WANDSと『-真天地開闢集団-ジグザグ』〜上原大史と上杉昇の奇妙な共通点〜
先日ダイソーで黒い綿棒を買おうと思ったら、店内BGMで流れてました。
♪抱きよぜぇ〜〜〜高まるぅ゛〜〜〜君の体温と共にぃ〜〜〜
……なんだそれ?って…いや、あれですよ。5月20日にリリースされた第5期WANDSの2ndシングル『抱き寄せ 高まる 君の体温と共に』じゃないですか…。
19年という長きにわたる解体期間を経て、昨年新ボーカル上原大史を迎え再始動と相成った伝説のバンドWANDS。第一弾シングルにして新境地を示した『真っ赤なLip』とは打って変わって、馴染み深い爽やかなポップスに仕上がっています(タイムリー性の欠片もない、約2ヶ月遅れのご紹介です)
まさか令和の時代になって、この懐メロでしか楽しめなかった90年代王道ビーイングサウンドを、ニューシングルという位置付けでこうしてまた日常の中で聴ける日が来るなんて…それだけでもWANDS再始動の意義があったと言えるのではないでしょうか。
慣れ親しんだ曲調と前任者を彷彿とさせるようなビブラートの効かせ方…全国一千万人のWANDSフリークの皆様も、以前にも増してWANDSの復活を実感できたことと存じます。
もはやセンテンスと化している長い曲名もまさにビーイングのお家芸
濃厚接触も甚だしい曲タイトルとは裏腹に、コロナ禍でスタジオ演奏を別撮りしたMVは往年のビーイングMVを思わせる仕上がりとなっており、こうした徹底的な懐かしさの喚起が我々消費者の購買意欲を促進したこともあってか、オリコン週間ランキングでは3位を記録。ネットニュースでも紹介されました(中小企業ホームページの『メディア掲載されました』みたいになってるけど…)
そして見逃せないのがカップリング曲。初回限定盤が『Just a Lonely Boy』、通常盤に『愛を語るより口づけをかわそう』のセルフカバーを収録。特に『Just a Lonely Boy』の復刻は意外性十分でした。二作目にして「ニブいニブい…」等の合いの手を楽しめるとは思っていなかったので…。
しかしこのセルフカバーシリーズ、今後次々と発表していくにあたって意外と重要になってくるのが第3期の名曲『錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう』なんじゃないだろうか。
海外でも人気の高いドラゴンボールGTの主題歌をセルフカバーするとなればアニソン好きの食いつきも相当なもので、ファンのみならず、世間…いや、世界からの反響が実は最も大きい楽曲のような気がするのだ。
とは言え、世のDB好きが反応する程度で、軽くTwitterでトレンド入りして終わりなのかもしれないが、間違いなく公式YouTubeチャンネルの動画コメント欄は、読めはしないけど喜んでいるのは伝わってくるような多言語の書き込みに溢れかえるに違いない!
この先どのタイミングで、どういった形で発表されるのか、そしてどのような仕上がりになるのか…スーファミソフト『ドラゴンボールZ 超武闘伝3』をプレイしつつ心待ちにしたいところであります。
グローバル時代における世界展開も見据えてスペイン語バージョンを収録するのも悪くない…?
今回述べたいのはWANDSのことではない!
さて、第5期WANDS始動の報を受けて8ヶ月が経ち、謎のイケメン新ボーカル上原大史氏の人となりについて徐々にではあるが明らかになってきている。
情報も少ないわけではなく、プロフィールをまとめたトレンドアフィリエイトブログも多数見受けられるが、彼について調べれば調べるほど逆によくわからなくなってくるという怪現象に見舞われているのは俺だけだろうか。
一応、今のところ公式に発表されているわけではないが、『−真天地開闢集団−ジグザグ』というビーイング所属のインディーズV系バンドのボーカルも兼任しているというのは事実と見なして差し支えないようだ…。
右上の何やら『DESIRE』の頃の中森明菜を白髪にし、前に長いやつを2本垂らした髪型をしているのが上原大史氏らしいのだが、身なりとバンドコンセプトが複雑怪奇を極めており、その難解過ぎる世界観がゆえに、こちらも理解が追いついていかないのが正直なところである。
8ヶ月前のWANDS再始動発表当時、彼らのYouTubeチャンネルにて楽曲MVが公開されていたので幾つか確認してみたところ、和テイストのおふざけヴィジュアル系バンドといった印象で(おふざけ楽曲に関しては素直に面白かった)その演奏力の高さや幅広い音楽性に驚嘆しつつも、「俺は和風系バンドだとカブキロックスの方を聴いてるからジグザグは遠慮しておこう」と判断し、調査は打ち切りとしたのであった。
しかし最近、俺がWANDS関連の動画を視聴していることが原因なのか、YouTubeが『あなたへのおすすめ』として彼らの動画をやたらとプッシュしてくるので、執拗なデートの誘いに「食事ぐらいなら良いか…」と許諾する乙女の如く、根負けする形で聴いてみたらば……いい意味で裏切られました。
これがひたすらエモい。イントロから和の音色を効果的に使い、ズンズン響くギターリフ、そしてサビの爽快感。もう、ドーパミン分泌されまくり。歌い方にV系特有の癖はあまりなく、綺麗なメロディーラインで非常に聴きやすいと思います、ええ(野球解説時の掛布雅之のような口調で)
こちらはV系全開。歌詞も、ちゃんとメンヘラしてます。デスボイスを駆使しながら卓越したギターソロも披露。とにかく器用さが目立つ。ヘッドバンギングせずにはいられなくなるような極悪強烈メロディアスハードロックの傑作。凄まじい熱気からしてまさにライブバンドである。
今度は一転して、深夜アニメのED曲っぽい儚げなナンバー。こういった美しく切ないメロディーラインの泣かせるJ-POPも作ってくる。ライブ終盤、お客さんへの感謝と今後の活動へ向けた熱い想いを語った後に歌ってそう。新海誠的スペクタクルのアニメーションMVも淡く、優しい気持ちにさせてくれます。
ここで一つ、ジグザグの重要なファクターであるコミカルソングを紹介しておきます。一見して取っ付きづらい容姿ではあるが、このようなおどけたノリに親近感が芽生えるリスナーも少なくないのではないか。ラストの『もふ〜も〜ふ〜しぃ〜てぇ〜〜へぇ〜えぇ〜へぇ〜♪』とドリカムの吉田美和みたいに歌い上げているところが個人的にツボ。そんなフレーズでかっこつけんな。
そして最後にもう一度、エモーショナルなやつです。『Promise』に比べるとディストーションの効いたヘヴィなサウンドで、ボーカルにダミ声かかってます。歌唱力のみならず表現力も著しく優れている。というか『きちゅねのよめいり』などのおふざけソングを踏まえると、こんな風にマジな楽曲をやるのも彼らなりのお笑いなんじゃないかとも思えてくる…。
結局、上原大史という男は何者なのだろうか。
かつてビーイングは所属アーティストのメディア露出を抑えることにより神秘性を演出するというイメージ戦略をとっていたことは有名な話だが、上原氏の場合は守るところは守りつつも積極的なSNSマーケティングに取り組み、多面性に富んだ作品の発表や活動展開をすることで逆に謎が深まり、結果的に神秘性をもたせることに成功しているように思える。
第5期WANDSが始動して上原氏に注目が集まって以降、V系サウンドに縛られない楽曲も増えている印象があるが、バラエティ受けしそうなキャラクターも魅力的で、その人気が全国区となるのも時間の問題だろう。
皆さんも『−真天地開闢集団−ジグザグ』のバンドとして見応えのある、今この貴重な瞬間(とき)を是非、共有してみては如何でしょうか?
何の因果か…
それにしてもWANDSファンは上原大史氏のこのような奇天烈極まりない活動をどう受け取っているのだろうか。
「WANDSのイメージを汚すな!」と非難する声は一切聞かれないが…。
もしかして…
元WANDSのボーカリストで脱退後、インディアンになったりスキンヘッドにタトゥー入れたり恐ろしい姿に変貌を遂げた方を見ているので、その辺のショッキングな見た目への耐性は付いているのかも。
…そう考えるとWANDSのボーカルになる人って内に何か秘めていないといけないもんなのか…?
とにもかくにも、上杉と上原氏に意外な共通点があるようで何が良いのかわからないですけど、何か良かったですね。
上原氏にはこれからもどんどん自分のやりたいことを追求して、楽しい活動をしていって欲しいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?