木村夏樹はなぜロックと出会い、なぜロックで、なぜアイドルなのか
※以前別のアカウントで公開していた記事をこちらに移転しました。
Intro
アイマスの記事です。「アイドルマスターシンデレラガールズ」に登場する僕の担当アイドルのひとりにしてロックなアイドル(公式)、木村夏樹について考えたことを広げて書きます。
最近TLで他の夏樹Pの方々が夏樹の両親や家庭環境について考察していたのを目にして、自分でもコミュを見返していろいろ考えたのですが、そこそこの分量になったこと、どうせなら色んな方に読んで欲しいと思ったことから、一つの記事という形にまとめてネットの海に流すことにしました。
今回の考察(の皮を被った妄想)は補足として用いた劇場の一部を除いて、ほとんどがデレステのコミュをベースにしています。筆者自身モバマスを殆ど触っていないことと、ネットで調べるにしても情報量が多すぎてやる気が起きなかったのが理由ですので、そのあたりはご容赦ください。モバマスとデレステで大きな情報の変化は無いと思っていますが、もし僕の考察と矛盾する公式情報がモバマスから出ている、等ありましたらご指摘頂けると幸いです。
Track 1:木村夏樹って?
夏樹についてよく知らない、或いは全く知らない方もいるかもしれないので簡単に彼女の説明をしておきます。担当Pさんなら知ってるくらいのことしか書かないのでスキップ可能です。
木村夏樹はスマホゲーム『アイドルマスターシンデレラガールズ』『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』に登場するアイドルの1人。同名のアニメにも登場しています。ゲーム序盤で比較的すんなり手に入るキャラですので、彼女について知りたい初心者の方はまず上記のゲームを触るのが良いと思います。
茨城県出身の18歳の女子高生。リーゼントヘアでロック好きなんていかつい外見ですが、内面は面倒見が良い、とっても優しい子。
趣味は上記の通りツーリングで、バイク好きな描写がよく見られます。誕生日もバイクの日です。出身地の茨城は田舎だし、バイク乗り回すの気持ちよさそうですよね(刺される)。
そして特技は上には書いてありませんがギター。担当Pでなくてもその腕前は一目置かれているほどで、アニメでもガンガン弾きこなしています。歌も、デレマス界でトップクラスのイケボ。男の僕でも惚れました。CVの安野希世乃さん、ほんといい仕事してます。それがわかる曲をいくつか紹介。
これは彼女のソロ曲でアニメでも披露された「Rockin' Emotion」。
ユニットでもいくつか歌っていますが、僕が特に好きなこの曲を。この後の考察でもよく登場する松永涼さんをはじめとした面々と、昭和のヤンキー文化を思わせるオラオラなロック・チューンを歌っています。
トレードマークでもあるリーゼントヘアを下ろせば一気に美少女に(サムネ一番右ですよ、一番右!)。アコギを基調とした優しいアレンジに夏樹の伸びやかな声が映えるこの曲は、デレマスの中でもトップクラスに好きな一曲です。
Track 2:木村夏樹の両親ってどんな人?
布教も済んだところで、ここからが本題。
まず、木村夏樹の両親について人物像が直接語られたコミュは2021年9月現在、確認していません。そのため夏樹の言動からちょっとずつ考察するしかなく、この段階で間違えてると後の考察も一気に破綻しそうなので、いずれ出るかもしれない公式情報を僕は震えて待っています。
なんで夏樹の両親?と思われるかもしれませんが、まず単純にどんな人なのか、担当Pとしては気になります。そして、夏樹の両親について考えることで、夏樹の過去やコミュの心情全てが繋がって来ると思ったので今回筆を取ったわけです。1つ1つ見ていきましょう。
この考察の要素として以下にいくつかのコミュを挙げます。ひとつめはイベント「空想探査計画」のコミュ4話。
木村家には偉人伝がたくさんあった、と。娘が読めそうな本はいっぱい置いてあった、ということでしょうね。
そして2つ目、SR【ロッキングメイド】特訓後のルームでのセリフ。
フリフリの服が好きだった時期があったことを示しています。「全然イメージと合わないし、秘密だって言ってるし、嘘ついてPをからかってるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、自分はこのセリフは本当のことを言っていると思います。というのも夏樹ってカッコつけだから。
こういう風に、カッコがつかないことに関してはしれっと隠して嘘をつける性格だから。そしてイベント「Jet to the Future」コミュで夏樹の過去について語られるのですが(内容については後述)、その過去も同僚の松永涼さんからのアドバイスが無ければ、カッコつけて自分から話すことはなかったわけです。
要は、彼女は隠しておきたいことはマジで口に出さない性格なので、逆に言えば「秘密」にしてはいるけれど、夏樹がうっかりでも喋っていたこと、そして慌てて無かったことにしようとしたセリフは全て真実である、と仮定できるわけです。これテストに出るんで赤線引いといてください。以降これを前提として進めますが、この仮定を踏まえると、上のフリフリの服問題もわざわざ話題にした時点で…ねぇ?
あと、これは具体的な描写が多すぎるので挙げませんが、夏樹Pじゃない方でも、木村夏樹と言えば・面倒見が良い、・ノリの良さと同時に優しさも持ち合わせている、という印象があると思います。なんせ、ジュニアアイドルのリクエストを断れずに童謡のレパートリーが増えていく(SSR【FEEL SO FREE】)アイドルですから。推せる。
・偉人伝、・フリフリの服、・面倒見の良さという3つの要素から、なかなかの育ちの良さが伺えますね。一方で空想探査計画の報酬SRの特訓コミュでは
と、課題を真面目にやるタイプではなかった模様。それに対して両親がどう思っていたかは知りませんが、だからと言って激怒するような両親ではなさそうかな、ともとれる。
そしてメモリアルコミュ第2話。
サウンドスタジオでのレッスンを知っている、でもボイストレーニングは基礎が身についていないことから初めての経験っぽい。となると、彼女がレッスンを受けていたのはギターじゃないか、と想像がつきます(例えばピアノとか、他の楽器を習っていたという可能性もあるけれど、だとしたら「サウンドスタジオ」よりは「音楽教室」なんじゃないかな…と思うので)。
このレッスンに加えて、夏樹のバイク趣味と、「中坊の頃からライブハウスを回っていた」というセリフ(JttFコミュ。画像はTrack 4で)。親の理解や許可なしにこういったことが行われていた、とは僕には到底思えないので、両親は夏樹の音楽活動について一定の理解はあったのでしょう。
まとめると、木村家では
・ロックと言うよりは「女の子らしい」インテリ的な教育が無かったわけではなさそう
・でも音楽にも一定の理解があったし、夏樹は課題を堂々とサボる育ちをしている
この2点から、僕は
こういう両親像を妄想で生み出してしまったわけで。え、スケバン張ってた母親に真面目な学生生活を送った父親、という逆パターンもあるかもしれないだろって?そうだったら…是非夏樹ママに会ってみたいですね(殴)。
Track 3:木村夏樹のロックの芽生えは?
この問題が僕は何気に重要なことだと思っています。まずはさっきも挙げたこのセリフをもう一度見てみましょう。
少なくとも自分はこの一文から『「女の子らしさ」といった括りをされることへの反抗心』といったものを感じることができません。空想探査計画のコミュでも、偉人伝に対してトラウマのような拒否反応を示している様子は全くない。
どういうことかというと、夏樹が親の教育方針への反抗心からロックに共感し、目覚めたとは僕は全く思えないんですよね。これは「お嬢様として高貴な教育を受けさせられていたことへの反抗」で家を飛び出して音楽の道(それも「クラシック等の教養としての音楽」とは真逆のロックの道)を志した松永涼さんとは違うところだと思います。日頃ロックの精神性を語るセリフが多い夏樹ですが、入り口はそういう反骨精神じゃなくて、純粋な音楽としてだったんじゃないかな。
これは自由な音楽を志した松永涼さん
そしてTrack2で「夏樹の両親の最低でもどちらかは音楽に理解がある」と話しました。中学生の頃からギター弾いてた夏樹ですが、「バイトもできない年なのになんでギター持てたの?」って疑問にもそうじゃなきゃ答えられない。親が買い与えたか、家にあったか。
このことから、夏樹にとってのロックの入り口は「学校や家庭といったつまらない環境から逃げるために隠れて手に取った武器」ではなく、家庭環境の中で親の趣味などで「気がつけばそこにあったもの」だと僕は思っています。そうですねぇ、例えば、父親もロックが好きだった、父親も元バンドマンだった、とか。
これは筆者も似た境遇なのでよく分かります。父親がギターを弾く人なので、ロックに出会ったあと、家にあったギターを手に取り、実家でかかっていた洋楽を好み、いつの間にかバンドを組む学生生活を送るまでになっていた。両親の好みって、それが良い方向であれ悪い方向であれ、子どもに大きな影響を及ぼすものです。
この仮定が次、夏樹の過去と両親との関係に繋がっていくと思います。「木村夏樹の両親の最低でもどちらかはロックに理解があるばかりではなく、音楽に積極的に関わっていたことがある」。
Track 4:木村夏樹にロックの才能はない
ここからが僕が一番書きたかったことです。上述の家庭環境、そして夏樹の過去と現在が繋がります。
木村夏樹の過去がフィーチャーされたのがイベント「Jet to the Future」のコミュ。ユニットの相棒である多田李衣菜と衝突してしまい、プロデューサーや松永涼さん(彼女、ほんと夏樹に関してはキーパーソンだな)の助言の後、李衣菜と対面して言葉を交わすシーン。
カッコつけて隠してた自分の過去を曝け出しています。多田李衣菜さんはもともと夏樹のことを「自分の知らないことを知ってる、自分が出来ないことをなんでもできる、カッコいい相棒」だと思っていたのですが、夏樹は「そんなことない。挫折をクソほど味わった」と。
音楽で一発当ててスターになるなんて、無理なんじゃないか
こんなことを何度も思った、とのことです。音楽で食っていくという夢を持ちつつも、自分にはそんな才能ないんじゃないかと。いっそ諦めてしまおうか。そんな心情を持っていたのが
歌手部門のオーディションを受けようとして、アイドルとして拾われる頃。ですが「何度も味わった」のですから、きっとそれ以前、中学生の頃から同じような自問自答をしてきたのでしょう。
そして、「空想探査計画」イベントコミュ。
はい、Track2で赤線引きましたね。「木村夏樹がポロッと話して慌てて誤魔化している部分は全部真実」。このセリフも本当のことだと考えて進めます。
『親の理解が大事だ』『「お前には才能がない」なんて言葉を素直に聞くな』が両立しているあたり、夏樹は両親から「お前には才能がない」と言われたことが本当にあると僕は思っています。
このコミュ、一緒に活動した浜口あやめちゃんも日野茜ちゃんも家族の趣味への理解を語っているコミュです。浜口さんは「家族が時代劇好きだった」から、忍者。日野さんは「自分がラグビーを見て目を輝かせているのを、親が見ていてくれた」から、ラグビー。じゃあ夏樹は?という流れになるので、この言葉は夏樹の両親から発せられた言葉とみていいと思います。「夏樹、お前には才能がないんだ」と。
想像してみてください。音楽は楽しいけど、「本当に自分に才能はあるのか?いや、無いんじゃないか?」と1人で自問自答していた中、親からかけられる言葉。「お前に才能は無い」。
今の夏樹を知っている我々からしたら酷い親だと思う人もいると思いますが、この両親の気持ちはよく分かりますよ。Track3で、父親がロック好き、もしかしたら元バンドマンかもしれないって結論付けましたね?父親からしたら、自分だって才能が無くて挫折したかもしれない道に、娘がまた飛び込もうとしているんですよ。地元で楽しくギターのレッスンを受けたり、ライブハウスに出入りするならまだ趣味の範疇で許せたんでしょうが、成功が約束されていないプロの世界に娘が足を踏み入れようとしているのなら、そしてもし自分が同じ失敗をしているなら、そりゃ止めたくなる気持ちも分かります。
夏樹はどう思ったでしょう。カッとなったかもしれない。だって、「才能ない」なんてことは自分だって薄々気付いていたことだから。でも、夏樹は諦められなかった。このあたりで、夏樹の「ロック」が「いつの間にかそばにあった楽しい音楽」から、「木村夏樹の精神性の象徴」になったんだと思います。
これは想像ですが、例えばPと夏樹の出会いであるこのオーディションだって、「夏樹がその親の方針に反抗して強引に上京した」よりは、「両親が夏樹の夢を諦めさせるために最後のチャンスとしてオーディションに行くのを許可した」と考えることもできません?受かってしまえば夏樹の望み通りだから良し、ダメでも夏樹は夢を諦めざるを得ないからまた良し。
そしたらまさかのアイドルとしてPに拾われてしまった。しかも、ロックなアイドルとして。「ロックで行くんだ、ロックで自分を知らしめてやるんだ」とプレッシャーを感じていたところに「アイドルならない?」なんて気の抜けたこと言われたら、そりゃ笑っちゃいますよ。
確かに自分にロックの才能はないかもしれない。でも、アイドルなら分からない。この際なんだってやってやる。アイドルとして、自分なりのロックを貫き通してやればいい。きっと夏樹はそんな心情だったんじゃないでしょうか。
このセリフはその決意なんじゃないでしょうか。行き当たりばったり万歳というか、何が起こるか分からない旅を楽しもう!というセリフが多い夏樹ですが、裏にはそういった経緯があったからなのかもしれない。だから、自分を予想だにしない道で拾い上げてくれたPに相棒として、「理解者」として背中を預けられるのかもしれない。
だから、
だから、ロックな「アイドル」を目指す木村夏樹と、「ロック」なアイドルを目指す多田李衣菜はぶつかってしまった(JttFコミュ)。
だから、夏樹は「才能が無い」ことを自覚しつつもずっとその考えをかき消していたから、そんなことも考えずに純粋にロックを愛する多田李衣菜が新しい相棒という存在になれたのだと思います。夏樹にとって、この姿勢は「才能が無い」壁にぶつかる前に自分がもっていた煌めきそのものだったから。多田さん、所謂ロックにわかでしょ?夏樹にもそんな時期があったんですよ。家にあったギターを弾いて目を輝かせて、まだ知らないロックを探し求めていたにわかだった時期が夏樹にもあったんですよ。
そして多田さんからしてみたら、それでも夏樹は自分にとってのロックのお手本のような存在であり、相棒。しかし、Rock the Beatはアイドルユニット。アイドルとして自分たちの形でロックしよう。そんな結論に至ったからこそ、多田さんが「ギター無理に弾かないでなつきちに任せる」という和解に至ったのではないでしょうか。
一見「にわかロックと本物のロック」という形、夏樹がロッカーとして引っ張っていく図式で捉えられがちなRock the Beatというユニットですが、それはちゃんちゃらおかしい。
李衣菜が夏樹を、夏樹が李衣菜を補っているからこそ成り立っているユニットだということを強調しておきます。
いつもどっかで感じてたNoise
Volume上げて掻き消して
どってことないフリで
かき鳴らすHeart Beat ―「Rockin' Emotion」
(2021.10.1追記)
上述の通りRock the Beatというのは「アイドルになりたいロッカー」木村夏樹と、「ロッカーになりたいアイドル」多田李衣菜の二人が互いを補っているからこそ成り立っているユニット。だからデレミリコラボの「ハーモニクス」コミュでは、ジュリアと最上静香のぶつかり合いであるこの曲を歌うのに一苦労したんでしょうね。二人にとって相棒は「自分がないものを持っている尊敬対象」なわけですから。
Track 5:木村夏樹と両親の関係は?
上述の空想探査計画コミュから、「夏樹と両親の関係は悪いのではないか」という考察もありますし、その可能性もあるとは思いますが、自分はちょっと違うと思います。なぜなら、Track2あたりで考えたように、夏樹は家庭環境に不満を持っていた節があまり感じられないのが1つ。そして「親の理解が無い=関係が悪い」ではないはずだから。
夏樹からしてみたら、ロックを好むようになったのも(Track3)、それなりの育ちができた(Track2)のも親のおかげなわけですから、一定の感謝はしているはず。「プロになるか否か」という点で意見の相違はあったにせよ、松永家(教育方針に逆らって家を飛び出した)や塩見家(家出した)やはたまたライラ家(親の方針で結婚させられることになりそうだったので着の身着のまま逃げだしてきた富豪の娘)ほど親との断絶があるわけではないと思います。思慮深さも持ち合わせている夏樹のことです、それくらいは分かっているのではないでしょうか。
夏樹、Pを家に入れてることから実家住まいじゃなさそうなんですよね。寮住まいという描写も見受けられないので、恐らく実家を出て1人暮らししてるのかな。たまにはバイクで茨城の実家まで帰っていて欲しいし、その時は両親と、アイドルで経験したロックについて語り合っていて欲しいと思います。
Outro
以上が木村夏樹の過去や背景について僕が考えたことです。
僕の考察は「デレマス」の池の上に公式が落としていった幾つかの石の間を勝手に飛び移っているようなものなので、正解じゃない
し、正解はないのかもしれません。
まあ、
「なにゴチャゴチャ考えてんだ?早く次の仕事行こうぜ」
なんて、笑って僕のケツを蹴っ飛ばしながら言ってくれるような夏樹が僕は大好きなんですけどね。そして僕も容赦なく彼女の背中を叩けるようなPになりたいと思っています。
「木村夏樹のどこが好き?」と聞かれて、僕はTrack 1でいろいろ布教しました。「優しい」「声がいい」「髪下ろすとヤバい(下ろしてなくてもかわいいだろ!)」……でも一番好きなのは、やっぱりその精神。ロックを愛する1人の人間として、僕は木村夏樹というキャラを心から応援しています。
だって、「才能がない」なんて言われてたところから這い上がるなんて、めちゃくちゃロックじゃないですか。
たったひとつ たったひとつの
ダイヤモンドみたいな 輝きを掴む日まで
―「Rockin' Emotion」
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