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友人の親友の交際相手に驚愕した話

人のふんどしで相撲を取ることを、お許しください…。

中学のときの友人に会った。

その友人は職業柄、ワクチン接種を早々と済ませている。わたしとしても気を使いすぎずに済むのでとてもありがたい。

その友人には幼なじみとでもいうべき親友がいて、彼はわたしと会うときいつもその親友の話題を出してくる。

しかしわたしは、ただの一度も会ったことないばかりか、話を聞くたびに人格がみえないので少し困惑する。
とにかく謎の人物なのだ。

今回も例によってその親友の話題が展開された。

友人「俺の家で遊んだあと、そいつ朝イチで彼女を職場までクルマで送ったんだよね」

わたしはこのときを見逃さなかった。
どんな交際相手といるかはそのひとの人となりを知る大きなヒントとなるからだ。

ここからの会話は、まさに怒濤の情報量となった。

わたし「あ、彼女いるんだね」

友人「うん、年上でね」

わ「年上というと…?」

友「30歳くらい」

わ「(強いな…)」

友「それで、外国人。」

わ「外国人!?」

友「うん、フィリピン人。」

わ「フィリピン人!?」

友「けっこうかわいいと思う」

SNSの写真をみせてもらった。
アカウントには微妙なうさんくささが漂う。

わ「それならモテるんじゃないの?」

友「いや、男の人とまともに話せないらしい」

わ「そのお友だちさんのほうは、カッコイイかカッコよくないかでいうと?」

友「カッコよくない。とくには」

わ「どういう経緯で…?」

友「向こうに彼氏残してきたらしいけど、アイツが奪った」

わ「略奪ですか…。このご時世じゃなきゃ相手さん海越えてきてるやつ」

友「でもその彼氏暴力ひどかったらしい。それでアイツやさしいし、寄り添ってあげたらそうなったんだって」

わ「oh…。それで、どうやって知り合ったんですか…?合法ですか…?」

友「うん、職場で知り合ったらしい」

わ「職場は…?」

友「パン工場。」

わ「ジャムおじさんじゃん」

友「ん?」

わ「いやなんでもない。それでクルマで…?」

友「送って、迎えにもいってる」

わ「ほほう。家はどうしてるの?」

友「離れてる。だからクルマ使ってる」

わ「クルマ持ってるの?」

友「いや、基本レンタカーらしい」

わ「レンタカー!?」

友「ほぼ毎日借りてるって」

わ「え、けっこう高くない…?」

友「彼女のためなら尽くすヤツだから。正直俺も不安になった」

わ「ええ…。そりゃ不安になるわ。ヤバそう」

友「はじめてできた彼女だからね、でも互いほんとに大事にしてるっぽいよ」

わ「というと?」

友「彼女が嫉妬深いって何度も相談受けてたから」

わ「(それは大事にしてるというのか…?)そ、そうなんだ。その相談よく受けたね」

友「俺もどうしたらいいかわかんなかったけど、とりあえず応えた。職場の他の女の人と会話するだけで怒るらしい」

わ「いつか刺されそう。てかそれは相談にみせかけた巧妙なノロケなのでは…?」

友「ん?」

わ「なんでもないです。親御さんには伝えてあるのかしら?」

友「お互いに伝えてるし、公認みたいだよ」

わ「(これは存外平和な展開かも…?)そうなんだ。じゃあもう結婚も考えてるのかな」

友「意識はしてるけど、滞在とかビザの手続きが面倒らしくて」

わ「ほう」

友「それに彼女、国籍がはやく欲しいんだって」

わ「こ、国籍…」

友「まぁなんだかんだ食事も割り勘して、2年続いてるくらいには仲良くしてるよ」

わ「(そういう問題なのか…?)そうなんだ。やっぱすごい気になるな」

友「そうね、おもしろいよね」

わ「またなにか進展あったら教えて」

この話題はおおよそこのあたりで終わった。

ダメだ。異常に食いついてしまった。
気になる点がありすぎる。いくらひとを国籍や年齢で判断してはいけないからといって、なんかいろいろ怪しい。
国籍をはやく欲しがるって相撲部屋の親方じゃないんだから。

「その手続き援助してあげるって、その親友さん杉原千畝かなんかなの?シンドラーのリストなの?」って言いかけたけど、たとえが微妙すぎたのでやめた。

それに、その海の向こうの元彼が実在するかどうかも勘ぐってしまう。
海の向こうの相手への悩みを打ち明けられる状況をつくり出せるその親友さん、相当スゴいひとな気がするし。

はじめにも話したように、わたしは友人の「親友さん」のことをほぼ何も知らない。

だけど、世の中に「貢ぐ男」がいることは多少なりとも知っている。どう生きようがそのひと次第なんだけども、どこか観察したくなった。

わたしのまわりは、いつもおもしろいことにあふれてる。

※画像内の字幕は映画『クレイマー、クレイマー』より

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