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飲み会苦手民のつぶやき

僕のようにお酒が飲めない人が飲み会を何故憂鬱に思うのか。
これについては昔からずっと考えてきました。
大きく5点ほどあったので順番にまとめてみます。

①自分が嗜好しないもの(酒)がメインという違和感

そもそも”自然な興味”が持てないんですね。
僕にとって「飲み会行く?」は「カブトムシ鑑賞パーティー行く?」と大きく変わりません。酒とかカブトムシとかいいから、普通に食事会と言ってほしいです。

そんな気乗りのしないものにお金と気を遣い、加えて本来なら休めるはずの時間を遣うわけで、このへんは結構なストレスになります。

「オッケーイ、そろったね。みんなビールでいい!?」
開幕早々全然うれしくないコールをされて、
(よくないでーす)
と心の中で静かにレスポンスしてしまうわけですけれど、さすがに空気を読んで頼まざるを得ないわけで、僕って本当に日本人。

いつも心の中でカブトムシを歌いながら、少し背の高いグラスで苦い飲み物を飲んでいます。


②飲める人との温度差

昔よりは世の中にリテラシーが浸透していて、
「お酒飲めないんです」
といえば無理やり飲まされることはありません。

でも、
(へー飲めない人なんだじゃあ仲間じゃないね)
はまだまだあるんです。
たとえ口に出さなかったとしても。

「大丈夫大丈夫、飲めない人に無理に飲ませたりはしないから。そういう時代じゃないし。ねえ、サトウちゃん。あ、サトウちゃんはまだやってるのか」
「やだー、しないですよー。実は飲めるんじゃない?って人には遠慮なく飲ませますけど」
「ほら出た!サトウちゃんザルだからなー。nemuさん、あの人に近づくと危ないよ」
なんて酒飲みのじゃれ合いがはじまる。

もう、この時点でなんか嫌なんですよ。「飲めるor飲めない」「飲ませるor飲ませない」の概念、こっちはまったく興味ないので。

普通の食事会で、人がどれくらい肉食えるかとか、翌日に胃もたれしない体質とか、頻繁に話題にしないじゃないですか。
このぼんやりと漂うマウント感が苦手。


③"普通の会話"がたのしめない

人は飲むといろんな中枢が激烈バカになります。
・周りの声がでかすぎて話が伝わらない
・何度も話したことを「そうだっけ?」と返される
・細かいボケは通じない
・勢いに任せてなんかズケズケ言ってくる(くせに覚えてない)
などなど、酒席はとにかく会話に向きません。
どうせ記憶に残らないんだろうなー、と思いつつ大声を張り上げるのはだいぶ虚無です。次の日、声が阿部寛みたいになるし。

となりがよく話す人なら、ひたすら相槌を打つだけ。
となりが物静かなら、退屈さマシマシのまったり食事会。

要するに、
・飲み会だからいい感じに親睦を深められた
って経験があんまりないんですよね。手に入るのはせいぜい悪口とゴシップ。あとは、吐いて介抱して送った云々、"弱みを晒した親近感”の共有くらいでしょう。

もちろん気の合う人たちといけばいい感じに盛り上がりますが、それは別に飲み会じゃなくてもいいんです。


④過去のトラウマが残っている

シラフの人は酒飲みより感覚が鋭敏なので、当然、嫌なことも高解像度で覚えているもの。ましてや僕は昭和生まれ&営業出身者ですから、飲み会のストレスは闇のクリスタルくらいにデカデカと結晶化しています。

大学時代は吐きまくり、新卒では奴隷の立ち回りを強制され、仕事の中枢にかかわると説教が増える。上司というイキモノの話はひたすらループですから、「俺は思うんだけど、仕事ってのは~」と枕が始まるとゴッドファーザーのイントロ流されたくらいの絶望感があります。

はい。そうなんすね。わかります。たしかに。へえ。すごー。あー。
2次会、3次会ともなると向こうは夢遊病者レベルですから、聞き手に回って心の7色テンプレボタンを押すだけ。工場のライン作業なんて目じゃないくらい、時間の経過が遅いです。

4次会終わりに、唯一シラフの僕がみんなを車で送るときの気持ちが想像できますか?
人生で積み上げたマイナスイメージはあまりに大きい。


⑤なんだかんだ相手が楽しそうで辛い

②と重複する部分もありますが、その罪悪感ヴァージョン。
やっぱり、相手の好きなものに寄り添えないっていうのが一番つらいんですよ。

飲み会の場に関わらず、
「こんな日は早く上がって冷えたビール飲みたいよねえ!」
とか、
「ぜひnemuさんと飲んでみたいなあ!」
とかある。

こういう時の酒飲み達って、大人としては最大級の無邪気さを示してくれているじゃないですか。向こうはあなたと抱き合いたーい!ってダッシュしてきてるのに、僕はぽん、と小ハグが精一杯。

下戸と打ち明けた後の「あっ…(スゥーッ)」みたいな反応が見てられません。フッたのと、フラれたのと、ロミオとジュリエットが引き裂かれたみたいのが、ハイブリッドで押し寄せた感覚です。


*まとめ*

うーん、まだまだありそう。
最近はそうでもないけど、昔はホントに嫌だったですね。
いまは立場も上がったから普通に誘いを断ったりもするし、参加しても、テッペンが迫ってきたら、普通に眠いとか馬車が迎えに来るとかいって帰ります。

酒が飲めないと人生半分損してる。
なんて言う人がいて、それを極端だという人もいますが、僕はその感覚結構分かります。特に若手の時は、年上でも、女性でも、そこで繋がる縁があったとおもう。

とはいえ今世は結果幸せなのでこれはこれで。生まれ変わったら、ワイングラスをくるくる回す人生がいいですね。


(番外)飲み会嫌すぎて失踪した事件

ちなみに、飲み会嫌いが極まっていたのは出版社勤務時代。
普段は東京支社勤務なのに、大阪本社で忘年会が行われることになって、席が僕1:知らない女性5だったんですね。
しかも向こうはどう考えても話が合わないデザイナーたち。
その時ばかりは、飲み会開始直前に脊髄反射で逃げ出してしまいました。

でかいスーツケースを引きながら、ライトアップされた夜の大阪城の周りをとぼとぼ歩いて、梅田のマンガ喫茶で一泊。次の日は電車で箕面方面に行き、もみじのてんぷらを食べながら滝をずっと眺めてました。

会社では”nemuが失踪した”と大騒ぎになっていたらしく、後日とんでもなく説教されましたが……気づいたら身体が夜に駆けてたんだから仕方がない。

そんな重度のやらかし野郎もいるんだから、ちょっと苦手なくらいの方は元気出してくださいね。

きついなら遠慮せず帰るのみ!
ただし、誰かひとりには必ず言付を残しておくのがオススメです。


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