【MV制作小話】YOLO / comprehend
今回の内容は、comprehendの楽曲『YOLO』のMV制作の話です。
(ヨーローと読みます)
XでMVの話をしたのですが、制作の話って私からはあまりしてなかったなーと思いましたので、まとめてみることにしました。
制作の順番はごちゃごちゃになりますが、まずはYOLOのMV話です。
(先日、Twitter…ちがった! Xで、この話になったので。夏終わりだし!)
こんにちは。コンプリヘンドというバンドでアートワーク&マネジメントをしている根本すずです。
本日は、MV制作のことを振り返ってみようと思います。
『YOLO』という曲について
こちらが『YOLO』
YOLOとは、「You only live once」の略で、
『人生は一度きり』という意味のスラングです。
(流行語だったようで、今はもう古いみたいですが)
この楽曲のMVは、コンプリヘンドが2人体制になってから最初の1本目ですね。
※ LIVE MVは別で!
『人生は一度きり』というメッセージを映像で伝えるために
どんなストーリーにするか、入念に打ち合わせをしたのを覚えています。
『YOLO』 MVの主人公
個人的に、MVを作るためには設定がすごく大事だと思っています。
映像としておもしろければいい、と考えることもできますが、
隅々までこだわりたい性分もあるのですよね。
(もっとこだわる人もいると思いますが、できる限りこだわりたい…!)
『YOLO = 人生は一度きり』というメッセージの曲。
ということは、反対の状態から
『人生は一度きり、もっと自分らしく生きたい』
と気付く瞬間を描くストーリーがいいと思ったんです。
そのために浮かんだ主人公のイメージは、
『自分らしく生きる』からは真反対の人。
『自分を生きることができていない、がんじがらめの人』
= 自分も経験したことのある、ブラック企業の社員
が浮かんできました。
コンプリヘンドのボーカルは男性だし、
そのバンドが自分自身を歌う曲なら、主人公は男性かな。
でもコンプリヘンドの2人、演技は微妙なのです(笑)
ちょっと固くなりがち。
役者さんを雇うことも考えましたが…
そもそもメンバーの撮影スケジュールが、実は1日しかなかった…。
ここで演技の相談や、顔合わせとかも無いまま組むのは無謀。
ならば、顔が映らなければ誰でもいい。
主人公視点で、自分が演技すればいいのでは?
(私の面構えでは、男装やメンズメイクしても限界がありそう…)
ということで顔は隠しつつ
とはいえ、万が一の映り込みも考慮した結果
自分サイズのメンズスーツを古着屋で探しました。
歩き方も、男性らしい歩き方とは?を研究して練習。
「あのおっちゃんの真似した歩き方するから、見てて!」と
夫に監督してもらつつ、1ヶ月以上かけて歩き方も矯正。
どうしても骨格の違いは出ますが…ここは妥協…!
時計をして手首は隠しました。
ちなみに腕時計は、サイズ調整できる金属製であれば良しとしました
革製はビジネス的にNGだそうですし
メンズの金属製ではサイズが合わなすぎて…。
ちなみに写らないだろうけれど、ガラス等で映り込みがあった時を考えて、髪とメイクをメンズ風の勉強をして寄せていました。
カメラの視点としてだけの主人公ですが、けっこう作り込んでみました。
MVの中でのメンバーの役割
メンバーは、色んなファッションで登場してもらいました。
すべて通りすがりの役ですが、目を惹く人が写っているはずです。
洋服を大量にキャリーに詰め込み、写らないタイミングのメンバーに持っていてもらいながら、移動しつつ着替え。
極力、公共のトイレを使用して迷惑をかけないように、外でも着替えられるようにアレンジを組み合わせるのが案外大変だったなぁ…!
おもしろそうなグッズは少し追加購入もしましたが
メンバー2人と私、3人の私服を交換しながら作りました。
実は裏の思惑もあったこの撮影。
「こんな服も似合うんだ!」とメンバーの固定観念を壊して、
幅を広げられたらいいなと思っていたのです。
自分だと似合うのに、他の人だと怖いキャラになる!とか
いろんな発見があって笑いました!
メンバー探しの楽しみもあると思うので、MVでみんなを探してみて!
MVに隠れた小道具の話と、物語。
実は一瞬しか写らないのに、こだわりまくったのが手帳!
透けて見える裏面や、消し跡までこだわったんですよね。
(見えるかな?)
ブラック企業で働いた経験のある人と話すと
休みは少ないし、休みがあっても消えるし
夜も遅くまで終電ですら帰れず、次の日も朝から仕事で…
なんて話も聞いたことがあったのですよね。
その話を元に作ったのが、こちらの手帳。
休日出勤が続き、代休になったはずの日も結局仕事になり
休めないスケジュール続き。
夜も遅くまで予定が詰まっていて、予定がなくなってもまた埋まって…の繰り返し。
先月から全然休めてない…という設定です。(辛かろうな…)
眠れないとだんだん判断力が鈍って、酔っ払った酩酊状態と変わらなくなるという研究結果を聞いたことがあります。
自分がブラックな状態で働いていた時、何度も記憶が飛んでいたもんな…
そんな主人公が、うっかり電車で寝落ちて予定の駅を降りられず…
罪悪感と絶望感のまま、電車で現実逃避をするのが映像のスタート。
終点まで逃げてきたら、待っていたのは明るくて穏やかな海です。
(友人で、実際にこのような逃走をした人の話を聞いたことがありました)
その平和な景色を眺めているうちに、自分自身を取り戻していく物語。
それがYOLOのMVに込めたストーリーです。
舞台が逗子・葉山になった理由
実はYOLOの楽曲アイデアは、ba/cho外山から。
千葉県の鵜原海岸へ電車旅で行った時に浮かんだそうです。
MVでも、映像にするなら海をモチーフに入れたいね!となっていました。
ですが、MV曲のために1番イメージが合うはずの鵜原海岸を選べなかったのは理由があります。
・ストーリーに合わせた、近隣の撮影地の組みにくさ
・ストーリーに合わせた、電車ルートの違和感
鵜原海岸での撮影ができれば海のイメージには1番合うはず。
ですが総合的に考えると、海だけ鵜原海岸になるのは違和感があるはず。
(特に鉄オタであるba/cho外山のフォロワーさんは鉄オタ仲間多い!)
ルート的にも、設定に合ったルートがいい。
そして1日のスケジュールで完了させるには
近隣の撮影もできる場所がベストだったんです。
(映像素材は思っているより多い方がいい)
これらを理由に、ストーリーと撮影地の整合性をとっていきます。
出発地点は一般的なベッドタウンで、そこから仕事に行く。
撮影日が日曜だったので、スーツ姿の人は少なかろう…
ということで、休日出勤の設定で。(手帳をチェック!)
そして、うっかり電車で寝過ごした主人公は
罪悪感でボーッとしていたら終点まで来てしまう。
※ 手帳から、まめな真面目な人に見えていたらいいな。
決して適当な人ではないよって、伝えたかったのです。
ちなみにルートは、鉄オタさんたちだったらわかると思う。
京急蒲田駅を出発し、乗り換えなしで逗子・葉山駅に着く。
これは、ba/cho外山が監修のルートです!
無意識の内に到着するという設定のために、
逗子・葉山は完璧でした!
こうして出来上がったのが、『YOLO』のMV
人によって作り方は違うと思いますが
私の作り方はこんな風に完成させました。
ちなみに、撮影クルーが複数人いたり
外部の方とのやりとりがある場合
このやり方は不向きです。
本来は、絵コンテというものを使って
この秒数分、この映像がこのカメラワークと演技で必要。
なんて指示が必要となるのが正しいのだと思います。
でも、コマ数で組み上げられないのが、私の弱いところ。
直感的に撮るので、不要になる映像も多く撮ることになる。
となると…時間の無駄も増えるので、大人数で撮影は難しい。
メンバーと私だけだからできる技ですね。
とはいえ、完成すればよし。
甘くするところは甘くしています。
今後も撮影してMVを作るのもやりたい気持ちもあるのです。
メンバー本人が写っている方がいい時は、また撮影もすると思います。
もうすぐ『whereabouts』という曲のリリックビデオが公開になります。
これはAI動画で制作していますが、私らしいアレンジを加えました。
楽しみにしていてくださいな!
YouTubeでフルver.を公開します!
(各SNSでは、ショート版を公開するよ!)
チャンネル登録をして、待っていてもらえたら嬉しいです!
(2〜3ヶ月に1本ペースで新曲公開&MV公開しています!)
見てくれてありがとうございます。
それでは、またね!
楽しみにしていてね!
お知らせ
▶︎comprehend(コンプリヘンド)◀︎
『誰かの為だけの人生になってないか?』
『自分を生き抜く』を歌うオルタナティブロックバンド。
激しく繊細。
美しく愚直。
あらゆる要素を包括した、ジャンルの枠に囚われることのないcomprehendの音楽を構築する。
comprehend
vo/gt 根本直哉 ba/cho 外山タロウ
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【シングル定期リリース中!】
💿 最新シングル『whereabouts』"定期配信第5弾"
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