善意を踏みにじるな
先日。
人通りの多い駅をイヤホンで音楽を聴きながらスタスタ歩いていたら、私より少し年下か同い年くらいの男(※)がイヤホンを外して「すみません」と声をかけてきた。
どうせ何かの勧誘か、ナンパだろうと思い、無視して通り過ぎようとしたら、「駅の乗り換えのことで」と言ってくる。
失礼、困っているのか。私も乗り換えはあまり詳しくないが調べるくらいはできると思い、足をとめてイヤホンを外す。まずは話を聞こう。
「めっちゃ可愛いですね」
思わず「あぁ…」と、ため息に近い声が出て、踵を返しイヤホンをつけ直し、目的地へ向かう。
(※男性ではなく男と言うのは、その人を男性なんて丁寧な表現をしたくないからだ。)
なんなんだ、ほんとなんなんだ。
まず、怖い。
人から可愛いと言われることなど、滅多にないので、言われるのはお世辞でも嬉しいと思っていたけれど、何も関係性がない、これから関係性を築く見込みのない出会い方をしているのに、そういう相手から言われるその言葉は怖い。
そもそも私に可愛いなんて感想を持つのはおかしいし、こう言ったら私が喜んで暇つぶし相手くらいになると思ったのか。(ひねくれ)
次に、私の善意を踏みにじるな。一瞬の出来事とはいえ、最初に声をかけられた時に勧誘か何かだと思った自分を恥じ、困っているなら力になろうと思った私の善意をなぜ踏みにじるのだ。卑怯だ。
こういうことがあるから、本当に困っている人が助けられなくなるのだ。警戒心が働いて、知らない人との会話が楽しめなくなる。
学生時代、京都で話しかけてきたおばさんと他愛もない会話していたら、途中から宗教勧誘が始まった出来事を思い出す。(最後に団体の名刺みたいものが渡された。すぐに捨てた。)
あれもなんだか騙された気持ちで悲しくなった。
今回の出来事も、しつこくなかったし、相手もわざわざイヤホン外して話しかけてきたものだから、もしかしたら悪気なく言ってくれたのか?、礼儀としてありがとうございますくらい言えばよかったのか?なんて思ったりしたけれど、声のかけ方が卑怯なので、どうせこの手口で女性に話しかけているのだろう。ので、気にしないことにした。
知らない人を話しかけられるだけで緊張が走り、精神的に疲れるのに、こちらの対応がまずかったかなと気になったり、人に騙された感じがして悲しくなったりすることが更に私を疲れさせる。私は何も悪いことをしていないのに。ただ歩いているだけなのに。
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