年齢でプロダクションに入れない場合、次の手を考えないといけないんですけど、私は直接映画監督のワークショップを受けに行くのが結構お勧めです。

映画監督のワークショップって意外と多く開催されていて、参加者の中には結構初心者の方もいらっしゃるんですよね。でももちろんすごい手練れの人もいるけれど。
そこで何をするかっていうと演技の上達とかももちろんですが、まず監督に顔を売ること。そして超重要!横のつながりをちゃんと持っておくこと。
参加者同士でコミュニケーションして「どこのプロダクションに入っているんですか」とか「どういうことで学んできました?」とか、仲間をきちんと捕まえておく。やり方をきちんと聞き出すっていうことをしていった方がいいと思います。

やっぱり時代によって流れは違うので、その時代の主流を知るためにも情報は必要です。「今」の情報をやりとりしながら切磋琢磨できる仲間を作るのは、心の支えにもなるし、情報も二人分を共有することができます。
すごく若い子でまだ学生とかだったら養成所とか研究所とか通うのもありだと思います。大学生活とかと並行してできるものなのです。でも社会人で「夕方、夜とかしか空いてないよ」「土日しか空いてないよ」っていう方もいますよね。それでもそういう時間帯に合う研究所とかあるんですけど、どんどん実践的なワークショップとか行って実力を高めていくこともできます。
でも一人じゃ絶対できないんです。
きちんと横のつながりを本当に持った方がいいですよ。
今どういうことが主流になっているかとかって、結構縦じゃ見えないところなんですよ。

同時期に頑張っている仲間をきちんと探して、どういう戦法でやっていったらいいかなっていうのは、やっぱりそのときの仲間同士で話し合ったりすることはすごい大事だと思います。
どういうプロダクションに入ればいいか、あるいは劇団でどういう活動してどういうところに入ればいいか、どこが最適かっていうのは本当に人それぞれなんですよ。それぞれ芸能事務所も劇団もミッションが違うわけです。それは本当に一般企業と一緒で、「うちの会社はサスティナブルなものを目指しています。」なのか「もう本当に売り上げ重視です。」なのか。それによって自分の心が動くかどうか。
「もう何が何でも売れたい。」
「じゃあ売り上げ重視のところに行った方がいいよね。」
となったら、その代わりに何かつきまとうデメリットみたいなのがあるかもしれない。
社会事業的なことをしていきたいとなったら、
「じゃあお金はついてこないかもしれないよね。」
「でも自分の人生のメリットはあるよね。」
とか。何でも全てを備えている会社ってあんまりないと思うんですよね。例えば社員の生活も会社もうまくいくようにGoogleとかGAFA系とかそうだと思うんですけど。そこはあれですよね。やっぱり資本があるから、結構HRとかにお金かけられる。全ての会社がそうじゃない。芸能のプロダクション関連も同じです。
役者だったらね、まずは自分のやりたいアート活動のミッションと、その母体が同じ方向を向いているか・・・っていうのはしっかりと検討する必要があると思います。

憧れの事業所に入ったところで、結局自分のテーマとかミッションに合わないところに入ってしまったら、絶対モヤモヤが出てきて「こんなのやめてやる」ってことになっちゃうわけですよ。(それも一つの社会経験みたいなものかもしれないから、それを繰り返していくってこともあるのかもしれないですけど。)

■準備はしっかりと
でも誰だってあんまり嫌な思いしたくないじゃないですか。自分を守っていきたいですよね、多少。攻めるところは攻めて。
だからパーンと派手なところに行くというよりは、まず自分というものをきちんと観察して、自分の他の人より秀でているところはどこなのか、どういうミッションを持っているのか。ちゃんと深掘りする。事務所とかの研究もしっかりする。
ある程度年齢が高くなってくると、確かに18歳新人とかよりも30歳新人とかの方が選考は厳しくなってきますよね。
例えば30歳とかだとある程度社会経験とかも求められてきますし。18歳そこそこの子が挨拶できなかったら教えてくれるけど。30歳の人とかに社会の常識を誰も教えてくれないですよ。当たり前にできる人しか選ばれない。
そしてある程度台本を覚えるということは、しっかりできるようにしておく必要があります。
見せ方をどうしていくかっていうのは、実は本当は現場で合わせていく、学んでいくことしかできないこともたくさんあって。いくら稽古場でうまくいったってね、本番入ってカメラ前に立ったら緊張しちゃってダメだったとかいうこともある。
自分が安心して芝居できる環境を作るためにも、まず本当に「自分の観察」と「環境の観察」を大切に。

お芝居をどう学んでいけばいいかの問題についてはですね、とりあえず本とかでも演技論は十分学べますよ。スタニスラフスキーシステムの界隈のこととかも学べるし、たくさんの戯曲も出ている。図書館とかでも借りられると思いますし、有名なものは全部読んでいくといいです。
ちょっと苦手な分野でも・・・たとえば不条理劇の別役実やドストエフスキーも読んだほうがいいし、古代ギリシャ悲劇とかも読むし。現代ものも、歴代の様々な賞を獲っている台本なんかもたくさん読んでおく。


■知識を増やすことの重要性
これは年齢が上の人ほど特に必要なことなんですが、芝居に関する知識を増やすことはとても大切です。知識を増やさないと、まず若い子たちと同じ土俵に立てないと思ったほうがいいかもしれない。厳しいことを言うようですが・・・
そして小さい劇団でもいいから、たくさん場数を踏む。私の先生は「10回舞台に立てば下手な役者でもそれなりにできるようになる」とおっしゃっていました。見せ方がわかるようになるのです。場数を踏めば自分の方向性も見えてきますし、また声がかかるかもしれない。見に来てくれているプロダクションの人とかね。
小劇場とか出るとき、招待券とかケチらないほうがいいですよ。
見てほしい人にちゃんと招待券を出していったほうがいいと思います。ただぼんやり友達呼んでやるとかじゃなくて、「ここの劇団出てみたいから、ここの主催の人来てほしい!」とか。招待券を用意して招待状を書く、出す。つながりを自分から作ることもかなり大事だと思います。

学ぶ場としては、劇団の養成所、研究所、事務所の養成所、いろいろありますよね。あと、新人さんでも、、事務所のオーディションに書類が通ったりします。最初はみんな台本読めないってマネージャーさんたちも分かっているので、演技力じゃなくて人間性でピックアップされることも多いと思います。
ある程度、社会性をきちんと出して挨拶がきちんとできる。
自己紹介がちゃんとできる。
表情がキラキラしている。
身だしなみも清潔感がある。
ちょっとだけ自分の見せ方が分かっている。
こういう人がお芝居経験なくても事務所に入れたりするんですよ。

入ってからがスタートっていうこともよくあります。そういう人に私も教えに行ったりもしますよ。芸能事務所でレッスンを積むっていう人も新人さんでは多いんじゃないでしょうか。

私のおすすめはとにかく、いろんなところに行ったら、ただ学ぶだけじゃなくて横のつながりを積極的に持ってみる。そして情報をたくさん持つこと。で、取捨選択すること。

取捨選択するために自分のやりたいこととは、方向性とは何なのかというのをはっきりさせること。

がんばってください!

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⭐︎わたしのこと
ストアカアワード優秀講座賞受賞
演劇ワークショップ「表現するからだ」主宰
日本演劇学会会員

現在は、プロダクション・養成所演技講師(声優・俳優)、MC・プレゼンの各種セミナー企画・講師、ファシリテーター、MC業をやっています。
映像のディレクションを勉強中🔥

■経歴
舞台芸術学院演劇部本科卒業
Impact HUB Tokyo 起業家プログラムteam360出身
英国ドラマファシリテーター講座参加
NVCを利用した対話手法のファシリテーター

現在11歳8歳の子育て中ー。家事は苦手。


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