第一次親知らず大戦
親知らずを抜いた。
私の歯並びはいろいろと終わっているので、これまで苦難の連続だった。
歯に関する悩みは以前も↓に書いたけれど、
歯が90度傾いて生えてきた(歯と歯の間に来るはずの面が外側に来ていた)ときは、当該の歯の裏の歯茎にボルトを埋め込んで両隣の歯とワイヤで結び、
この三点を軸にして歯を回転させるという、ほとんど工事みたいな治療を受けた。
そのときに感じた激痛が今でもトラウマになっているので、歯を抜いたり削ったりすることへの恐怖心がハンパではなくなっている。
そのため、かれこれ10年近くにわたって歯科医から「下の親知らずはさっさと抜いた方がいい」と伝えられていても、ずっと踏み出せなかったのだ。
それでも、気になるものは気になる。
幸い上の親知らずは生える余地がないらしいものの、下の親知らずは中途半端に生えてきてしまっていたからだ。
感覚が過敏になっていて、硬いものが当たるとすぐ痛くなる。
ずっと不自由してきたのだけど、親知らずを抜くよりはマシかと思って先送りし続けてきた。
私が数年前から通っているところの歯科医は本当に穏やかな人柄で、無理強いもしないため、非常に信頼できる存在だ。
『おかえりモネ』に出てきた菅波先生に雰囲気が若干似ていることから、いまでも陰で「菅波」と呼び続けている。
しかしことしの始め、そんな菅波もさすがに業を煮やしたのか「親知らず抜いたほうがいいと思いますよ。」と勧めてきた。
その菅波の説得に心を動かされた私は、具体的な抜歯の方法を尋ねた。
そうすると、
と説明された。
めんどくさいし考えるだけで恐ろしい…と思った私は、とりあえずいま一番困っている右下だけ抜くことはできないかと尋ねた。
すると菅波は、
と返した。
「ならそれ早く言えよ…」なんて思いつつ、後日右下だけ抜歯してもらうことにした。
運命の抜歯当日。
麻酔をしてから効き始めるまでの間にレントゲンを済ませて神経の位置を確認するなど、菅波はこの日も手際が良かった。
たしかに麻酔は痛かったけど、菅波はいとも簡単に親知らずを取り出し、「はい、大丈夫そうですねー、、簡単に抜けました」と冷静に対応していた。
30分で終わりますと言いつつ、実際にかかった時間は20分ほど。
こんなに簡単に抜けるものなのか…!
と若干の高揚感を覚えた私は、処方された薬をもらってルンルンで帰宅したのだった。
が。
翌日、痛みで目が覚めた。
そのままほとんど目をつぶったような状態で食べ物をあさった私は、食べ終わるや否やロキソニンを服用していた。
幸い、私とロキソニンの相性はもともと非常によいため、痛みは即座に沈静化されたのだけど、数時間経つと痛みがぶり返した。
そうして私は数時間おきにロキソニンが欠かせない鎮痛剤依存症となってしまったのだった。
それだけではない。
歯を失うと噛み合わせも変わり、自律神経に影響が出るようで、抜歯翌日から私は風邪を引いてしまった。
それから風邪をずっとこじらせているのだけど、身に染みて思った。
人間の歯、欠陥すぎない??
と。
だいたい、機能しない歯が大人になってわざわざ生えてきて、虫歯のリスクをもたらすってもうわけわからない。
人類の進化の過程でもうちょっとなんとかなっただろ…。
赤ちゃんの大きさに対して子宮口が小さすぎるのと同じくらい、わりと根本的な欠陥だと思う。
さてさて。
痛すぎて歯茎に何か起きてるんじゃないかと心配になった私は、週明けの月曜、歯医者の予約を取って再び菅波に診てもらった。
菅波はそう言って、あっさり診察は終了。
診察時間はわずか8分、費用もなんと600円台だった。
「こんな痛くてあと数日で引くのかよ…」
と半信半疑だった私は、もらった薬を引き続き飲みつつ様子をみてみることにした。
そしたら抜歯から1週間が経ったその日から、みるみるうちに痛みが引いた。
ロキソニン依存症になりかけてた私も、気づけばまったく飲まずにいられるようになっていた。
菅波の予測精度と手際の良さにあらためて感服した。
と同時に思った。
いやこの1週間痛すぎだろ……
と。
件のもう1個の親知らずの方は…できることなら抜かなくてもいいかな笑
というか抜きたくない、抜かずに済ませてくれ頼む…!!!
画像は映画『コマンドー』より。
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