DTM、DJ関連の著作権 ○×
DTMに関連する『著作権』を例を挙げながら、○(OK)、△(グレーゾーン)、×(ダメ)の3つに分けていきます。対象となる場はインターネットです。辞書や公的なURLなどを中心に引用しています。
私は法律の専門家ではありません。ただのおっさんです。間違いがあれば遠慮なくご指摘してください。
項目によっては△(グレーゾーン)は○寄りの△や、×寄りの△が存在しています。時代が進んで変更されることもあるでしょう。ここに書いているのはこのテキストがアップされた時点での話であるとご理解ください。
著作権は法律に基づく権利です。
「クリエイターに敬意をはらっているからだいじょうぶ!」といった感情は意味を成しません。また、著作権を理解する上で重要な視点は「自分を守る」であるということです。
楽曲
○ コード進行をパクる
× 歌詞をパクる ←当然です
× メロディをパクる ←当然です(が似たメロディの曲は存在しています)
なので、厳密には……
△ メロディをパクる ←これが実情かと
著作権の概要
サンプリング(サンプル音)
× 既存の曲をサンプリングする ←厳密には×です
○ 許可を得た上で、既存の曲をサンプリングする ←まあ、真っ当なやり方
△ ひっそりと、既存の曲をサンプリングする ←カルチャーとして成立 ※注1
○ パブリックドメインになった曲をサンプリングする ←OKOKです
× ネットで拾ったサンプル音やループ素材をつかう ←画像などと同じですね
○ Royalty Freeと明記されたサンプルをつかう ←安全です
○ 商用利用可と明記されたサンプルをつかう ←安全です
○ CC0と明記されたサンプルをつかう ←安全です。
※注1
サンプリングに関してはグレーゾーンなカルチャーとして成立している、そういう認識でOKだと思います。
例、電気グルーヴ「Shangri-La」の作曲クレジットが「Silvetti、電気グルーヴ」になった1997年よりは寛容になってきたんじゃないでしょうか。
音楽を流す
分かりやすく「Spotifyの音源を配信アプリで流す」にしておきます。
○ 自作曲を配信アプリで流す ←アマチュア視点なら○ ※注2
× 既存の曲を配信アプリで流す ←とにかく×
○ 既存の曲をひとりで聴く ←もちろんOK
※注2 プロの場合はいろいろと面倒です。なので割愛させていただきます
よく勘違いされるのが「非営利目的ならOK」という認識です。確かにそういう例外はあるのですが、教育機関などがという前提が主な場合だと思ってください。下の文章を読んで「分からない」と感じたら、そういうことはやらない!が安全です。
学校教育と著作権 -授業目的公衆送信補償金制度を中心に-
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seminar/2021/pdf/93183101_01.pdf
例えば、小学校の運動会で音楽を流す際には許可なしで利用できます。この理由をしっかりと子どもたちに教えておくべきです。というか、教えている側の教育が必要な気がします。学校からのお便りなどにキャラクターを無断で使用したりしている先生がいますからね。
非商用配信とは
別の例を。インターネットから別の場所に変えてみます。
× Spotifyの音源をカフェで流す ←思いっきり×
○ 店舗用BGMをカフェで流す ←主な店舗ではこれを利用
上は USENが提供している「OTORAKU -音・楽-」のブログです。店舗BGM用のサブスクは他社サービスもあります。というか、USENのやつ、高いですw
弾き語り・カラオケ・アカペラ
場所はインターネット。「配信アプリで◇◇する」にしておきます。
○ 自作曲を配信アプリで弾き語りする ←当然OKです
× カラオケ屋さんから配信アプリで歌ってみたを流す ←絶対の×
△ 既存曲のカバーを配信アプリで弾き語りする ←アプリ側次第 ※注3
△ 既存曲のカバーを配信アプリでアカペラで歌う ←アプリ側次第 ※注3
× 既存曲をそのまま配信アプリで流す ←絶対の×××
注3 アプリ側がJASRACやNexToneと包括契約を結んでいる場合、カバー曲の弾き語り、アカペラなどはOKとなります。市販されている音源やストリーミングサービスの曲をそのまま流すことはアウトです。CD音源に合わせてギターを弾いてみた、カラオケ音源に合わせて歌ってみた、などはアウト。カラオケ音源を自作(そんな面倒なことする方は少ないと思いますがw)した場合は(一応)セーフですね。カラオケ音源も微妙な線のものが数多くありますので、一概にセーフとは言えませんが……。
一覧は最新情報ではないので、各サービスの公式アナウンスを参照しください。
例、Spoon
YouTubeに既存曲のカバーをアップするのはOKです。サービスによってはライブ配信のみOKという場合や、申請が必要な場合もあります。また、YouTubeでは楽曲使用した際に著作権者へ利益が回るようなする流れをつくろうという動きもあったりします。
参考、YouTubeのコンテンツID
包括契約の話を出したので次はこれを……
歌詞
○ オリジナル曲の歌詞をSNSに載せる ←アマチュアならOK
× 既存曲の歌詞をSNSに載せる ←国は関係ありません
ダメな例。
好きなアーティストの歌詞を掲載してもいいですか?
note公式 ヘルプ
書いてある内容は実情としてはその通りですが、運営サイドがヘルプ回答に書くことではありません。自己責任でどうぞという姿勢ですからね。ヘルプに希望的観測を並べるのはどうかとも感じます。
○ JASRACなどと包括契約を結んでいるブログに歌詞を掲載 ←これが正解
下の方にJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能なサービスが書いてあります。
炎上Cakesを閉鎖して、noteに全フリしたのなら包括契約料ぐらいケチらない方がいいと思っています(あくまでも、個人の見解ですw)。例えば、
○ はてなブログに既存曲の歌詞を掲載 ←堂々とやっちゃってください
なのですから。ただし、歌詞の翻訳となると話が面倒になってきます。
× 英語の歌詞を翻訳してブログに掲載する ←翻訳権があります
面白いのでnoteの記事を貼っておきましたw
余談。
「歌詞 翻訳 著作権」などで検索するとアメーバブログ上で「私が訳した歌詞を勝手に載せないで」みたいなノリのブログがヒットしますが、根本的に考えが間違っています。翻訳した時点でその方は法律を破っています。読んでいると笑えてきますが、完全に違法行為です。ついでに言えば、この方、画像の無断加工までやっちゃってますw プロフィールにアーティストの卵と書いてあり……このあたりで止めておきましょうww
追記
海外の楽曲について。
「外国の
朗読
△ 本や絵本などを配信アプリで朗読する ←下で細かく分類します
○ 青空文庫にある作品を配信アプリで朗読する ←著作権切れなのでご自由に
○ 図書館で無料ボランティアの方が子どもに絵本を読む ←下を参照
ただし、コロナの影響でこのような流れもあります。
朗読はあくまでも教育の範疇で容認する動きがあるってことです。
× 本屋で購入した新刊を配信アプリで朗読 ←絶対に×
余談。
教科書や入試問題に小説などの一部や全文が掲載されているのも『公的な教育機関』が影響しています。勝手に使用したとしても問題ありません。ただし、市販の問題集になると許可が必要です。十数年前からこの許可が厳しくなりました。特に国語ですね。理由は省略します。
過去問題集等作成の際の著作権
そして、ラスト。
DJ
△ DJそのもの ←これが大前提です
DJはグレーゾーンで育まれてきたカルチャーです。絶対にそうだとは言い切れませんが、そういう面があったのは事実でしょう。
なので、下のような記事を公式が出していることそのものが素晴らしいとも言えるのですよ。17LIVEは台湾の著名HipHopアーティストであるJeffがファウンダーとなって創業したという経緯が影響していると思われます。
もしも、DJプレイで○を付けるなら以下のパターンが考えられます。
○ 全曲オリジナルでDJする ←これがDJと呼べる形なのかは別問題として
○ 全曲、著作権者に許可を得てDJする ←確かに合法です
○ 全曲、著作権料を支払ってDJする ←これも合法ですが……
○ DJに使っていいよ!という曲でDJする ←意外にあります
○ DJ PoolやDJ用サブスクの曲でDJする ←DJ用なのでOK! ※注4
※注4 DJ PoolやDJ用サブスクについては以下をご参考に
(個人的見解)DJをどうにかして合法的に……という意見もあるようですが、個人的にはグレーゾーンのままでいいと思っています。
最終的には個人の判断です。
×がダメなこと、○がダメじゃないこと。そういう黒か白かの議論は空しい結果に陥る場合が大半です。著作権は法律なので、専門家に尋ねるのが手っ取り早いです。それで問題解決、はい、おしまい。それ以上、それ以下でもありません。法的にグレーならどちら寄りのグレーなのかもすぐにわかります。
個人としては「これは×なんだけど」「これは△なのよね」という行動前の知識が重要だと思っています。「みんながやっているから」がいちばん×××です。この思考、最悪最低です。自分を守るためにも最低限の知識は入れておきましょう!
この記事、笑えませんよね。わずか数ヶ月のことで人生を棒に振っちゃう可能性はゼロではないのです、著作権には。
無知が罪になることもあるんですよ。
そういうことです。
「請求されたら払えばいいんじゃないの?」
おそらく、個人相手に請求なんてしてこないだろうという予測でそう言う方もいます。まあ、それが今の現状だと言えるでしょう。上に挙げたnoteの例がかなり近いニュアンスだと思います。でも、いつまでもそれが続くとは限りません。
Twitterでおバカな投稿して人生を棒に振っちゃった人がいましたよね。しかも複数。みんな、自分はだいじょうぶだと思っていたんですよ。特に「音楽をつくる側」に該当する方はつまらないことで汚点を残す必要なんてこれっぽっちもありませんので、言動には注意しておいた方がいいでしょう。
途中、教育機関で著作権の範疇が緩い理由を子どもたちに教えるべきだと書きました。切実に、そう思っています。せめて、芸術系の専門学校や大学で初年度に「著作権」を必修ぐらいでちょうどいいかもしれません。
そんなところで、おしまい。
投げ銭♥